第127話 スキルの……失敗!?
「……という訳で我は魔王と戦い、敗れた後、アレックスに助けて貰ったという訳だ」
「なるほど。そんな事があったのじゃな」
シェイリーが魔王と戦った事をミオが知らなかったので、その説明があった。
「青龍……もといシェイリーはアレックスのアレを飲んで回復したという話じゃが、白虎たちは、どうなのじゃ?」
「我にも分からんのだ。朱雀や玄武たちの棲む地は遠く離れておるからな」
「ふむ……では、我のスキルで呼んでみれば良いのじゃ! 直接話を聞くのじゃ!」
……ん? ミオが再びスキルを使おうとしているが、大丈夫なのか?
確か、ミオの言う事を聞かない奴も現れるんだろ?
「ミオ。そのスキルは、あまり安易に使わぬ方が良いと思うのだが」
シェイリーも俺と同じ事を思ったようで、ミオを止めてくれたのだが、
「大丈夫なのじゃ。今の我は、不思議と力が満ち溢れてくるのじゃ。きっと成功するのじゃ」
「それはアレックスのを飲んだからであろう。アレックスのアレは魔力を大量に含んでいる上に、飲むだけで成長出来る薬のようなものだからな」
「ならば尚更大丈夫なのじゃ。今の我は、上からも下からも、アレックスのアレを飲んでいるのじゃ」
「な、なんだと!? 我の身体には大きすぎてアレックスのが挿らないというのに、ミオの中には……くっ! 羨ましいっ!」
途中から訳の分からない話に変わってしまった。
「ミオ。シェイリーの仲間の安否を確認したい気持ちは分かるが、シェイリーと同じくらい凄い存在で、かつミオの言う事を聞かない奴が現れるかもしれないんだろ? 見ての通り、この辺りは家が沢山あるし、やめて欲しいんだが」
「うぅ……アレックスが我の力を信じてくれないのじゃ」
「そういう事じゃなくて、万が一の事があったらイヤだからさ」
「むぅぅぅー」
ミオが今にも泣き出しそうな顔で俺を見上げてくる。
ただ、ミオはシェイリーと同じくらいの年齢なんだよな?
それなのに、そんな表情と仕草をされてもなぁ。
「……わかった。だけど、ここは止めておこう。せめて、周囲に何も無い場所にしてくれ」
「そんな場所が……」
「あるから大丈夫だ。ここは東エリアって呼んでいる、魔法人形たちの住宅地ゾーンなんだが、ここから北へ行けば、訓練場があるんだ。そこなら、周囲に何も無いし、最悪壊れても大丈夫だろう」
「わかったのじゃ。そこへ移動するのじゃ」
一先ず説得に成功し、ミオとシェイリーを連れて、北東エリアにあるの訓練場へ。
万が一の事を考え、ノーラやフィーネたちにはついて来ないように伝え、俺とミオとシェイリー。それから、エリーとモニカとサクラにユーディット……要は戦闘職だけで移動する。
「シェイリー。その万が一の奴が来た場合……要はミオのいう事を聞かない奴が来てしまった場合、俺たちで何とか出来るのか?」
「うーん。我がそ奴を抑え込むから、その間にエリーとやらが魔法攻撃をしてなんとか勝てるかも? ……といった所かのう」
「シェイリーで抑え込むのが精一杯って、かなりヤバいよな? 元の場所へ送り返したりは出来ないのか?」
ミオに今から使うスキルの事を聞いてみようとしたのだが、
「早速いくのじゃ! ≪六壬≫」
既に謎の板を使ってスキルを使っていた。
本当に大丈夫なのかと、心配しながら様子を伺っていると、シェイリーが呼び出された時と同じく宙に巨大な影が現れる。
その影はシェイリーの青龍の姿とよく似ていて、巨大な蛇が浮かんでいた。
だが、大きく違うのは、その蛇の姿が炎に包まれている。
「げっ! 大変なのじゃっ! 騰蛇なのじゃっ!」
「騰蛇? それってもしかして、さっき言っていた、ミオのいう事を聞かないっていう……」
「む……誰かと思えば、狐耳のガキじゃねーか! 俺様を呼び出すとは……偉くなったもんだなぁ!」
炎に包まれた巨大な蛇――騰蛇が低い声を発し、上からミオを睨みつける。
「待て! 騰蛇よ……お主を呼び出すつもりはなかったのじゃ。悪いが、大人しく……」
「うるせぇっ! 俺様は今、機嫌が悪いんだよっ! 死ねっ!」
そう言うと、ミオに向けて炎のブレスを吐き出した。
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