第61話 自己紹介と唐突に始まる空中戦

「先日話に出ていた、新しい住人だ。皆よろしく頼む」

「フィーネです。ここへ来る前は、エリさんとモニカさんの二人だと聞いていたのですが、こんなに沢山女性が居て、少し驚いています。ですが、一生懸命頑張りますので、皆さんよろしくお願いいたします」


 フィーネが転送されて来た直後、いろんな事があり過ぎたけど、皆が待っているので、一先ず新しい家で自己紹介をしてもらう事に。

 ちなみに、フィーネは色々と知らない事が多く、キスで子供が出来ると思っていたので、そこはエリーと共に否定だけしておいた。

 ……当然、「じゃあ、どうやったら子供が出来るんですか?」と聞かれたのだが、そこはエリーに任せてある。

 流石に、俺から女の子にそんな話をするのはマズいだろうし、フィーネは作る為のアレを見せてくれとか言い出しかねないし。


「とりあえず、立ち話もなんだし、リディアが昼食を作ってくれているから、食べながら話そうか」


 小屋から持ってきたテーブルに料理が並べられていて、先ずは皆で食事にする。

 美味しそうにご飯を食べるフィーネを見て、作ったリディアも微笑んでいて……うん、良い感じだ。


「じゃあ、こっちのメンバーをリディアに知ってもらおうか。エリーは小屋で自己紹介を済ませたし……そうだ。フィーネは、タバサからモニカの事を聞いているみたいだから、モニカから頼む」

「畏まりました。タバサ殿から聞いているようだが、私がモニカだ。見ての通りメイドとして家を掃除をしたり、ご主人様のをお掃除をしたり、また戦闘ではマジックナイトとして前衛を担っている。よろしく頼む」


 ……今、モニカは途中でとんでもない事を言わなかったか?

 だがフィーネは何も気付いていなさそうだし、ノーラやニナも大丈夫そうだ。

 このままスルーして……あ、この視線からすると、リディアは気付いているな。


「あれ? タバサさんからは、モニカさんはド変態だと聞いていたんですけど、違うんですね」

「当たり前だ。タバサ殿から何を聞いたかは知らないが、私は至って普通に、ご主人様へご奉仕しているだけだ」

「そうなんですねー。じゃあ、フィーネもアレックス様にご奉仕頑張りますねっ! ……ところでご奉仕って、何をするんですか?」


 フィーネは、モニカへ熱い眼差しを向け、何をするか学ぼうとしているようだ。

 それ自体は良い姿勢なのだが、


「そういう事なら、先ずは口で……」

「掃除っ! モニカがしているのは、部屋の掃除っ! 次はリディアっ!」


 モニカは何を教えようとしているんだよっ!

 後でモニカに変な事を教えないように注意しようと思いつつ、皆の自己紹介を聞いていく。

 うん、モニカ以外は普通だったので、大丈夫だったよ。

 それから食事を終え、皆で後片付けをしていると、


「アレックス。悪魔の気配が近付いて来ているぞ」


 突然シェイリーが入って来た。


「え? 悪魔? ど、どういう事ですか!? それに、この女の子は?」

「すまないが、後で説明するよ。それより、危険だから、全員この家の中で待機していてくれ。あと、リディア……フィーネを頼む」


 リディアにフィーネの事を任せ、急いで戦闘準備を済ませると、モニカとエリーを連れて、シェイリーと共に家を出る。

 出てすぐに西の空へ目をやると……大きな黒い鳥たちがV字に並んで飛んでいた。


「多いな」

「だが、やっかいなのは一番後方にいる者だけだろう。手前を飛んでいるのは、ただの翼を持つ魔物。……うむ、アレックスとエリーは我の背に乗るのだ。雑魚はエリーと我の魔法で一掃する。やっかいなのは、我とアレックスで倒すぞ」

「分かった。すまないが、頼む」

「ふっ……この戦いが終わったら、アレックスには、また子種をたっぷり飲ませてもらうとしよう。何やら、面白いスキルが増えておるようだしな」


 スキルが増えている?

 あ、フィーネとキスしたからか。

 シェイリーの言う「面白いスキル」という表現が気になるものの、今は向かって来る魔物たちの撃退が先なので、エリーと共に龍の姿となったシェイリーの背に乗る。


「わ、私は……まさか、また口に咥えられるのかっ!? きょ、今日は漏らしてなんていないぞっ!?」

「そうではない。お主は、万が一我らの攻撃から生き残った者が居て、地上に降りて来た場合の保険だ。せっかく新しい家を建てたのだろう? しっかり守るのだ」

「なるほど。そういう事なら、任せてもらおう!」


 モニカが役割を理解してくれた所で、シェイリーの背に乗った俺たちは、空高くに舞い上がった。

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