第160話 謎のエクストラスキルの判定

「マスター。おはようございます」

「アレックス様ー! おはよー!」


 翌朝。いつもの様に、ソフィとフィーネの二人によって起こされる。

 先ずはソフィと共に風呂へ入り、身体を綺麗にしてから、フィーネに皆を起こしてもらって……いや、俺に朝風呂の習慣なんて無かったのにな。


「おはようニャ! お腹が空いたのニャ! ご主人様、ムギは何でもするので、ご飯が欲しいのニャ!」

「服を着たら、食事をあげると言ったら?」

「それだけは勘弁して欲しいニャ。ムギは猫なので、服を着るのはイヤなのニャ」


 昨日、突然現れた服を着ない問題児ムギが、笑顔で食事を催促してくる。

 本人曰く、元はミオが召喚し、ソフィがムギと名付けていた三毛猫なのだとか。

 それが、どういう訳か人間の子供の姿になってしまい、今に至っている。

 とりあえず、俺とソフィが説得し、最後にはミオが命令だと言って下着だけは着てくれるようになったのだが、ノースリーブのシャツとパンツ以外は未だに着ようとしない。

 俺の事をミオの夫だから……と、ご主人様と呼ぶのだが、これだけはどうしても無理なのだとか。


「アレックスさん。おはようございます。少しお待ちくださいね。急いで朝食を用意しますので」


 リディアが……といか、殆どの女性陣が少し気だるそうにしているのだが、昨日の天使族とのアレがバレバレだったので、同じくらいしろと言われ、風呂で頑張る事に。

 いつもより頑張ってしまったので、元気なのは参加していないノーラとムギくらいだろうか。

 いや、ソフィとフィーネも、もちろん参加していたけど、この二人は完全に別枠扱いで。


 少ししてリディアが朝食を用意してくれたんだけど、


「ムギ。いきなりは難しいかもしれんが、ナイフとフォークというのがあってだな……」

「ん? ふぁふぃふぁふぃっふぁふぁ?」

「……いや、いい。とりあえず、食事が終わってから話そうか」


 猫から獣人族? になったばかりのムギに、いきなりナイフとフォークは難しい気がしするな。

 手づかみで料理を食べるムギに、同じ獣人族だからか、元より猫のムギを可愛がっていたからか、ノーラが教育係をかって出てくれた。

 とりあえず、ムギに服を着る習慣を付けてもらう事が最優先だろうか。


「旦那様。昨日の天使族からホントにスキルを得られていないのか、念の為に確認したいんだけどー、何か方法ってあるのー?」

「スキル関係で言うと、シェイリーに頼むしかないな」

「えっと、洞窟の地下に住んで居る女の子だっけ? じゃあ、行こうよー!」


 昨日、天使族とキスしたのに光らなかった事をユーディットが気にしているようで、今すぐシェイリーの所へ行こうと言ってくる。

 俺としてもエクストラスキルの法則性が分かるかもしれないし、まぁ良しとしよう。

 地下洞窟へ行くので、エリーとモニカ、サクラも加わって、早速シェイリーの所へ移動すると、


「ふむ。アレックスの事は都度見ておるが、以前に騰蛇のスキルが増えて以来、変わっていないな」


 やはりスキルが増えていないと言われてしまった。

 あれだけ天使族の女性たちから激しくキス……というか、色んな事をされたのだが、エクストラスキルは発動していないらしい。


「……って、待ってくれ。騰蛇のスキルって、何だっけ? 確かに、騰蛇とキスして光ったという話は聞いていたが、肝心のスキルが何か聞いて居なかった気がするのだが」

「言って居なかったか? まぁあの時は召喚時間があって、かなりバタバタしておったからな。アレックスが騰蛇から得たスキルは、≪炎無効化≫スキルだ。元より神のスキルで耐炎スキルを持っていたようだが、その上位版と思えば良いだろう」


 あー、騰蛇自身が火を纏う蛇だったからな。自分の炎でダメージを受ける訳にはいかないよな。

 というか、知らない間に耐炎スキルなんてあったのか。

 まぁ確かに騰蛇の炎で、それほどダメージを受けなかったしな。

 炎無効化という強力なスキルを得て、更に皆を守れると思っていると、突然モニカが騒ぎ出す。


「お、お待ちください、ご主人様。レイの言っていた通り、騰蛇殿と――ショタと本当にキスをされたのですがっ!? では、やはりぶっかけも!? わ、私にはっ!?」

「……乳女よ。何を勘違いしているのか知らぬが、騰蛇は女だぞ?」

「え? どうみても男の子だったのに……女の子!? では、やはりご主人様はロリコン……シェイリー殿、騰蛇殿、ソフィ殿にユーディット殿、ニナ殿……くっ! 今度は幼女になるおまじないを……」


 誰がロリコンだ、誰が。

 いや、確かに今挙げられた名前からすると、そう言われても仕方ないのだが、


「ねー、旦那様ー。ロリコンって何ー?」

「えっ? な、何だろうなー」


 ユーディットが教えてー……と言いながら、抱きついてくる。

 そして、


「では、アレックス。我にも教えてもらうぞ」

「いえ、アレックス様には、大人の魅力を教えなければ」

「そ、そうよ。さぁアレックス。覚悟しなさい! たっぷり教えてあげるから」


 シェイリーにサクラやエリーも抱きついて来て……って、あとの二人は、昨日の夜に何度もしただろっ!

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