第256話 白いポーションの効果の確認
「うわ……凄いポン! 魔力が凄く増えたポン!」
「本当、凄いですね。この量で、物凄く効果があります」
「私は魔力については分からないけど、味が凄く好きです! ついさっき飲んだアレックス様のアレの味に近いからかな?」
レイが作った白いマジックポーションをマミたちに飲んで貰ったが、ちゃんと効果があったようだ。
「ふむふむ。やっぱり、お母さんの作った薬に問題はないねんな。後は、男の人が飲んでどうなるかやね」
「あら? どういう事でしょう?」
「この新しいポーションは、女性が飲むと効果が高いんやけど、お父さんが飲んでも効果がなかってん。それが材料の大元……こほん。お父さんだけなのか、他の男性にも効果が無いのかを確認したいんや」
「なるほど。販売する前に確認されたいのでしたら、自警団の者に飲んでもらいましょうか?」
「ええの!? ぜひ、頼んますわ!」
ジュリの申し出により、販売前にポーションの確認をする事に。
販売してから、効果が無いとトラブルになってしまうし、これは是非お願いしたいので、早速ジュリとレナの三人で自警団の詰所へ。
俺とレナは部屋の端にあったテーブルで様子を伺い、ジュリが外回りから戻って来た男性自警団員を捕まえる。
「お疲れ様です」
「あ、ジュリさん。お疲れ様です! 今日もお綺麗ですね」
「そう? それより、少しお願いがあって……」
「はい! 何でしょうか!? ジュリさんの為なら、例え火の中水の中! 俺は何でもしますよ!」
「じゃあ、このポーションを飲んでみてくれないかな? 私のお友達の薬師さんが、作った新作ポーションなのよ」
「分かりましたっ! いただきますっ!」
どうやら、あの男性はジュリに好意を持っているらしく、何の疑いも無くポーションを一気に飲み干す。
「どうかしら? 私の友人の為にも、正直な感想が欲しいのですけど」
「うーん。その、残念ながら魔力が回復している感じはしないですね」
「そうなの?」
「他には何かある?」
「んー、無味無臭で飲みやすいとは思いますね」
「無味無臭なのね。なるほど……ありがとうございました」
「いえいえ。また何かありましたら、ぜひ声を掛けてくださいね」
ふむ。俺と同じで、男が飲んでも魔力は回復しないし、味も感じないようだな。
それからジュリが何人かに声を掛けてくれて、五人程の男性が飲んだが、やはり効果は無いようだ。
そろそろ男性への実験は終わりにしようかと思った所で、細身の剣士がやってきた。
「お疲れ様です。ちょっとお願いが……」
「この白いポーションを飲めば良いのか? ……んっ!? これは……凄く旨いっ! 魔力が溢れてくる!」
「本当っ!?」
「あぁ。少量だから、少食の俺でも飲みやすいし、味も良い。このポーションが市販されるようになったら、オレは買わせてもらうぜ」
おぉっ! 初めて男性に効果があった!
これをレナはどう思うだろうかと思って聞いてみると、
「お父さんもジュリさんも……しっかり見てやー。あの人、どう見ても女性やん」
「えっ!? 本当なのか!?」
「本当も何も、あんなに脚が細くて綺麗な男性剣士なんて居ないと思うんだけど」
まさかの答えが返って来た。
いや、確かに短すぎるズボンから除く太ももは白くて柔らかそうだし、顔も綺麗で中性的だ。
しかし、しかしだ。
「確かに脚も顔も綺麗だ。しかしながら、胸が全く無いように思えるんだが」
「それは、お父さんが普段胸の大きな人とばかりしてるから、そう思うんとちゃうんかなー? ボルシチさんとかカスミさんとかモニカさんとか……」
「いや、そういうのとは全然違うレベルだと思うんだが」
あの剣士が男性か女性かでレナと話をしていると、
「おい、そこの二人! さっきから聞こえているんだが……お、オレは女だっ! 見ればわかるだろっ! あと、胸が小さくて悪かったな!」
「えっ……女性だったの!?」
「じゅ、ジュリさんっ!? 初対面のこの男はともかく、流石にそれは酷いんだが。泣くぞ?」
本人に俺たちの話が聞こえていたらしく、俺とジュリが平謝りする事になってしまった。
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