第885話 特別生徒
「ひとまず、事情はわかった。デイジー王女に事情を話して、ここに居る者たちをどうするかは、これから相談するよ」
「えっ!? 王女様……って、貴方は王族の関係者なんですか?」
「関係者という程ではないが、デイジー王女の知り合い……といったところだ。すぐに戻るから、待っていてくれ」
やはり、一旦デイジー王女のところへ戻ろうと思い、部屋から出ようとしたところで、少女から待ったが掛かる。
「すみません。一つだけお願いいがあるんです」
「何だろうか。話を聞かせてくれたお礼に、すぐに出来る事なら対応させてもらうが、時間が掛かる事なら、後でも構わないだろうか」
「大丈夫です。すぐに終わります……えいっ!」
って、おい。
いきなり、どこを触りだすんだ!
「わぁ! 本当に変な棒がある! 私には無いのに!」
「な、何をしているんだ!?」
「さっき話した通り、男の人を初めて見たので。女の子との違いを授業で学んだんですけど、変な棒が付いているなんて信じられなくて……どうして、こんな棒がこんなところにあるんですか? 邪魔じゃないですか? 凄く大きいですし」
「いや、そういうものなんだ。とりあえず、もういいか?」
「もう少しだけ……えーいっ!」
だから、いきなり脱がすなよ。
せめて先に一言相談してくれ。
……まぁ先に言われたら勿論断るが。
「うわぁ! これが……凄く美味しそうな香りがします!」
「そこまでだ! これ以上はダメだ!」
「え? でも、女の子は男の人のこれにご奉仕するものなんですよね? 私は特別生徒ではないから、実物を見るのは初めてですけど、模型を使った練習は毎日欠かしてませんよ」
「何の話を……って、待った。その特別生徒とは何だ?」
「その名の通り、ご主人様に見初められた、特別扱いの生徒です。幼学校と小学校で選ばれた生徒はいないそうですが、中学校の一年生の中から時々選ばれるみたいで、なんとご主人様に妊娠させてもらえるそうです! 羨ましいなー」
……おい、ザガリー。
消えていなければ、思いっきり殴って、然るべき場所へ突き出すところだが……とにかく、ここに居る少女たちを何とかしなければ。
衣服を正し、外の気配を探って……外へ。
もう少しで建物から出られるというところで、見えない何かにぶつかった。
「これは……何かの結界か!? 剣で斬れるだろうか」
「ちょ、アレックス! 私だよー! 太陰だよー!」
「あ、太陰か。それより、姿を消す効果が切れてしまったんだ」
「わかってる。もうアレックスに掛け直したよ」
言われてみれば、太陰もデイジー王女の姿も見えていた。
ひとまず、もう逃げなくても良さそうだが、それよりもやるべき事がある。
「太陰。俺たちの姿を消す効果が消えたという事は、ミオとマリーナの効果も消えているよな?」
「えぇ。その通りよ」
「ミオは大丈夫だと思うが、マリーナは危険だ。すぐに助けに行こう!」
太陰たちと共にザガリーの別荘――中学校を出ると、小学校と呼ばれていた場所へ急いで戻る。
マリーナは無事だろうかと、別れた場所へ行くが、その姿はない。
おそらく、俺と同じで姿を消す効果が消えているので、見つからないように逃げたのだろう。
「太陰。マリーナの場所がわかったりしないだろうか」
「申し訳ないけど、私にはそういった探索系の力はないのよ」
「わかった。ひとまず急いで探そう」
建物の中に入り、物陰や各部屋を覗いていく。
既に陽が沈んでおり、先程少女たちが勉強をしていた部屋には誰も居ないので、この空部屋にいるのではないかと思っているのだが……見つからない。
「あっちから声が聞こえるな」
「そうですね。けど、大勢人が居る場所に、わざわざ行くかなー?」
「言われてみれば、そうか」
太陰の指摘で、廊下の向こうの調査はせず、殆ど人気のない一階を調べ、二階に上がり……だが、ここにもマリーナは居そうにない。
三階は……どうやら、少女たちの宿泊する場所なのだろうか。
一階と二階とは大きく事なり、小さなベッドやクローゼットがある。
三階も捜索したが、見つからず……待てよ。
「まさかとは思うが、先程の人が集まっていた場所……マリーナが見つかって、拷問などを受けていたのではないだろうか」
「……幼い子供たちはそのような事をしないと思うけど、成人の女性は何をしてもおかしくないかも!」
「急ごう!」
ようやく、先程の人が集まっていた場所の意図が分かり、太陰たちと急いで向かった。
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