第161話 巨乳VS貧乳VS美乳

「こ、これが大人の魅力よ。分かった? アレックス」

「ふっ……大人というより、丸い脂肪の塊の魔力の間違いではないのか? エリーとモニカは、胸でしか大人をアピールしておらぬではないか」

「なっ……そ、そういうシェイリーさんは、いつも通りで、特別何にもしていないじゃない!」

「当然だ。我が魅力的だからな。特別何かする必要などないのだ」


 よく分からないが、エリーとモニカがやたらと胸を強調し、シェイリーとユーディットはいつも通り……って、シェイリーはともかく、ユーディットはいつも通りって言う程、今までしてきてないからなっ!?


「ふむ。巨乳対貧乳の戦いという事か。であれば、私は第三勢力となる美乳組ですね。アレックス様」

「いや、俺に振られても困るんだが」

「ふっ……サクラ殿が自身の貧乳を変な風に言い換えるから、ご主人様が困っているではないか」


 いや、モニカは変な事を言わなくて良いから。

 ほら、サクラが怒ってケンカに……って、分散スキル使うのは止めような。

 流石に二対一では、一方的になるぞ。


「旦那様ー。皆、どうしてケンカしてるのー?」

「さぁ、どうしてなんだろうな」

「じゃあ、旦那様ー。皆、居ないし、ちゅーしよー」

「えっ!? ……って、俺が返事をする前にしているじゃないか」

「えへへー。子作りも良いんだけど、私は旦那様とのちゅーも好きなのー! ねー、もう一回ちゅー!」


 もう一回も何も、先程から俺の意志に関係なく、ユーディットが抱きつき、何でもキスしてきているのだが。

 とりあえず、シェイリーの社へ来たら恒例となってしまった、いつものも終わった訳だし、そろそろ家に戻らないか?


「あ、アレックス。わ、私もキス……」

「わ、我もだ。その……天使族の娘ばかり、ズルいのだ」


 気付けば、謎の言い合いをしていたエリーとシェイリーが近くに寄って来ていて、二人して抱きついてくる。


「アレックス様。皆、ズルいです。私もアレックス様の寵愛をいただきたいのですが」

「ご主人様っ! 私も混ぜてくださいっ! そして、二回戦を……」


 サクラとモニカも寄って来たけど、一先ずケンカが終わっているようなので、シェイリーに送ってもらって地上へ。

 結局、聞き忘れていた騰蛇のスキルが判明しただけで、エクストラスキルについての事は分からずじまいだった。

 一先ず、魔物を食べまくるしか無いという事に変わりはないと結論付けた所で、シェイリーが西の広場に目を向ける。


「む……アレックス。いつの間に、あんな魔法陣が出来たのだ? かなり複雑な魔法が組まれておるが」

「ん? あぁ、あれは天使族専用の転送魔法なんだってさ。ここに居るユーディットの生まれ故郷へ繋がっているんだ」

「ほう、なるほどな。つまり、天使族の棲家に何かあった場合、ここへ逃げて来られるようにする為か」

「いや、単にユーディットの母親が会いに来る為だと思うが、万が一の場合はそういう風に使ってもらっても構わないだろう」

「ふむ……なるほど。しかし、魔法陣を用いての転送魔法か。人間の作る魔導装置による転送魔法はさっぱり分からぬが、この魔法陣による物であれば、時間をかければ解析出来そうだな」

「解析? 何をするんだ?」

「うむ。以前にミオが確認しようとして騰蛇が来てしまったが、他の四神の所へ行けるように出来ぬかと思ってな」


 おぉ、シェイリーと協力して魔王と戦ったと言う、他の神獣か。

 シェイリーと同等の力を持つのであれば、エクストラスキルの事について分かるかもしれない。

 それに、シェイリーがそうであったように、魔王の四天王とかによって封じられているのであれば、解放してあげたいとも思う。

 そして、他の四神が何処に居るかは分からないが、こことは違う場所に行けるようになれば、リディアやニナを家に帰してあげられるかもしれないしな。


「シェイリー。以前に比べて、かなり力が回復しているかと思うんだが、あの魔法陣の近くに住む事は出来ないだろうか?」

「ふむ……可能であれば、我もそうしたい所だな。あの魔法陣は、流石に複雑だ。一朝一夕で解析出来る物では無い。だが……」

「だが?」

「あの社は我にとって特別な場所だからな。動かす事は出来ぬのだ。まぁそれでも以前に比べればかなり長時間離れられるようになったし、解析も出来るであろう」

「なるほど。分かった。では、一先ずノーラに頼んで、あの社のようにシェイリーが解析に集中出来る場所を作って貰おう」


 ユーディットがヨハンナさんと再会出来たように、リディアやニナたちを両親に再会出来るようにすべく、シェイリーに頑張ってもらう事にした。

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