第438話 闇ギルド殲滅の顛末

「アレックス様。こちらになります」

「すまないな。助かる」


 自警団員の女性に案内され、街の端にある大きな家へやってきた。

 闇ギルドを潰した功績という事で自警団で表彰され、郊外にある大きな家と土地が、港町クワラドの領主から褒美として与えられたからだ。


「アレックス様、海が見えますよー! というか、あの砂浜もアレックス様の敷地の一部ですね。プライベートビーチじゃないですかー」

「街外れなのと、お庭が広いから、隣の家まで距離が……というか、そもそも周囲に家が存在しませんね」

「という訳で、アレックス様。もう我慢出来ないのですが」


 クララと、街で分身たちと色々あった女性に、例のポーションを飲んでしまっている自警団員、それから闇ギルドから助けた女性の一部が俺を取り囲んで居る。

 まぁその……結局、他の街と同じ様に、闇ギルドに攫われていた女性たち全員の面倒を見る事が出来ず、何とか出来ないかと頼られてしまった結果がこれだ。

 ……どうしてこうなった。


「って、せめて家の中にしよう! いや、確かに誰も居ないのだろうが……」

「砂浜で全裸になって、アレックス様とだなんて最高じゃないですか! 早く分身をっ!」

「いや、各自の荷物くらい、家の中へ運んでから……わかった! わかったから、脱がそうとしないでくれっ!」


 三十人くらいの女性に囲まれ、仕方なく分身スキルを使うと、何故か大半の女性陣が、それぞれの分身と共に砂浜へ。


「どうして皆砂浜へ行くんだ?」

「やっぱりプライベートビーチなんて、そうそう無いですし、屋外で全裸になれる場所なんて殆どないじゃないですか。皆、解放的になって~~~~っ! あ、歩きながら……好きですっ!」


 クララはビーチへ行かずに俺のところへ残ったのだが、当然かのように全裸になって求めてきている訳で。

 もう敷地内だし、クララなら大丈夫か……と、そのまま抱っこして中庭を歩いて行く。

 領主から褒美として与えられた事と、街から離れた場所という事もあって、かなり大きな家だ。

 三階建て……か? ウラヤンカダの村の元村長の家よりも大きいな。


「さて、そろそろ出てきて良いぞ」


――KUUUUUN


 俺の言葉に応じて、俺の影の中からシャドウ・ウルフが現れた。

 闇ギルドに居て、俺がテイムした……といか、自らテイムされた感じのシャドウ・ウルフだが、どうやら俺の影の中へ入り、そのまま移動も出来たので、番犬として飼う事に。

 ……飼う事にしたのだが、


「あばばば……あ、アレックスさん!? こ、これはシャドウ・ウルフ!? シャドウ・ウルフですかっ!? ~~~~っ!」


 シャドウ・ウルフを見たクララが驚き、物凄く締め付け……こほん。とりあえず、シャドウ・ウルフには、普段は建物の影の中へ居てもらう事にした。


「さて、中はどんな感じなんだろうな……えっ!?」

「ご主人様! お待ちしておりました。ようこそ……えぇぇぇっ!? お、奥様? どうして全裸で抱きついて……」

「あ、あれ? お仕事しないといけないのに……ご、ご主人様を見ていると、身体が変! ムズムズして……ご、ご主人様ぁぁぁっ!」


 屋敷の中にへ入ると、十人くらいのメイドさんが出迎えてくれたんだけど……これは想定していなかった。

 まさか褒美でもらった家に、メイドさんたちまで一緒に居るなんてっ!


「だ、ダメっ! アレックスさんは今私と……あ、後で交代ならいいよー! もう少し待ってね」

「お、奥様!? なんと寛大な……と、とりあえず寝室へご案内致します」

「そ、それよりお風呂かなー……アレックスさんのは量が凄いから。アレックスさんは強制しないし、希望する人は誰でもオッケーだから、後で参加してねー!」


 って、クララは勝手に何を言っているんだよっ!

 ……いや、参加しなくて良いからっ!

 とりあえず、ビーチへ行った女性たちが開放的になっているからか、物凄く激しい事もあり、クララも大変な事になっている。

 先ずは身体を綺麗に……と、風呂へ移動したのだが、普通にメイドさんとして仕事をしてくれれば良いからっ! そんな事はしなくて良いんだっ!


「ご主人様。むしろ、これだけ見せつけられて、何もしていただけない方が辛いので、どうかお願い致します」


 元々俺は、シーナ国の闇ギルドで苦しんでいる人たちを助けたかっただけなのだが……各街や村に拠点が出来てしまった。

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