第626話 外が平気になってしまったネーヴ

「~~~~っ! こ、これは……さ、刺さるっ! 奥まで……こんなの~~~~っ!」

「ネーヴ? 一旦帰るか?」

「ご、ご主人様。ネーヴさんの、それは、嫌よ嫌よも好きの内って、言って、もっと……して、欲しいって意味っ! ですよー」


 ネーヴの希望を叶える為、外でドロシーを抱えた俺の分身と一緒に走っているのだが……俺は一体何をしているのだろうか。

 ネーヴは気を失ってるようにも思えるのだが、ドロシーはもっと続けるべきだという。

 とりあえず、村を一周だけして家に戻るか。


「おほぉぉぉっ! さ、流石はアレックス……様。何事もなかったかのように、走り続ける……す、素敵」


 って、ドロシーまで気絶していないか!?

 じゃあ、やっぱりさっきのネーヴのは、もう限界だったって事だろ。

 マズい。限界に達したネーヴをそのままに、結構走ってしまった。

 ひとまず、走るのを止め、ネーヴの家へ。

 ベッドにネーヴとドロシーを寝かせると、グレイスが俺に抱きついてくる。

 とりあえず、後は分身に任せて、俺は寝る事にしよう。

 そう思った直後、突然扉が開かれる。


「お、お兄さん……や、やっと辿り着いた」

「か、カスミ!?」

「ふふふ……久々のお兄さんと過ごす夜。そう簡単に諦めないんだからっ!」


 汗だくのカスミが現れたのだが……まさか、ここまで走って来たのか!?

 いや、ベイラドの街からでも十分遠いのに、クワラドの街の屋敷からだと、普通に馬車で数日かかる遠さだと思うのだが。


「さぁ、お兄さん! 私も混ぜてっ!」

「カスミ、大丈夫か? 汗が凄いのだが」

「汗なんて、お兄さんと一晩過ごしたら、これくらいになるわよっ! そんな事より……分身さんでもオッケーよーっ!」


 割と本気でカスミの身体能力がどうなって居るのかと不思議に思いつつ、俺は就寝させてもらう事にした。


 そして、翌朝。

 目が覚めると、カスミとネーヴとドロシーが争う様にして、俺の分身の上で頑張っていた。


「ふふっ。お兄さんとの子は私が先に生むのよっ!」

「アレックス様の御子は、私が生むのだっ! 約束したのだからなっ!」

「私も、ご主人様の子供を生みまーす! というか、もうお腹の中に居るんじゃないかなー?」


 えっと、この状況は一体何なんだ?


「あ、アレックス様、おはようございます。母が申し訳ありません」

「サクラ!? ナズナまで! ……まさか夜中に走って来たのか!?」

「はい。それはそうなんですが……うちの母は一体いつから、アレックス様の上に?」

「夜になる前には居た気がするんだが……」

「えぇ……あの距離を、そんな短時間で!? しかも一晩中ネーヴ殿やドロシー殿と張り合う様にして……何それ怖い」


 いや、サクラが引いちゃダメだろ。

 確かに驚異的な体力だとは思うけどさ。


「アレックス様。余程激しかったのか、あの三名以外誰も起きてきませんので、お身体を清められるのでしたら、私がご一緒致します」

「あ、ナズナ! ズルい、私も行くぞ!」


 ナズナとサクラと三人で風呂へ入り、スッキリすると、何人かが目覚めていて、皆で朝食を取る。

 ……その、未だにカスミとネーヴとドロシーの三人は寝室に居るが、分身を解除すると怒りそうなので、この三人とクワラドの街の屋敷でマッサージを受けている分身の四体だけを残して解除しておいた。

 だが、四体だけでも分身とは感覚が繋がっているので、結衣に助けてもらっているのだが。


「アレックス様。次はエリラドの街です。ジャーダとジョヴァンナが馬車を引いてくれるそうですので、あちらへお願い致します」

「すまない。助かる……って、もう分身を消しても良いよな?」

「流石に良いと思いますけど……あ、消えた。母とネーヴさんがアレックス様を探していますね。ドロシーさんは……あ、限界だったのか、そのまま寝ましたね」


 サクラに促され、村の入り口にあった馬車へ向かうと、


「お兄さぁぁぁんっ! 置いていくなんて酷いじゃないっ! カスミちゃんもイクのぉぉぉっ!」

「アレックス様! 約束ですよ! 万が一、昨晩ので孕んでいなければ、挙式を……盛大な挙式をお願い致しますーっ!」


 カスミも馬車に乗り込み、ネーヴが大きく手を振りながら見送ってくれた。

 とりあえず、ネーヴは村の代表なので、全裸でアレを垂れ流しながら、村の入り口に立つのは止めて欲しいのだが……ね、ネーヴの変な扉を開いていなければ良いのだが。

 若干の不安を抱きながら、エリラドの街へ向かう事にした。

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