第199話 地下洞窟の謎の施設

 翌朝。フィーネとソフィに搾られ……こほん。いつも通りの朝を迎える。

 いつもの様に、フィーネと朝風呂へ入る前に、ボルシチを風呂へ運び、起こしてもらう。


「はふ……おにーさん、おはよう。あれ? 私ったら、どうしてお風呂で寝ていたのかしらぁ」

「いや、今からフィーネと風呂へ入るから、その間に乳搾りを済ませてしまおうかと思ってさ」

「わかったわぁ。じゃあ、お願いねぇ」


 俺とフィーネが風呂で身体を綺麗にしている間、分身の自動行動スキルでボルシチのミルクを搾る。

 うん。これなら皆に見られないし、最適ではないだろうか。

 ……ただ、俺と分身の感覚がリンクしているから、常に手の中にボルシチの大きな胸の感触があるが。


「ふふっ、アレックス様ったら……フィーネがしてあげるねっ!」

「いや、違うんだ! これは……くっ!」


 フィーネが俺のアレの変化に気付き……いや、ダメだって!

 俺が出してしまったら、分身も出してしまう訳で……ダメだった。

 その結果、


「あらぁ? この匂いは……ふふっ、おにーさん。じゃあ、次は私がおにーさんのミルクをいただくわねぇ」


 朝から収集がつかなくなる事に。

 結局、遅めの朝食となり……最近、このパターンばっかりだなと反省する事になってしまった。


「さて。今日は地下洞窟の奥へ向かう。メンバーはエリー、ニナ、モニカ、サクラ、ソフィと、サクラの人形サラで行こうと思う」

「私は構わないわよ」

「ニナもー!」


 地下洞窟は魔物が多いのでエリーの攻撃魔法が必須で、探索を行うから、戻れるようにニナの光る苔もお願いしたい。

 一先ず、二人とも協力してくれるので何とかなるだろう。

 地上の事はメイリンに任せ、何かあれば人形経由で連絡するように言って、出発する。


「ご主人様。シェイリー殿の所には寄られますか?」

「……いや、探索とは違う事が起こりそうだから、このまま行こうか」

「では、帰りに寄りましょうか」


 モニカがやけにシェイリーの所へ行きたがるが……そういう事はしないからな? ……いや、本当に。本当なんだっ!

 そのまま進んで行き、以前にソフィと出逢い、戦う事になった湖までやって来た。

 今は地上へ水を汲み上げるポンプもあり、そこから僅かに陽の光が差し込んでいる。


「ソフィ。ここで俺たちと出逢い、戦闘になったんだが……」

「マスター。ここでお会いしたのは覚えておりますが、戦闘になったというのが理解出来ません。私はマスター無しには生きられないのですよ?」

「いや、思い出せないのなら、いいや。とりあえず、この北側からソフィがやって来たんだ。行ってみよう」


 さて、ここからが未知の場所だな。

 先頭を俺、その次がサクラとサラ。その次にエリーとニナとソフィが続き、最後尾をモニカが受け持つ。

 所々で魔物が現れるが、事前にサクラたちが察知してくれるし、エリーが魔法でサクサク倒して行く。

 かなり広い湖に沿って北上していくと、


「アレックス様。何か見えます。建物のようです」

「分かった。ここからは、より慎重に進もう」


 盾に灯した明かりを消そうかとも思ったが、流石に暗くなり過ぎるので、少し光量を絞って、進んで行く。

 あと、パラディンの防御スキルを全員にかけ直し……建物の前に二体のゴーレムが居るのが見える所までやって来た。


「止まれ!」


 ゴーレム相手なら、俺のスキルで無力化出来るので、そのまま中へ。

 周囲を警戒していると、ソフィがどんどん奥へと進んで行く。


「ソフィ!?」

「マスター。私、何故かこの建物の内部がわかる気がします」

「そうなのか? 危険でなければ良いのだが」


 迷う事無くソフィが歩いて行き、所々で「認証しました」という謎の声を聞きながら、奥の部屋の一つにソフィが入る。

 そこは、家でソフィが使っている部屋に似ていて、俺からすると良く分からない物が沢山転がっていた。


「マスター。どうして私がこの部屋の事を知っているかは分かりませんが、この部屋を使っていた者は、かなり高度な知識と技術を有していたようです」

「そうなのか?」

「はい。この魔導戦車の設計書は凄いですね。これを応用すれば、高速で荷物を運ぶ乗り物が作れるのではないかと」

「あー……あれか。あの時、凄い速さでやって来た、鉄で出来た馬車の事かな」


 ソフィと戦う事になった時、白い光の砲撃を放つ、鉄で出来た馬車が凄い速さでやって来たんだよな。

 最終的に魔力切れを起こして倒す事が出来たけど、あの速度で移動出来ると、リザードマンの村へ行くのがかなり楽になるな。


「それから……ありました。動画撮影装置の設計書ですね。装置自体は何処にあるのか分かりませんが、これと材料さえあれば作れるので、別に構わないかと」

「材料……って、あるのか?」

「データを蓄積するクリスタルがあれば……ここに転がっていますので、もらっていきましょう」


 ソフィがいつになくワイルドだな。

 まぁ今回の事もそうだけど、装置の開発の事になると、ソフィは目の色が変わるから……まぁそっとしておこうか。

 しかし、所々に書かれているシャオリンとは何だろうか。

 サインのように書かれているし、誰かの名前のようにも思えるが……何処かで聞いた事のある名前のような気もするんだけどな。


「マスター。一先ず、現時点で必要な物は入手出来たのですが、また時々連れてきていただいても宜しいでしょうか」

「ん? あぁ、それは構わないぞ。幸い、強い魔物も居なかったし、場所も分かったしな」

「ありがとうございます」


 とりあえずソフィが満足したようなので、俺たちは部屋を出て、家に戻る事にした。

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