挿話63 見せつけられる天使族のルーシア

「その話、本当なの? 人間族のアレが凄まじく大きいって」

「だって私、さっき見たもん! 人間族の男が女性にズボンを脱がされている所を! ハッキリこの眼で、人間族のアレを見たんだから! ……あ! 今度は、向こうへ移動するみたい! ついて行きましょう!」

「こ、こらっ! お前たちっ! 勝手に移動するなっ!」


 戦乙女部隊を統べる総隊長ヨハンナ様が、今はユーディット様との久々の再会を果たしている。

 その為、副隊長である私が戦乙女部隊を纏めなければならないのに……部下たちが、人間族のアレが凄いと浮足立っていて、私の命令を聞かない!


「ルーシア副隊長も一緒に見てみましょうよ! 私たちと同じく、未経験でしょ? ……もう二千歳でしたっけ?」

「う、うるさいっ! まだ千九百歳だっ! というか、そういうトリーシアだって私と百歳しか違わない……って、そんな話はどうでも良いんだっ! とにかく、勝手に移動するなっ!」

「ルーシア副隊長。私……見たんです。絶対にビックリしますよ。股間から蛇が生えていたんです!」


 そんな訳があるかっ!

 股間から蛇が生えて居たら、そんなのモンスターじゃないかっ!

 ……って、もうっ! 皆、勝手に人間族の男について行って居るしっ!

 しかも、我々が凝視しているからか、気まずそうにしているじゃないかっ!

 あの人間族の男は、ユーディット様の夫……つまり、ヨハンナ様の義理の息子にあたるんだぞっ!? 失礼な事をしたら、後で絶対に怒られるじゃないかっ! ……ヨハンナ様から。

 一先ず、勝手に移動する部下たちについて行くと、人間族の女性が現れ……ん? 女性が三人に増え、獣人族の子供も一人居るな。

 畑に入って何をする気……っ!?


「なっ!? ど、どういう事っ!? どうして、人間族の股間から蛇がっ!?」

「だから言ったじゃないですかっ! うわっ……えぇぇっ!? あれを口でっ!?」

「ちょ、ちょっと待ってください! いつの間にか、男性が二人になっていますっ!」


 人間たちが何をしているのかと思ったら、突然人間族の男が服を脱がされ、女性たちが服を脱いでいく。

 し、しかし、一体あれは何なのだ!? あの棍棒のような凄まじい大きさのアレは!

 それを、胸の大きな人間族の女性が……うわっ! あ、あんなのが……す、凄い!

 思わず一歩前に踏み出すと、


「むっ!? な、何だこれは!? ……結界か!?」


 何故か見えない壁によって私の足が阻まれる。


「ルーシア副隊長! 中の女性たちが思いっきり叫んでいるように見えるのに、一切声が聞こえませんっ!」

「う、上だっ! トリーシア、空から近付けないか!?」

「だ、ダメですっ! どうやら球体のようになっていて、空からも近付く事が出来ません!」


 くっ……あのような凄まじい物が目の前にあるというのに、それを遠くから指を咥えて眺める事しか出来ないなんてっ!


「ルーシア隊長! もう一人の男を見てください! 白衣の女性がアレの先端を、手で透明な容器に入れようとしています」

「何をしているのだろうか。だが、あの女性の力が弱いからか、アレが上を向いたままで、困っているようだな」

「む……男を四つん這いにさせて事なきを得たようだが、今度は手を上下に動かし始めたぞ? あれは一体何をしているんだ?」


 人間族の不思議な行動を見ていると、胸の大きな女性の動きが一際激しくなり……アレの先端から、何か出たっ!


「今出たのがおそらく子種なのだろうが……凄いな。あ、あんなに沢山出るものなのか!?」

「白衣の女が慌てて蓋をして……あ、また新しい容器が出て来たな」

「ま、待ってください! 向こうは、あの獣人族の子供が……えっ!? えぇぇぇっ!? あの小さな身体で、あの大きなのを……うわぁ」


 天使族でいう千歳くらいに見える幼い少女がアレを飲み込み……いや、あの小柄なユーディット様が子供を産んでいるくらいなんだから、可能か。


「ん? 待った。あっちの胸の大きな女性からボタボタと子種らしきものが落ちているのだが……どうして、連続で出来るのだ?」

「ルーシア副隊長。人間族の男は、一日に数十回出来ると、あの女性が言っておりました。しかも、毎日だそうです」

「な、なんと羨ま……こほん。す、凄い種族だな。地上でこれだけ繁殖するはずだ」


 人間族の様子を見ていると、知らず知らずのうちに身体が熱くなり、無意識の内にモジモジしてしまっていた。

 だが、それは私だけでなく、部下たちも同じ様で、結界に貼り付くようにして、中の様子に見入っている。

 暫くすると、再びあの巨乳の女性の番となったようだが、我々に見せつける様にして、結合部をこちらに向け、挑発するような目を……だが、数秒後にはそれを忘れてしまったかのように快楽で悦びだす。

 あ、あの女めっ! 羨ましいっ! 羨ましいが……この結界を解いてくれるような気配は一切ない。

 見せつけるだけ見せつけて……ゆ、許さんっ!

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