第200話 何かは分からないが、大切な物を発見したソフィ
部屋を出て、ソフィに施設の入り口まで案内してもらっていたのだが、突然その足が止まる。
「ソフィ。どうかしたのか?」
「はい。何か……こっちに重要な物がある気がしまして」
「じゃあ、行ってみよう。特に戦闘らしい戦闘もしていないし、特に誰も疲弊もしていないしな」
強いて言えば、魔法で魔物を蹴散らして居るエリーの魔力が減っているくらいだが、俺のスキルで回復させたので問題ないだろう。
ソフィについて行き、細い廊下を進んで行くと、何やら厳重そうな扉がある。
何処にも取っ手などが無く、どうやって開けるのかと思っていたら、
「認証しました」
先程から時々聞く声が響き、勝手に扉が横にスライドしていく。
ソフィが部屋の中へ入ったので、俺もついて行くと、俺よりも大きな金属の箱が沢山並んでいた。
「ソフィ……これは何だ?」
「筐体……いえ、何でもありません。しかしながら、凄く重要な物だと判断出来ます」
ソフィが呟いた筐体とは何だろうか。
何かは分からないが、小さな光が所々で点滅する部屋の中で、ソフィが何かをキョロキョロと捜して居た。
「ソフィは何を探しているんだ?」
「サーバーに接続するコンソール端末を……いえ、気にしないでください。私も完全に理解出来ておりませんので」
よく分からない言葉と共に、珍しくソフィが困惑していると、
「ねー、あの大きな箱の中に何かあるの? それなら、ニナが壊そうか? 金属の箱みたいだし、壊せると思うけど」
「だ、ダメです! あれは絶対に壊してはいけません。とりあえず、今日の所は引き上げましょう。この動画撮影装置と魔導戦車の設計書があれば、凄い物が作れそうですから」
ニナが箱の中身を取り出すと言ってくれたのだが、凄い勢いで止められていた。
それどころか、物凄く焦った様子のソフィに部屋を追い出される事に。
とりあえず、さっきの箱が大切な物ではあるが、壊してはいけないという事か。
詳しい事は全くわからないが、おそらく無理矢理箱を壊そうとすると、中身まで壊れるタイプの宝箱……を大きくした物なのだろう。
一先ず、ニナが残してくれていた光苔を辿ってシェイリーの社まで戻り……モニカが望んでいた展開に。
特にソフィは、開発に専念するので魔力が沢山欲しいと言い、寝る時のサキュバスモードに近い勢いで、ニナやエリーがちょっと引いていたのだが、
「す、凄い。私と然程変わらぬ背丈なのに、父上のアレを全部飲み込み、しかもキレのある身体の動き……ソフィ殿は、凄いです」
サクラの人形サラが、食い入るようにしてソフィを見ていた。
サラのペアである俺の人形よ……すまん。今晩サラは激しいかもしれんが、許してくれ。
それから、シェイリーに地上へ送ってもらい、皆で昼食に。
昼からは、ソフィが自室に籠って魔法装置の開発に集中する一方で、先ずはフィーネに魔物除けの有効時間を延ばせないか、改良を加える様に依頼し、エルフの目撃情報があった、リザードマンの村へ行く事に。
「今回はリディア、ユーディット、ツバキとツバキの人形、ツキで行こう」
「あの、ユーディットさんとツバキさんをお連れするのは、機動力を重視されていると思ったのですが、どうして私なのでしょうか?」
「あぁ、リザードマンの村の周囲の森を探索しようと思うんだ。やはり森と言えばリディアだからな」
「わかりました。頑張りますねっ!」
森へ行くというのが嬉しいのか、リディアが抱きついてくる。
その一方で、何やら焦った様子のモニカが口を開く。
「ご、ご主人様っ! 今からリザードマンの村へ出発されるのですか?」
「あぁ。今回は交易ではなく、森の探索なので、向こうに泊まると思われる」
「そ、そんな……よ、夜はどうすれば……」
いや、普通に寝れば良いだけだろ。
食事だってエリーが居るし、何も困る事がないという話をしたところで、ボルシチが俺を見つめながら胸を揺らす。
「おにーさん。私のミルクは搾ってくれないのぉー?」
「いや、俺でなくても良いと思うのだが」
「でもぉー、おにーさんに搾ってもらうのが、一番ミルクが良く出て、一番気持ち良……」
「ストップ! えーっと、流石にボルシチを魔物が出る場所に連れて行く訳にはいかないから……ぶ、分身。分身を置いて行こう。昨日と同じく、風呂の時間になったら、ミルクを搾るようにしておくから」
「わかったわぁー」
一先ずボルシチのミルクについても目途が立ったところで、先ずはメイリンに経由で人形たちに作物を幾つか採ってもらう。
今日はリザードマンの村へ泊めてもらい、翌朝からエルフを探索するつもりだからな。
手土産を用意して、先ずは東の休憩所へ向かうのだが、下半身に違和感が。
分身に自動行動を使い、勝手に動いてもらっているんだけど……誰か分身に変な事をしていないかっ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます