第250話 完成した来客用の宿

 ウララドの街の闇ギルドの長を捕らえ、色々と街で情報収集を行った後、マミとジュリに送ってもらって家に。

 半日離れていただけなのだが、ツキ経由で色々と話が伝わっていて……大変だった。

 ちなみに、ツキがウララドの街のジュリの家に残ってくれたので、今後何かあればツキ経由でマミが迎えに来てくれるようだ。

 そんな大変だった翌日。


「お兄ちゃー! 見て見てー! お客さん用の宿が完成したよー!」

「ノーラ! ありがとう! 早速見に行っても良いか?」

「うんっ! 見に来てー!」


 以前からお願いしていた、南西エリアの来客用の宿が完成したとノーラが話しに来た。

 兎耳族が来たり、人形たちが増えたりと、中々ノーラが専念出来ない状態だったからな。

 新しい施設が出来たという事で、手の空いている者とメイリンを連れて皆で見学に。


「まず、ここがエントランスだよー!」

「なるほど。街にある宿と同じ様に作ってくれたんだな。流石だな」

「えへへー。誰かに居てもらう事にするのか、案内板だけにするかはお兄ちゃんに任せるけど、基本的に宿屋っぽくするよに頑張ったんだー」


 ここは天使族やスノーウィたちが来た時の事を想定していて、宿泊者から代金を取ったりするつもりはないから、無人でも良い気はする。

 だが、客人として来てくれている人を泊める訳だから、放置という訳にもいかないか。

 今すぐ決める必要は無いし、来客時のみで良いが、誰か宿の担当は居た方が良いかもしれないな。


「次は、こっちー! リディアやエリーに相談して、食堂にしたんだー!」


 確かに各部屋へ運ぶのは大変だから、纏めて給仕出来る方が良いだろう。

 ……という事はメイドさんも必要になるな。

 どうしようかと思ったところで、


「ご主人様。私の出番ですね?」


 相変わらず胸の露出がおかしいメイド服を着たモニカが、俺の心を読んだかのように声を掛けてきた。

 ま、まぁ流石に天使族やスノーウィを相手に、モニカも変な事はしないだろうから、その時には活躍してもらおう。

 それから次は大浴場へ。

 リザードマンたちからの注文がある中で、ニナたちが頑張ってくれたらしい。


「ん? 一つしかないが、まさか混浴……」

「ボクはそれでも良いんだけど、二つ作ってもらうのも大変だし……って考えてたら、エリーが時間で分ける様にすれば良いって教えてくれたんだー」

「なるほど。確かに」

「お兄ちゃん。せっかくだから、一緒に入ってくー? ニナが凄いのを作ってくれて、おうちのお風呂よりも更に広いんだよー!」


 家の風呂もかなり広いのだが、あれよりもか。

 まぁ前に天使族が団体で押し寄せてきた事があったからな。

 ここまで水路が来ていないから、水を入れるのは、リディアにお願いしないといけないだろうし、ちょっと大変かもしれない。

 それから、リディアが喜びそうな大きなキッチンを見て、各部屋を見て行く。

 基本的には同じ部屋だが、角部屋が広かったり、色んなケースを考えて、少し狭い部屋が用意されていたり、大部屋が用意されていたりと、いろんなバリエーションがある。

 一先ず見学会は終わりという事でエントランスへ戻って来ると、最初に来た時には気付かなかったが、階段があった。


「ノーラ。この階段は?」

「二階へ行く階段だよー! あと屋根裏部屋もあって、そこはお客さんのお世話をする人の休憩室に良いんじゃないかって、メイリンが言ってくれたんだー」

「凄いな。ノーラ、本当にありがとう」

「えへへー。もっと、なでなでしてー!」


 頑張ってくれたノーラとニナの頭を撫でると、


「じゃあ、次は食器とかを作るねー!」

「フォークやナイフはニナが作るよー!」


 更に頑張ると言って、二人が作業場へ。

 物凄くありがたいけど、今の所誰かが来る予定もないので、無理しない範囲でお願いしたい。

 直近で有り得そうなのは、マミとジュリが宿泊する……と言いそうなくらいだろうか。

 ただ、木や鉄で作れる物は二人が頑張ってくれるんだけど、問題は布で作る物なんだよな。

 リザードマンの村から布を貰っているものの、シーツや毛布といった品が圧倒的に足りて居ない。

 ウララドの街で売っていたので、この村の作物と取引出来るようになれば良いのだが。

 そんな事を考えていると、


「アレックスさん。ここの大きなお風呂へ水を張るのに、どれくらい時間が掛かるか確認したいので、ご協力いただけますか?」


 リディアに腕を捕まれ、強制的に大浴場へ。

 しかも、ノーラとニナを除いた全員がついて来ているんだが。

 あくまで風呂へ水を張る確認だよな? 変な事は考えていないよなっ!?

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