第302話 新たな開拓
リディアが作ってくれた朝食を食べながら、バルバラについて皆で話し合った所、
「まぁ仕方ありませんね。本当はアレックスさんを独占したいですが、どう頑張っても無理なので、今更何人増えても一緒ですし」
「ウチは、アレックスの子供が授かれば、他に妻が何人居ても構わないんよ」
「英雄色を好むというのじゃ。というか、一人でアレックスの相手をして、満足させられる者など皆無だと思うのじゃ」
何故か皆が呆れていたり、諦めた感じの表情だったりしながら、新たな妻として迎え入れてくれた。
「えっと、今は未だ一夫多妻という文化に馴染めないが、なるべく早く馴染もうと思うので、よろしく頼みます」
「そういえば……バルバラからスキルを貰ったようなのだが、ジョブは何を授かっているんだ?」
「オレはスカウトだ。よく間違われるが、シーフとは違って、盗賊の真似事はした事は無いので安心して欲しい」
おぉ、バルバラはスカウトなのか。
いわゆる斥候というジョブで、罠を解除したり偵察したりと、古代遺跡の探索などには必須といわれるジョブだな。
ただ逆に、俺やエリーがフレイの街で組んでいたような、魔物を倒す事を主体としたパーティには不向きだが。
「なるほど。それなら、この場所でバルバラの力が役に立ちそうだな」
「オレの力? どういう事なんだい?」
「ここは、元々兎耳族が住んで居た村なんだ。いろいろあって、今は俺たちの村に移住したんだが、兎耳族は罠で得物を獲るスタイルの狩りをするらしくてな。この村の周囲には罠が沢山残っているんだ」
「なるほど。それを解除して欲しいという事か。それは構わないんだが、どうしてアレックスたちは、この村へ来たんだ? 今の話だと、別の場所に拠点があるんだろ?」
「あぁ。長くなるから、おいおい話すが……一先ずここを拠点にして、南に向かおうと思っていてな」
要はシーナ国へ行きたいのだが、現状はマミとジュリが迎えに来てくれないと行けないからな。
しかも、俺と幼い人形しか入れないから、皆を連れて行く事が出来ない。
だから、魔族領の東側から南へ進み、シーナ国へ入れないかと考えた訳だ。
「可能であれば、ソフィの作ってくれた魔導列車の小型版を南に走らせたいんだよな」
「マスター。この辺りは障害物が多過ぎる為、難しいです。ですが、シーサーの魔導砲の使用を許可いただければ、下準備は可能です」
「先ずは周囲に、住んで居る者が居ないかの確認だな。万が一、アレに巻き込んでしまったら大変な事になるからな」
「……次は絶対にミスしません」
いや、ソフィはリザードマンの村を少し壊してしまった事を考えているんだろうけど、あれは済んだ話で、責めている訳じゃないからな?
あの白い光を放つ魔導砲が凄過ぎるから、使う前によく確認しよう……という話だけなんだ。
「よし。じゃあ、これからの方針だが、三つに班を分ける。各班の役割を説明するから、よく聞いておいてくれ」
一つ目の班は、俺と共に南側の調査だ。ここのように、他の村などが無いかを調べつつ、ある程度の距離を進んだら、新たな中継地点を作れそうな場所が無いか探す。
俺、サクラ、ヴァレーリエ、ユーリの機動力部隊だ。
二つ目の班は、ここからリザードマンの村への道を作り、物資を……シーサーと荷車を通れるようにする。
ソフィ、リディア、ツバキ、モニカと、熊耳族の少女たちの戦闘職の者だ。
三つ目の班は、この兎耳族の村の改善だ。家を増やしたり、住み易くしてもらいたい。
ミオ、ナズナ、バルバラ、ブリジットと熊耳族の生産職の者だ。
「あら? お兄さん。私はー? 呼ばれてないんだけどー!」
「カスミは、今一番重要な役目をお願いしたくて、大急ぎでリザードマンの村へ向かって欲しいんだ。リザードマンの村には、交代でツバキの人形と俺の人形が居るだろ? ユーリを一つ目の班が連れて行ってしまうと連絡が取れなくなるからさ」
「つまり、二の班と三の班と連絡が取れるようにして欲しいという事ね。でも、リザードマンの村に居る人形が居なくなっちゃうから、誰か連れて来る?」
「でも、それだと村まで戻らないといけないんじゃないのか?」
「大丈夫よ。昨日の夜に、お兄さんの分身を連れて行った私の分身を、まだ残しているもの。その分身で連れて来るわよー」
「なるほど。じゃあ、カスミは開拓の手伝いをしてくれる人形たちの護送を頼む」
さて、魔族領の外でも開拓だ!
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