第154話 便利なコーン畑

「毎日!? 一日三回!? 一人五発ずつ!? う、嘘よっ! そんな事が出来る訳が……」

「じ、実は人間族じゃなくて、オークとか!?」

「オークでも、そこまでは無理でしょ。でも、何なの!? この二人の女性が私たちに向ける、哀れむような目は。ま、まさか本当に……」


 いや、モニカもサクラも何をしているんだよ。

 天使族の女性たちに変な事を吹き込むなよ?

 そう思っていると、突然サクラが分身スキルを使って俺に抱きつき、身動きが取れなくなった所でモニカが俺のベルトを……って、おい。


「な、なんなの、この大きさはっ!? こんな大きいのは見た事ないっ!」

「……わ、わかった! 天使族の男性は、飛行の邪魔にならないように、普段は小さくて、子作りを行う時だけ大きくなると聞いた事がある。きっと、人間の男性は常に大きいんだ!」

「な、なるほど。では、普段は小指くらいのサイズしかないと言われる天使族のアレも、いざとなると、この人間の男性と同じ大きさになると言う事か」


 いや、マジでやめろって。

 とりあえず、モニカとサクラにデコピンの刑を処し、ズボンを直すと、


「ふっ……ご主人様は、これが普通の状態だ。子作りの時は、もっと凄い」

「う、嘘よっ! そんな……そんな馬鹿な……」


 だからモニカは余計な事を言うなってば!

 再びデコピンの刑に処し、西の祭会場で大量の料理を作っているエリーの手伝いへ行く事に。

 手の込んだ料理は無理だが、手伝いくらいは出来ると思って行ったのだが、


「……アレックスは、ゲストの相手をした方が良いんじゃないかしら」


 早々に追い出されてしまった。

 というのも、


「……」


 天使族の女性たちが、どういう訳か、俺の後を追ってきて、無言で俺を……というか、俺のある一部分を見つめてくるからだ。

 とりあえず、気まずいので移動すると、


「ねぇ、どうして人間族はスカートじゃないんだろ? 見えないよね」

「やっぱり大きいから、隠しておかないといけないんじゃない?」

「そもそも、その話って本当なの? 私、見てなかったから、にわかには信じられないんだけど」


 後ろでヒソヒソと話しながら、やっぱりついてくる。

 とりあえず、料理で使いそうな作物の収穫でもしようかと、人形たちの邪魔にならない南の畑へ向かうと、


「アレックスはーん! えぇとこにっ!」


 家からレイが走って来た。


「どうしたんだ? そんなに慌てて」

「昨日の約束っ! ウチに新鮮なアレをくれるって言うてたやん」

「いや、それは確かに言ったが……い、今なのか!?」

「むしろ、今がチャンスやん。皆忙しそうやし、色々と試したいから、沢山欲しいし」

「……分かった。じゃあ、レイが使っている部屋に行くか」

「あ、アカンって! あの部屋は、今精力剤を作っているから、またエラい事になるで!?」

「じゃあ、寝室だな」


 何もユーディットが感動の再会をしている時にしなくても……とも思うのだが、確かに約束していまっているので仕方ないかと考えていると、


「お待ち下さい、ご主人様っ!」

「それなら、ここでいたしましょう!」

「モニカっ!? 何を言い出すんだ!? こんな所ではダメだろ」

「いえ。先程のエリー殿の事を考えてください。今ご主人様が家に戻ったら、周囲の天使族が大勢家に押しかけ、壁を修理しているノーラ殿が再び悲しむ事になるかもしれません」

「う……それは避けたいな」

「ですよね? という訳で、ここなら広いですし、周囲も良い感じに背の高いコーン畑です。この畑の中ならバレませんよ」


 どこから現れたのかは分からないが、モニカが屋外で……と言ってくる。

 しかし、それにしてもコーン畑か。

 何気に背の高いコーン畑は、これまでも何度かこういう事に……げふんげふん。

 そういえば、人形たちの住む東の畑にもコーン畑は幾つかあるが、こんな事……いや、流石に無いか。


「では、アレックス様。そういう事でしたら、早速協力させていただきます」

「サクラっ!? いつの間にっ!?」

「ちょ、ちょっと待って! そういう事をしたい気持ちは良く分かる。ウチかてしたい。けど、不純物無しのアレックスはんのが欲しいから……せや! アレックスはんの分身は、こっちのビーカーにお願い!」


 それはつまり、俺がいろいろしている間、俺そっくりの分身がアレをビーカーに突っ込んで仁王立ちしておくという事か?

 ……いや、約束だから仕方が無いのだが、あまりにも間抜けな格好な気がするんだが。


「では、本体とは交われるのじゃな? 早速するのじゃ」

「って、ミオまで!? どうしてここに!?」

「天使族が来てから、ずっと面白そうな事をしておったのじゃ。絶対にこうなると思っておったのじゃ。あ、そうそう……≪隔離≫と≪遮音≫。これで、部外者は入って来れず、こっちの声も漏れないのじゃ」


 ミオが結界を張ってくれたけど、その結界に天使族が張り付くようにしてこっちを見ているんだが。

 え? そんなの関係無い? ……サクラは病み上がりなんだから、程々にな。

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