第126話 ユーディットから得たスキル

「それと、もう一つのスキルだが……これは、アレックスが薬を飲んだ時にその効果が強化されるそうだ」

「それはつまり、ヒールポーションを飲むと、通常の二倍の効果がある……といった感じなのか?」

「簡単に言うと、そんな感じのようだ。このようなスキルが得られたという事は、薬を扱う者が加わったという事であろう?」


 シェイリーの言う通りで、きっとレイから得られたスキルだろう。

 そう考え、チラっとレイに視線を移すと、


「アレックスはんに薬を飲んで貰った時に、その効果が二倍……つまり、さっきの倍激しい事になるんか。凄いな……」


 とんでもない事を呟いていた。

 というか、このスキルってデメリットもないか?

 回復効果が二倍になるけど、例えば毒薬とかを飲まされた時に、その効果も倍になるのでは? ……という話を聞いてみると、


「いや、あくまでプラスの効果だけが倍になるみたいだぞ?」


 シェイリーが説明してくれた。

 良かった。これなら、レイが言って居たような、精力剤の効果が二倍とかにはならない……ならないよな!? あれは、状態異常だよなっ!?

 というか、精力剤の製造を禁止にしよう。せっかく薬を作れるのだから、もっと他に有益な薬を作ってもらうべきだしな。


「ねぇねぇ、アレックス。さっきから、スキルを得たって話をしているけど、どういう事なのー?」

「ユーディットちゃん。お兄ちゃんはね、女の子とキスすると、その人が持つスキルの一つを使える様になるんだよー」

「そうなんだ! 凄いね! じゃあ、私のスキルもあげるね! 私もアレックスのお嫁さんだから良いよねー」


 そう言って、おんぶしていたユーディットがふわりと浮かび、俺の頭を越えて……下に何も履いていないスカートの中をチラつかせながら、俺の正面に。

 抱っこされていたノーラも心得ているのか、素早く飛び降りて場所を譲る。

 そんな連携は要らないんだが……と思っている内にユーディットが唇を重ね、


「きゃー! アレックスとキスしちゃったー! ……でも、光ったりはしないんだね」

「ユーディットちゃん。普通のキスじゃダメで、そのー、舌を……」


 ノーラがユーディットに耳打ちし、再びユーディットが唇を……舌を絡めてきた。


「ふわわ……こんなキスがあるんだ。凄いんだねー」

「ふっふっふ、ユーディット殿。ご主人様とのアレはもっと凄いぞ」

「さ、さぁ、シェイリー。ユーディットからどんなスキルが得られたのか調べてくれ」


 モニカがユーディットに余計な事を教えようとしていたので、強引に話を変え、


「ふむ。アレックスは、どうやら操槍術のチャージというスキルを得たようだな」

「チャージ? ユーディット。これはどういうスキルなんだ?」

「チャージはねー、突撃時に攻撃力が上がるっていうスキルだよー」


 無事に成功したようだ。


「なるほど。俺は槍を使わないから、剣でも発動するか、確認しておかないとな」

「多分、大丈夫だと思うよー。落ちてた枝とかでも発動したしー」


 よし、ユーディットの興味が完全に逸れたな!

 良かった良かった。

 ……しかし、使えるようになるスキルが、聖水生成スキルではなくて助かったよ。

 モニカやユーディットには悪いが、このスキルは色んな意味で辛い。

 そんな事を考えて居ると、


「残念。ご主人様が聖水生成スキルを得て居たら、堂々とご聖水を飲ませていただく事が出来たのに」


 モニカから、とんでもない呟きが聞こえてきた。

 とりあえず、俺が聖水生成スキルを得て居ないので、聞かなかった事にするが……モニカは俺が思っていた以上にヤバい気がするんだが。

 一通りスキルの話が済んだ所で、シェイリーが唐突に話題を変える。


「ところで、ミオよ。暫く見なかったが、何をしておったのだ? 我が魔王と戦う前から会っていなかったと思うのだが

「はっはっは。実は力を封じられ……って、その話はまた今度なのじゃ」


 えっと、シェイリーが魔王と戦ったのって、何十年も前の話って言っていなかったか?

 とりあえずミオ本人からは年齢を聞けていないが、シェイリーと同じく幼いのは見た目だけで、実年齢は異なりそうだ。

 ……良かった。

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