第125話 ミオに呼び出された上位の存在?
「ふっふっふ。皆の者! 見るが良いのじゃ! 我は今、何故かお腹の下の方から魔力が湧き出ている感じがして、絶好調なのじゃ!」
ミオが小さな手で、下腹部をさすりながら、嬉しそうに顔を輝かせる。
くっ! 俺は、薬で理性を失っていたとはいえ、こんなの小さな女の子に何度も……とりあえず、レイに精力剤の作成は控える様に言わないとな。
一先ず、やってしまった事は仕方がないので、ミオが取り出した物に目を向ける。
「ミオ。その変な紙は何だ?」
「これは式札という物で、式神を呼び出す為に使う道具なのじゃ。普通はこれを使うのじゃが……今日の我は、もっと出来る気がするのじゃ!」
「どういう事だ?」
「ふふ……これを使うのじゃ!」
今度は変な模様が描かれた板を取り出して……って、今どこから出したんだ?
とはいえ、ミオは聞いても秘密にされそうなので、そのまま説明を待つ。
「これは式盤という、より上位の存在を呼び出す為の道具なのじゃ」
「上位って?」
「人の力を越えた、強大な存在……とでも言うべき、凄い存在なのじゃ。それが、十二体居るのじゃ」
十二体も……凄いな。
どういう力を持った者を呼び出せるのかは分からないが、こんなに自信満々なのだから、期待しておこう。
「では、いくのじゃ! ≪六壬≫」
聞いた事の無いスキルと共に、謎の板が白く輝くと、巨大な影が宙に浮いていた。
凄いな……これがミオのスキルなのか。
「おぉっ! 無事に成功したのじゃ! やはりアレックスとして、運気が上がっているのじゃ!」
「運気はさて置き、成功しない可能性もあったのか?」
「うむ。十二体のうち、誰が出て来るかは運任せなのじゃ。最悪、我の言う事を聞かないヤバい奴が出る可能性もあったのじゃが……今回来てくれたのは、穏やかなので大丈夫なのじゃ」
いや、だったらそんなスキルは使わないでくれよ。
こんな家のすぐそばで、言う事を効かない凄い存在って……後でよく言い聞かせようと思いつつ、現れた巨大な影に目を向ける。
それは、宙に浮く緑色の蛇みたいな……龍の姿になったシェイリーそっくりなんだが。
「ん? ミオが呼び出したのは、青龍……だよな?」
「む? ミオ……と、アレックスではないか。ミオもアレックスの所へ来たのか」
「え? 青龍がアレックスの事を知っているのは、どういう事なのじゃ?」
うん。人違いというか、龍違いではなく、シェイリー本人だった。
「シェイリー。いつもの姿にはならないのか?」
「いつもの姿? それにシェイリーとは何なのじゃ?」
「むぅ……こっちの姿はミオに見せた事はないのだが、アレックスの前なら仕方あるまい」
そう言って、シェイリーがいつもの幼女の姿に変わる。
ミオとシェイリーが並ぶと……ミオの方が少し大きいな。
「なんと! 青龍も幼女の姿に……我と被っているのじゃ!」
「そうなのよな。それに威厳も無くなるから、ミオの前ではこの姿を見せていなかったのだが……仕方あるまい」
シェイリーに威厳って言われても、あの痴態を見ている俺たちからすると今更感があるのだが……突っ込まない事にしておこう。
実際、ミオは初めて見るみたいだしな。
「しかし、いつの間に天使族など連れ込んでおったのだ? それにまたスキルも増えておるぞ。しかも、その内の一つはミオのスキルではないか」
「あー、まぁその……いろいろあってな」
「そのいろいろに、我が呼ばれていないのだが。アレックス、我との激しい夜を忘れたのか?」
いや、シェイリーの所へ行くのはいつも昼で、夜にシェイリーと過ごした事はないのだが。
「……こほん。それは一旦置いといて、どういうスキルが増えたんだ?」
「置いとかれたっ! ……まぁ良い。教えてやろう。先ず、ミオから得たであろうスキルは、結界術の一つ閉鎖スキルだな」
「閉鎖スキル? どういうスキルなんだ?」
「それは我よりも、ミオに聞いた方が良いだろう」
シェイリーに言われ、不思議そうにキョトンとしているミオに……あー、そうか。エクストラスキルの説明をしていなかったな。
「……なるほど。アレックスは、キスをすると相手のスキルを使える様になるという事なのじゃな? ……むっ! アレに夢中で忘れておったが、そう言えば二回程身体が光っておったのじゃ! あれじゃな!」
「あぁ、そうなんだ。それで、さっきので閉鎖スキルっていうのを俺が使える様になったらしいんだ」
「閉鎖スキルは、さっき我が使用した隔離とは逆で、結界の中の人を出せないようにする事が出来るのじゃ」
「へぇー。しかし、それは……使い所が微妙だな」
「何を言うのじゃ。そのスキルを使えば、『子作りしないと出られない部屋』が簡単に作れるのじゃ! 凄いのじゃ!」
いや、何だよその部屋……って、どうして皆、羨ましそうにしているんだよっ!
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