第422話 夜まで待機するアレックス
「うわー。街の真ん中に、こんなに大きくて綺麗な宿舎を……あの司祭さん、お金を集めすぎじゃない? まぁそのおかげで、こうしてアレックスさんとイチャイチャ出来たんだけど」
「……幸せ」
イライザとグレイスが幸せそうな表情で、ぐったりしている。
先程のシスターやクララに、他の女性たちも。
まぁその……シスターに宿舎へ案内してもらったものの、他の女性陣が目覚めて襲われて……今に至る。
「お兄さん。戻ったわよー……って、この匂い! ズルいわー! カスミちゃんも混ざるー!」
「いや、それより場所はどうだ?」
「もちろん完璧よ。ただ、それはあくまで例の男ととの待ち合わせ場所ね。かなり調べたんだけど、闇ギルドの拠点らしい場所が見つからないのよねー」
「カスミたちが調べて分からないとなると……普通では調べられない場所って事か?」
「そうねー。例えば、王城の中とかにあったら、流石に調べられないわねー。まぁ流石にそれは無いと思うけどー」
王城か。
この国がダメだという事は、これまでの街を見てきて分かっているが、流石に王族と闇ギルドが繋がっていたりはしないだろう。……しないよな?
「さて、夜まで時間があるし……リディア、食事をお願い出来るだろうか。結局、朝から何も食べて居ないんだよな」
「わかりました。買い出し……は、ヴァレーリエさんと行ってきますね」
「いや、俺も一緒に行くぞ?」
「……アレックスさん。この宿舎へ、まだ女性を増やすおつもりですか? アレックスさんは、夜まで大人しくしておいてください」
うぐっ……リディアが冷たいっ!
というか、思いっきり不機嫌だよな。
まぁその、状況が状況なので、何も言えないが。
「そうだ。さっき冒険者ギルドがあったよな。何か情報は得ていないか?」
「あー、カスミちゃんたちは冒険者ではないから、中には入っていないのよー。変装して聞いてきましょうか?」
「そうだな。それならモニカに行ってもらおうか。実際、冒険者だし、話も聞きやすいだろう」
モニカに冒険者ギルドで情報収集を頼んだところで、イライザとグレイスが気だるそうに起き上がる。
「アレックスさん。私たちも一緒に行ってきます。丁度、冒険者ギルドに行く用事があるので」
「……仲間に手紙を出す」
「仲間……って、パーティメンバーって事か!? 戻らなくて大丈夫なのか!?」
どうやらイライザとグレイスは元々三人パーティで、俺やエリーに、モニカの故郷であるフレイの街に一人残してジョブチェンジをする為にシーナ国へ来ているらしい。
イライザもグレイスもフレイの街に戻らないと言っているが……流石にそれはダメだろ。
いくらなんでも残された一人が可哀想だ。
「じゃあ、私たちの仲間――ベラも、シーナ国へ呼んじゃいます!」
「……それは良い考え」
「元のパーティへ戻るのは良い事だが、そのベラさん? にも生活や考えがあるだろうから、ちゃんと話し合わないとダメだ。冒険者ギルドで通話魔法などが使えるか聞いてみてくれ。少なくとも、フレイの街では使えるからさ」
時々、フレイの街の冒険者ギルド職員タバサさんと会話するからな。
ただ、今の現状を伝えたら……うん、怒られるな。確実に。
一先ず、リディアたちとモニカたちを見送った後は、そのまま宿舎の中で……暇だな。
だが、街へ出れば見ず知らずの女性を魅了状態にしてしまうし、今は礼拝堂にも今回の件に全く関係の無い信者が来ているから、そちらへ行く訳にもいかない。
……しまった! この間に、シェイリーにスキルを見てもらっておけば良かった。
六合だけではなく、沢山スキルを貰ったからな。
イライザに至っては、ジョブチェンジ前のアコライトと、ジョブチェンジ後のアビゲイルの両方からスキルを貰ってしまったし。
「とはいえ、モニカを冒険者ギルドへ行かせてしまったんだよな。シェイリーの所へ行こうにも、帰還スキルはモニカしか使えないし……」
「えっ!? アレックス様。誰をイかせたのですかっ!? では、是非私も! あと、帰か……」
「ズルいーっ! アレックス、レヴィアたんもーっ!」
気絶していないクララに続き、レヴィアが来て、先程まで調査をしてくれていたカスミやサクラたちもやって来て……いや、確かに暇だとは思ったが、これは違うっ!
クララが何か言いかけていた気もするが、俺はこういう事をする為では……ソフィは本気を出すなぁぁぁっ!
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