挿話26 アレックスの妻になるウィッチのフィーネ

 アレックス様……この人が、フィーネを不幸な運命から助けてくれる王子様!

 背はフィーネよりも頭一つ分くらい高くて、手が大きい。

 フィーネが小さい頃に、よしよしって頭を撫でてくれたお父さんの手を思い出す。

 お父さんみたいに、よしよししてくれないかなー?

 けど、それ以上に気になるのが、ズボンの中の匂い。

 一体あの中に何があるのか、凄く教えて欲しいんだけど、


「フィーネ……とりあえず、そこを凝視するのは止めような」


 何故かアレックス様に止められてしまう。


「アレックス様が中を見せてくれたら、止めますよ?」

「だから、見せないってば。フィーネだって、スカートをめくってパンツを見せろって言われたら、嫌だろ?」

「え? 別に平気ですけど?」

「……って、見せなくて良いって!」

「アレックス様、今フィーネのパンツ見ましたよね!? じゃあ、フィーネにもアレックス様の、その中を見せてください」


 フィーネが粘り強くお願いしても、何故かアレックス様は中を見せてくれない。

 どうして?


「アレックス様。フィーネのパンツを見せたんですから、アレックス様も見せてくださいよー!」

「いや、しかし……」

「いいじゃないですかー。じゃあ、もう一度フィーネがパンツ見せますから」

「そういう事じゃないんだって」

「えぇーっ! フィーネがパンツを見せたら、見せてくれるって言ったのにーっ!」

「いや、それは勘違いだってば!」

「ほらほら、アレックス様。フィーネのパンツ、見てください」


 アレックス様がフィーネから目を逸らすので、スカートをめくりながら、視界へ入ろうとしていると、


「アレックス。新しい冒険者は来た……って、どうして女の子にスカートをめくらせているの!?」

「ち、違うんだっ! これには深い訳があってだな……」

「さっき、私たちのパンツどころか、胸も見たし触ったわよね!? ……まさか、あんなに沢山飲ませたのに、まだ出し足りないのっ!? というか、そういう事をするなら、私に言ってよっ!」

「だから、本当に違うんだってば!」


 突然お姉さんが入って来て、アレックス様の腕を抱きしめる。

 凄く仲が良さそうだし、胸も大きい。

 きっと、この人がタバサさんの言っていた、モニカさんね。


「あの、はじめまして。フィーネって言います。これから、夜は一緒に頑張らせていただくので、どうぞよろしくお願いします」

「はじめまして。私は……って待って! 夜は頑張るって、どういう事なのかしら、アレックス。まだ来て数分なのに……長年一緒に居た私には、全然手を出さなかったくせにっ!」

「ま、待った! 俺は何もしていないし、さっきのも誤解なんだっ!」


 モニカさんが、アレックスさんにグイグイ迫って行く。

 そういえば、お母さんもお父さんに迫って居る時が何度かあった気がする。

 そういう時は、だいたいフィーネが部屋の外に出されて、暫くしてから二人が凄く仲良しになるんだよね。

 アレックス様とモニカさんも、そうなるのかな? だったら、そういう時に二人が何をしているのか知りたいな。


「あ、あの! 今からお二人でされるんですか? でしたら、是非フィーネも混ぜてくださいっ!」

「何をだよっ! 何もしないっての!」

「アレックス……やっぱり、既に手を出していたんだっ! フィーネさん。貴女もアレックスの恋人となるのは良いけど、最初にアレックスとエッチするのは、私なんだからねっ!」


 そう言って、モニカさんがアレックスさんに抱きつき……わぁ、キスしたっ!


「お、おぃ……フィーネの前で……」

「ダメっ! 私の方がアレックスの事が好きだって、教えておくんだからっ! アレックスの濃いアレだって、私は飲んでるんだもん!」


 た、大変な所へ来ちゃった!

 モニカさんが、フィーネに見せつけるようにキスをして、アレックス様の手を取ると、自らの胸を触らせてる!

 ドキドキしながら、二人の様子を見ていると、モニカさんがアレックス様から離れ、


「えっと、ここに住む女性は、全員アレックスの恋人だから、ちゃんと譲り合うのがルールだからね。さぁどうぞ。でも、一線は越えちゃダメだからっ!」


 今度はフィーネの番だと言ってきた。

 アレックス様は、フィーネを助けてくれる騎士様だけど、ついさっき会ったばかりなのにキスなんて恥ずかしい。

 で、でも、せっかくだし、キスしてみよっかな?


「お、おい。フィーネ!? 俺とフィーネは……」

「アレックス様。結婚してくださいっ!」

「ちょっと! 話が飛び過ぎよっ!」


 さっきのモニカさんの真似をして、アレックス様に抱きつき……ぎゅっと唇を押しつけてみた。

 えへへ……初めてキスしちゃった。

 あと、モニカさんは舌を入れていたよね。

 こんな感じかな? ……あ、これ、凄い。凄く気持ち良い。


「…………ふぅ」

「フィーネさん? ど、どうしたの?」

「……あ、すみません。キスって凄いなって思って。……えっと、アレックス様、モニカさん。これから、アレックス様の新たな妻として、末長く宜しくお願いします」


 二人に深々とお辞儀をすると、


「ちょ、ちょっと待った。フィーネ。新たな妻って、どういう事なんだっ!?」

「えっ!? キスしたら夫婦じゃないんですかっ!? それに、男女でキスしたら子供が出来ちゃいますし」

「……えーっと、うん。え、エリー任せた」


 アレックス様が困惑した表情で、隣に居る女性に話を振る。


「あれ? エリーさん……って、確かアレックス様のもう一人の奥さんですよね?」

「アレックスの奥さん……そ、その通りよ。タバサさんから、そう聞いたの? ふふっ……でも、私がエリーで、モニカさんは別の場所に居るわ」

「えっ!? そうなんですかっ!? タバサさんからは、二人居る奥さんの内、変態の方がモニカさんだって聞いていたんですけど……じゃあ、モニカさんはもっと凄いんですかっ!?」

「そうね。モニカさんは凄い……って、待って! フィーネは私の事を変態だと思ったの!?」

「だって初対面なのに、目の前でいきなりアレックス様とキスし始めて、胸とか触らせてたもん」

「……ご、ごめんね」


 モニカさんだと思っていた人は、エリーさんだったけど、来て早々にアレックス様の奥さんになれた。

 まだ何をするのか分からないけど、夜になったら、エリーさんに教えてもらいながら頑張ろーっと!

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