第605話 やっぱり強いビーストテイマー
「くっ! この男……」
「いいか? 今から、その結界を解除するが、決して俺に攻撃するなよ?」
「そ、それは脅迫かっ!」
「いや、俺だって好きでこうしている訳ではないんだ。ビーストテイマーのパッシブスキルで仕方なく……」
「お前は、さっき自分で聖騎士だと言ったくせにっ!」
魚村の代表と話がしたいだけなのだが、その娘で村長代理のベルティーナが全く話を聞かずに、結界の中で叫んでいる。
どうしたものかと考えていると、コルネリアが近付いてきた。
「アレックス様。もう、この人もテイムしちゃえば良いんじゃないですか? 手っ取り早いですし」
「いや、解除方法というか、元に戻せる方法が分かっているのであれば、それも一つの手なんだが……」
「や、やめろっ! テイムという名の洗脳をされたが最後、私はお前に良いように使われ、挙句の果てにはあんな事やこんな事までする気なのだろう! くっ……そんな事、誰にもされた事がないのにっ!」
ベルティーナは何を想像しているんだ!?
とはいえ、このままでは埒が明かない。
「アレックス様。もう、このまま放っておいてはいかがでしょうか。この村の村長でしたら、この人たちが知っているでしょうし」
「あー、ナズナの意見もアリだな。……もう、そうするか。すまないが、魚村の村長の所へ案内してくれ」
「承知しました」
テイムしてしまった猫耳族の二人に声を掛けると、スタスタと村の中へ向かって歩き始めた。
「ちょ……こらーっ! 私を無視するなーっ!」
「でも、絶対に攻撃してくるだろ?」
「し、しないっ! 絶対に何もしないから、出してよっ!」
「本当か?」
ベルティーナが涙目でコクコクと頷き始めたので、結界を解除する。
ベルティーナは、その場でヘナヘナと座り込んでしまったが、残りの二人の護衛が左右に跳ぶ!
くっ! 二手に分かれたか!
コルネリアは……ナズナが居る。ユーリは……俺のすぐそばだ。ザシャは戦えるから、大丈夫だと思うが……よし、左だ!
左に跳んだ猫耳族に対応しようと思ったのだが、それよりも先にテイムした猫耳族の二人が動く。
「ご主人様。不届きものは捕らえました」
「こちらも戦闘不能にしております」
「って、やり過ぎだっ! ≪ミドル・ヒール≫」
どうやら、それぞれの行動パターンを読んでいたようで、ベルティーナが手を出さないと言っても、護衛の二人は動くと踏んでいたようだ。
だが俺にテイムされているからか、二人とも元仲間を本気で蹴り飛ばしているので、慌てて治癒魔法を使用する事に。
「まったく。アレックス様。この者たちは束縛しておきますね」
「あぁ、そうしてくれ。これでテイムしてしまったら、またややこしくなるからな」
「もぉ……そっちの村長代理の言葉をアレックス様は信じたのに」
ナズナとコルネリアが頬を膨らませながら、それぞれ猫耳族の女性を縄で縛っていると、
「ご主人様。ご主人様のお慕いする大旦那様に歯向かう無礼……誠に申し訳ありませんでした」
コルネリアが縛っていた方の女性の態度が豹変する。
あれ? もしかしてこれって……
「あ……そっか。アレックス様も羽交い絞めにしただけでテイムが発動したんだった。ぼ、僕……この猫耳族の女の人を、テイムしちゃったの!?」
「ご主人様。私の事はカタリナとお呼びください。しかしながら、呼びにくければ下僕や犬と読んでいただいても構いません……猫ですが」
「あ、アレックス様ー! ど、どうしようっ! 僕もテイムしちゃったよーっ!」
思った通り、コルネリアが猫耳族の女性――カタリナをテイムしてしまったようだ。
俺が手を出さなければ大丈夫かと思っていたが、まさかの事態になってしまった。
「な、何という事だ。何もするなと言ったのに……」
「とりあえず、村長のところへ案内してもらえるだろうか」
「わかった。わかったから、絶対に私や母には近付かないで欲しい」
「俺から何かする事はないと約束しよう」
「た、頼む」
涙目のベルティーナが立ち上がり、村の奥へと進みだす。
俺たちもベルティーナについて行き……流石にベルティーナが一緒だからか、誰かが襲ってくるような事もなく、無事に村長だというベルティーナの母親の所へやって来た。
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