第624話 連れ去られるアレックス
とりあえず、誰かを特別扱いしている訳ではない事を告げ、一旦グレイスに離れてもらおうと思ったところで、突然教会の扉が開かれる。
「あーっ! 本当に来てたー! アレックス様! 急いでくださいっ!」
「えっ!? ジャーダ!?」
扉を開けて、馬耳族の少女ジャーダが現れると、持ち前の機動力でまだグレイスに抱きつかれたままの俺を、グレイズごとジャーダが抱きかかえてきた。
流石、元馬というべきか、俺とグレイスの二人を軽々と抱きかかえるとは。
「って、ジャーダ!? 何をするつもりなんだ!?」
「メイリンさん経由で、アレックス様がこの教会へ来ていると聞いて、ネーヴさんが急いでお連れしろって……というか、本当に来て! アレックス様がネーヴさんを放置し過ぎて、最近ネーヴさんがイライラしてて怖いんだもん!」
「そ、それはすまなかった……って、このまま走るのかっ!?」
「うん! ボクの足ならすぐだから! 行っくよーっ!」
そう言って、ジャーダが走り始めたのだが、俺もグレイスも全裸な上に、大事な事が!
「ろ、ロザリー! 俺の分身をクララに……クララにイースとイリスの所へ連れて行くように頼んでくれ! 俺の……俺の腰がぁぁぁっ!」
全力で叫んだのだが、ロザリーに伝わっただろうか。
だがクララがまだ気を失っていたし、この感じからすると、残してきた一体の分身が気絶していない女性陣に囲まれ……いろんな所を押し付けられているっ!
「ふわぁぁぁっ! じゃ、ジャーダさんっ! アレックス様のが入ったままだから、この速度と振動で走られたらぁぁぁぁっ!」
「ぐ、グレイス! くっ……ザシャが使っていた暗くするスキルが欲しいところだ」
幸い、ジャーダの走りが物凄く早いので、そこまでマジマジとは見られていないけど、グレイスの全裸を出来るだけ人目に晒したくないんだが。
ザシャから何のスキルを得たか、まだシェイリーに聞いていないのが辛いところだな。
あの暗くするスキルが使えれば良かったのだが。
グレイスが気を失ってしまったので、落ちないように抱きかかえ、更に分身側の刺激もあって、何度か出てしまったが……気付いた時にはネーヴに統治を任せているウラヤンカダの村へ到着した。
だがジャーダは止まらず、そのまま一番大きな元村長の家へ入り、
「ネーヴさんっ! アレックス様をお連れしたよーっ!」
「あ、あ、あ……アレックス様ぁぁぁっ! やっと、やっとお会い出来ました! そちらの女性はベッドに寝かせて、次は私ですっ! さぁ、アレックス様っ! 一刻も早く! アレックス様ぁぁぁっ!」
既に全裸待機していたネーヴが抱きついてきた。
いつの間に改装したのか、玄関の次が寝室で、ベッドが十台程並べられているのだが。
グレイスが一番端のベッドに寝かされると、
「アレックス様ー! ボクもー! ボクも頑張って走ったよー? ご褒美ご褒美ー!」
ジャーダがキラキラと目を輝かせて見つめて来る。
まぁ、分身しろという事なのだろう。
「……分身」
ネーヴが待ちきれないという様子なのと、暫く来れてなかったという事実もあるし、ウラヤンカダの村に住んで居る元冒険者の女性たちも集まっていて、何故か全員全裸でこっちを見ていた……というプレッシャーに負け、分身を使う。
しかし、先程の個別解除の効果の影響なのか、新たに分身を発動させても、六合教の教会に残された分身は消えないんだな。
ならば、やはりイネスの人形であるイースとイリスのところへ連れて行って欲しいのだが、クララはまだ気絶しているのだろうか。
腰が……もう腰が悲鳴を上げているんだ。
「アレックス様! 私も混ぜてくださいっ!」
そこへ、もう一人の馬耳族の少女、ジョヴァンナもやって来て、更に、
「ご主人様っ! お待ちしておりましたっ! さぁ準備は出来ております! あ、私は自然を感じながらしたいので、外へ……分身さんを一体借りますねー! あぁぁぁっ! 自然の中で、自然体でご主人様と一緒に……最高ですっ!」
久しぶりにモニカ……ではなく、モニカそっくりで胸だけ小さくなったドロシーが俺の分身を連れて外へ出て行った。
せ、せめて村の中で頼む。村の外には出ないでくれよな。
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