第124話 とても役に立っている魔法人形たち
「マスター、魔力のご提供ありがとうございます。ではこれより私は、昨日お話しした運搬用の小型ゴーレムの開発に取り掛かりたいと思います」
一日空いてしまったからか、あれだけしたのに、若干物足りなさそうなフィーネに協力してもらい、先ずはソフィへの魔力供給を行った。
そして、
「お兄ちゃん。ボク、仲間外れにされていたし、今日一日ずっと抱っこしてね」
「私もー! 今日は、ずーっとアレックスにおんぶされながら過ごすからねー!」
ノーラとユーディットに前と後ろから抱きつかれ、今日はこの状態で過ごす事に。
ユーディットは気付いていなさそうだが、時々ノーラがこっそりキスしてくるんだが……今日は仕方ないか。
「改めて皆に紹介するが、新たに俺たちの仲間となった、狐耳族のミオだ」
「我はミオなのじゃ。そちらの三人は、いきなり追い出してしまって悪かったのじゃ。しかし、これからは同じ夫を持つ身。よろしく頼むのじゃ」
そう言って、皆に挨拶するミオだが、もちろん衣服は綺麗になっている。
というのも、ソフィへの魔力供給をしている間に、リビングに居た全員で風呂へ入ってもらったからな。
かくいう俺も、本体で風呂へ入り、分身でソフィに魔力供給を行うという新たな技を身につけた訳で。
……まぁ分身を使おうが、本体でしようが、誰かの協力が必要な事に代わりないし、風呂の中でレイに襲われかけたんだけどさ。
そんな事を考えていると、風呂でもしようとしてきたレイが、突然大きな声を上げる。
「な、なんでっ!? どういう事なんやっ!?」
「レイ、どうしたんだ?」
「あ、アレックスはん。ウチ、いつの間にか子供を産んでてんけど! それも三つ子……えっ!? 確かにやる事はやったけど、こんなに早くオカンになるもんなんか!?」
「あー、違うんだ。他にもエリーやモニカの子供が居ただろ? それは、メイリンのスキルで生み出された魔法人形なんだよ」
「魔法人形!? この、ウチの幼い頃にそっくりの女の子が?」
見ればレイの人形が三体に、俺の人形が八体いた。
という事は、いつも番になっているから……やっぱり。エリー、リディア、ニナ、モニカ、サクラの人形がそれぞれ一体ずつ居る。
これで合計が……三十一組で、人形の子供も居るから、
「旦那様。妾たちの子は、全員で八十七人です」
こっそりメイリンが教えてくれたけど、凄い人数になっていた。
一先ず、八組も増えている訳だし、急いで小屋と服を作ってもらわないといけないな。
「そうだ。念願の布が沢山あるんだけど、この中で裁縫が得意な者は居ないか? 人形たちに服を作ってあげて欲しいのだが」
「得意……という程ではありませんが、簡単な事なら」
「モニカ!? 意外だな。そんな事まで出来るのか?」
「はい。ご主人様にさり気なくアピールする為、この魔族領へ来てから、少しずつ少しずつ、このスカートの丈を短くしておりましたので」
いや、そんな事をしていたなんて、全く気付いていなかったんだけど。
というか、スカートを短くしなくても、モニカは普通に脱ぐだろうが。
「ふふっ……ご主人様がチラリズムに弱いという事は、知っておりますので」
「そ、そんな事は無い……と思うのだが」
「ふむ……アレックスは、ちらりずむが好きなのじゃな。覚えておくのじゃ」
ほら! モニカが余計な事を言うから、ミオが誤解したじゃないかっ!
……まぁ俺に自覚がないだけで、見てしまっているかもしれないので、強く否定出来ないのが辛い所だが。
とりあえず、メイリンからレイへ、魔法人形の事を教えてあげるように依頼し、全員で南エリアの家を目指して歩いて行く。
途中で東エリアの人形たちの家に差し掛かる。
「ほぉ。確かに、先程言っておった魔法人形というのが沢山おるのじゃ」
「あぁ。メイリンの――ドールマスターのスキルだ。身体は小さいが、それぞれ有益なスキルが使えるから、この地の開拓作業にとても役立っているんだ。それから……今木材を運んでくれているゴレイムとかも助かっているな」
「むぅ……わかったのじゃ。我も、アレックスの妻として、この開拓作業という仕事に役立てる所を見せるのじゃ」
ここまで来る間に、俺がこの地で何をしているのかと、魔法人形たちの役割について話すと、何故かミオが対抗心を燃やし始め、
「アレックス。後で見せると言った、我のもう一つのスキル――式神を披露するのじゃ!」
懐から、変な形の白い紙を取り出した。
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