第110話 マンドラゴラから作った薬

 レイが家の空き部屋の一室で薬を作り始めたので、東にあったリザードマンの村での事を皆に話し、


「……という訳で、ニナには鉄の武器や防具を作って欲しいんだが、頼めるか?」

「もちろん。だって、ニナは鍛冶師だもん。まっかせてー!」


 明日からニナに武器造りをお願いした。

 これに伴い、地下洞窟探索組にニナの人形ニアも加える事にして、鉄の採取も強化する事を決め、夕食まで開拓作業に加わる。

 それから暫く時間が経ち、


「レイ。食事だ……って、大丈夫か?」

「はっはっは……ついに出来たでっ! 伝説のマンドラゴラを使った薬の完成やっ! やったで! やったったでー!」


 レイを呼びに行くと、何やら怪しげな黄色い液体の入った小瓶を握りしめ、一人で叫んでいた。


「……ん? 丁度良い所に、アレックスはんがおるやないか。見てくれへんか。マンドラゴラを使った薬が出来たんや!」

「そ、そうか。随分と早く出来るものなんだな」

「それはウチが薬師やからな。調合に便利なスキルがあって……って、そんな事より、この薬はアレックスはんの為に作ったんや。せやな。今晩寝る前にでも飲んでくれへんか」

「……な、何の薬なんだ?」

「それは飲んでのお楽しみや。大丈夫。最悪の場合、初めてやけど、ウチが責任取ったるさかいに」


 初めて……って、初めて薬を作った? いや、流石にそれはないか。

 マンドラゴラを使った薬を作るのが初めてって事だろう。

 ただ、責任って言われても……まぁでも、余程の毒性がなければ、俺には効かないし、俺の為にと言ってくれているんだ。

 言われた通りに飲んでおこうか。


「わかった、ありがとう。じゃあ、後で飲むよ」

「せやな。たっぷり楽しんでや」


 楽しむ? ……あ、危ない薬とかじゃないよな?

 若干心配になりながらも、レイを連れてリビングへ行き、リディアたちが作ってくれた食事をいただく。

 そして、風呂の時間となったので、


「レイ……は、ユーディットとソフィと先に入ろうか」

「わかった。じゃあ、先にお風呂いただくなー!」


 先に三人で風呂へ行ってもらう。

 暫くして三人が出てくると、真っ先にレイが近付いて来て、


「あ、アレックスはん! ソフィはんから聞いたんやけど、ウチら三人を除いた全員が奥さんで、一緒にお風呂へ入るって……ホンマなん?」

「奥さん……はさておき、まぁその、一緒にお風呂へ入るのは本当だな」

「……わかった。ほな、さっき渡した薬あるやろ? 今すぐ飲んで!」

「え? さっきは寝る前に飲むって言っていたぞ?」

「まさか、お風呂でしてるとは思わへんやん! とにかく早く! 効果が現れるまで、少し時間がかかるし、とにかく急いで!」


 強引に薬を飲まされる事に。


「……飲んだけど、この薬は本当に大丈夫なんだよな?」

「もちろんや! マンドラゴラを材料にした精力剤は、大昔から作られてる、有名な薬やしな」

「…………ちょ、ちょっと待った! 精力剤だと!?」

「せやで。これだけの人数を相手にするんやろ? そんなんめっちゃ大変やん。頑張って一晩に二発か三発としても、ここに居る半分以上の女性は翌日までお預けになってまうんやろ? でも今日はそんな心配無用やで! 良く効くはずやから、めちゃくちゃ楽しんできて!」


 いや、事情を知らないとはいえ、何て物を飲ませるんだよっ!

 一先ず脱衣所へ移動した所で、早くも俺のアレが大変な事になり始めたので、


「≪リフレッシュ≫」


 状態異常回復魔法を使用してみたけど……ダメだっ! 元通りにならないっ!

 とりあえず、ノーラに見つかる前に……と、急いで湯船の中へ入ったけど、


「お兄ちゃーん! 聞いて、聞いてー!」


 すぐさまノーラが全裸で抱きつき、甘えて来る。

 くっ……マズい。普段は絶対にノーラへ手を出さないようにしているのに、薬のせいか、お兄ちゃんと甘えてくるノーラと、あんな事やこんな事をしたいと思ってしまっている!


「≪分身≫っ!」


 急いで分身スキルを使い、


「……皆、すまない。俺の昂りを、静めてくれっ!」

「ふふっ、アレックスったら。もう、そんな状態なの? じゃあ、早速私が……んっ! な、何っ!? いつも分身スキルを使っている時は、私たちが動いているのに……今日は、アレックスから積極的に! しかも、物凄く激しくて深いっ!」


 とにかく出す物を出して、ノーラに手を出さないようにしなければと、全力でエリーに吐き出す。

 だけど、いつもにも増して収まる気配がなく……ヤバいっ! 本当にヤバい!

 このままでは、俺がノーラを襲ってしまうっ!

 皆、俺を助けてくれっ!

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