第625話 ネーヴのお願い

 これまでネーヴを放っておき過ぎたのか、ネーヴが全く離してくれないので、六合を気絶させたのと同じ方法を取ろうとしたのだが……ウラヤンカダの村には元冒険者が集まっているからだろうか。

 ネーヴ以外の者たちも全く気絶する事なく、女性が一度満足すると順番待ちの者に代わり、また満足すると次の者へ……に、人数が多過ぎる!

 ……仕方がない。早く西の大陸へ行かなければならないのだが……今日はウラヤンカダの村で一泊するか。

 なので、無理にネーヴの気を失わせるような事はせず、好きなだけ付き合う事にした。

 幸い、ようやくクララが目覚めたのか、イースとイリスの二人掛かりで俺の分身にマッサージをしてくれているしな。

 ……ただ、どうやっているのかは分からないが、感覚的にマッサージを受けている分身にクララやヘレナがいろんな事をしているが。


「アレックス様……また旅立たれてしまうのですよね?」

「ん? あぁ、そうだな。次は西の大陸へ向かうんだ」

「……私は連れて行ってもらえないのでしょうか」

「ネーヴが来てくれれば、きっと助かる事が沢山あると思うけど、そうするとこの村を任せられる者が居ないからな」


 第一魔族領の野菜村と魚村には、それぞれ元々統治している村長たちが居る。

 他の街や屋敷は俺たちも住んでいるだけで、統治に口出しする事はない。

 なので、第四魔族領とこのウラヤンカダの村は完全に俺たちで統治する必要があり、それぞれ統治する事が出来るであろう、メイリンとネーヴに任せている。

 メイリンは妊娠している事もあって、第四魔族領から離れる事は出来ないし、ネーヴ以外でウラヤンカダの村を統治出来そうな者と言えば……うん。適任者が居ない気がする。


「で、では……一つ確認させていただきたいのですが、私はアレックス様の妻の一人ですよね?」

「あぁ。勿論ネーヴが嫌だと言うのであれば、その限りでは無いが」

「そんな事言う訳ないではないですか! そうではなくて、私にもアレックス様の妻だという契りか証が欲しいのです」

「えっと、具体的には?」

「はい。ユーディットのように結婚式を開くか、アレックス様との子供が欲しいのです」


 なるほど。離れ過ぎていたせいで、ネーヴを不安にさせてしまっているという事か。

 そのため、今もずっと俺を放さずに話し続けていると。

 ……まぁその、他の分身たちのせいで、大事な話をしながら、時々出してしまっているのだが。


「わかった。出来るだけ希望に沿おうとは思う」

「アレックス様っ! では、今晩はここに泊まり、ずっと愛してくださるという事でよろしいですか!?」

「あぁ。もう時間も時間だしな。今日はここに泊めてもらおうと思う」

「わかりましたっ! では私も、全力でアレックス様のを受け止めますねっ! 皆の者っ! 今日は宴だっ! 皆、全力でアレックス様のをいただくぞっ!」


 ネーヴ!?

 いや、何の宣言なんだよっ!

 あ、そうか。分身たちに対してでも女性陣が頑張れば、俺がアレを……なるほど。そういう事か。


「えっと、よく分かっていませんが、アレックス様に沢山愛していただけるという事は分かりましたっ! 私、頑張りますっ!」

「おぉ、グレイスも目覚めたか。今晩はアレックス様がここに泊まっていってくださるとの事。また気を失わぬように、他の者と交代しながら励んでもらいたい」

「あ、私も普通にする分には大丈夫です! ここへ来るまでの衝撃が凄すぎただけで……でも、あの凄さはちょっと忘れられないかも……」

「む!? 一体、どのような交わり方をしていたというのだ?」

「うふふ。実はですね……」


 えーっと、グレイスは目覚めた途端にネーヴに何を話しているんだ!?

 というか、余計な事を伝えないで欲しいのだが。


「な、何ぃぃぃっ!? アレックス様のアレを挿れたままジャーダが全力で走るだと!? その時の衝撃でアレックス様のが激しく……くっ! 羨ましい! アレックス様! 今から外へ参りましょう!」

「ネーヴ!? 今まで割とまったりしていたのに……ネーヴっ!?」


 グレイスの話を聞いたネーヴが暴走し、力づくで俺を外へ連れて行こうとする。

 っもちろん俺が拒絶すれば取りやめるだろうが……先程のネーヴの話もあるからな。

 せめてジャーダやジョヴァンナは巻き込まないようにと、代わりに俺が走ると告げ、ネーヴを抱きかかえたまま外へ出ると、


「あ、ご主人様も外でされるのですね! やっぱり自然の中でするのは良いですよね! 私もご一緒しまーす!」


 何故か俺の分身にしがみ付いたドロシーまで一緒について来る事になってしまった。

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