第648話 暇すぎる船の中とシアーシャの作戦

 ノーラが故郷へ帰り、フェリーチェも一旦自身の家へと帰る事になり、モニカが一行に加わって西大陸へ行く事になった。

 ちなみに、サムエルの村で五体もプルムの分裂体が生み出されたが、そのうちの二体をフェリーチェが連れて帰ったが。


「はぁ……久々のご主人様のアレ。……最高だった。我慢した甲斐があったな」


 レヴィアに引いてもらっている船の先端で、モニカが物思いに耽っているが……近寄らない方が良さそうなので、少し離れておこうか。

 とはいえ、大きな船ではないので、離れても聞こえてくる……って、ザシャがモニカに近付いていったが、何をする気なんだ?


「モニカ。ちょっと聞こえたので、教えてくれ。今のところ、アレックスさんに出会ってから、ほぼ毎日愛してもらっているのだが、やはり間を空けて愛してもらうと、感覚が違うのか?」

「うむ! 暫くアレ禁してから、ご主人様に愛していただくのは格別だった」

「アレ禁?」

「ご主人様……アレックス様禁止だが、本当に凄いんだ。普段のご主人様のアレも凄いのだが、間を空けた分だけ感度が増すというか、一突きで果てそうになる」


 ザシャが真剣な表情を浮かべていたので、何の話かと思ったが……どうでも良い話だった。

 聞かなくて良い話なのだが聞こえてきてしまうので、船の中でユーリと暫く遊ぶ事に。

 だが、船の中に入ると、暇そうにぐでーっと横になっていたミオとシアーシャの目が怪しく光る。


「アレックスよ。船の中へ入って来たという事は、あの森の中の続きなのじゃな!?」

「えっ!? そうなんですの!? 私もしたいですのっ!」

「どうしてそういう話になるんだよ」


 俺の言葉で、飛び起きたミオとシアーシャが再びぐでーっと寝転ぶが、二人ともさり気無く脚を開くのはやめような。はしたないから。


「アレックスよ。暇なのじゃ。揺られているだけで何もする事がないのじゃ」

「私もですの。せっかくのこの時間……愛していただけると嬉しいですの」


 アレ以外する事が無いと言われ……何かないかと考える。


「そうだ。さっきモニカが……」

「モニカがどうしたのじゃ?」

「い、いや、何でもない」


 さっきのモニカの話を伝え、仮に皆が真似をしたら、その後の反動が怖すぎる。

 実際、シーナ国の各拠点を回った時は大変だったしな。


「アレックスよ。言い掛けたのなら、最後まで言うのじゃ。気になるのじゃ」

「いや、大した事ではないんだ。船首でザシャと楽しそうに話していた……というだけだ」

「何なのじゃ? それは?」


 とりあえず誤魔化せたので、当初の予定通り、ユーリに遊ぼうかと伝えると、嬉しそうに抱きついてきた。

 ユーリに天使族の子供の遊びを教えてもらい、暫く一緒に遊んでいると、プルムが一緒にやるー! と言いながら、混ざって来た。

 分裂し過ぎで、今のプルムは幼い姿とはいえ、おままごとに近い遊びなのだが、大丈夫か?

 内心そんな事を思いつつも、意外にプルムが楽しそうに遊んでいる。

 もしかしてプルムの精神年齢はユーリと同じくらい……いやいや、俺と同じでユーリに合わせて遊んであげているのだろう。

 そんな事を考えていると、突然シアーシャが叫び始めた。


「なるほど……これですのっ!」

「どうしたんだ? シアーシャ」

「アレックス様。気付きませんか? 今、この場に居る者たちを見て、共通点がある事を」

「共通点?」


 今、船の中に居るのは、俺とユーリとプルム。それから、ミオとシアーシャの五人だ。

 共通点……何かあるか?


「すまない、シアーシャ。一体、どういう共通点があるんだ?」

「それは、全員幼い姿になれる事ですの! アレックス様も幼い姿になれますの。私も、アレックス様のアレをいただければ、幼くなれますの。この五人でリアルおままごとをすると良いと思いますの」

「なにそれ、たのしそー! パパー! ちーさくなってー!」


 シアーシャの言葉にユーリが反応し、変身スキルを使って欲しいと言ってくる。

 確かに今やっている遊びはおままごとみたいなものだが、そんなの絶対にミオがやらないと思うのだが……ミオがシアーシャに何か耳打ちされている?


「なるほど……さぁ、アレックスよ。全員幼い姿になるのじゃ。ユーリも遊んで欲しそうなのじゃ」


 何だ? ミオが目を輝かせているのだが。

 まぁそれだけ暇だという事か。

 だったら、シアーシャの提案に乗って、全員で幼い姿に……って、待った!


「シアーシャが小さくなる為には俺のが必要……って、ユーリをダシに使うなよ」

「ば、バレましたのっ! ……ふっふっふ。ですが、アレックスさん。ユーリちゃんは既に乗り気ですの。さぁ大人しく、私にアレを注いでくださいですの! ユーリちゃんの為にっ!」


 シアーシャの策略で、リアルおままごと? をやらされそうになったのだが、その前に船が止まる。


「あなた。北大陸の一番西まで来たのと、もうすぐ日が暮れるから、レヴィアさんが今日はこの辺りで止めておこうって……」

「よし、ナイスだレヴィア!」

「……アレックス。じゃあ、レヴィアたんにご褒美!」


 レヴィアのおかげで、シアーシャの目論見が外れた……と思ったのだが、結果は同じ事に。

 何か……何か船の中で出来る事を考えなければ。

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