第135話 デジャヴ
「ふむ……おまじないスキルの中でも、我が不要と思ったアレの方法を知りたいと」
「そうなんです。シェイリー殿! どうかフィーネ殿に、例のおまじないを伝授いただきたいのです」
モニカの要望で、シェイリーの所へ来たのだが、新たなおまじないスキルを習得するのはフィーネのはずなのに、何故かモニカが懇願している。
最初にモニカが何かを耳打ちしていたが、そこに聞かせられない内容があるという事なのだろうが……一体何を話したんだ?
シェイリーが困惑した様子で、チラチラと俺を見てくるし、助け舟を出すか。
「モニカ。シェイリーに一体何を……」
「アレックスはん! 昨日の夜にしてへんし、そろそろウチに……」
「待って! そういう事を始めるなら、私だってするわよっ!」
モニカへ声を掛けようとした所で、結局ついて来る事になったレイが俺の動きを止める。
エリーとリディア、サクラとメイリンに、ミオが俺を囲み……って、フィーネまでこっちに混ざっているんだが。
フィーネはこっちに混ざっちゃ駄目だろ。
フィーネがスキルを習得するんだよな?
一応、フィーネには突っ込んでおいたけど、それはそれ、これはこれ……らしい。
そうなると、当然の如く、
「アレックス。我にもするのだっ!」
「えっ!? ご主人様っ! 私もお願いしますっ!」
シェイリーとモニカも混ざってくる。
いやまぁ、今回はこの展開を予想していたので、ノーラやユーディットには留守番をお願いしたのだが……正解だったな。
ちなみに、フィーネのスキルの事を気にしているのか、今日はモニカが控えめだったりする。
その分、サクラが励んでいるが。
……チャージスキルを得てから、エリーやリディア、メイリンなど、体力が低い女性たちがすぐに気を失うようになってしまった。
いや、気を失うと言っても、表情は幸せそうというか、だらしない顔と言うか……苦しんでいる訳でないので、良いのだが、残って居るのは、フィーネ、ミオ、シェイリー、モニカ、サクラの五人となっている。
今はミオとシェイリーの、見た目は幼女ペアのターンなのだが、
「な、な、な……貴様っ! 子供相手に何をしているっ!」
どこから現れたのか、誰かに似ている女の子が突然叫びだした。
「ん? この声は、もしかして……」
「メイリン様の、はしたないこのお顔と、この白い……ゆ、許さぬっ! 覚悟っ!」
「ツバキ! あぁー、そっかー。手紙を出してから、連絡出来てなかったか。まぁとりあえず、止めないとねー」
休憩していたサクラが立ち上がると、
「よっ」
短刀を手にして俺に向かっていた女の子を投げ飛ばす。
「なっ……私を投げるなんて、余程腕に……って、サクラ姉!? ……なるほど。どうやら、感動の再会とはいかないみたいね」
「え? ツバキ? 拙者が任務に出て、はや数年。感動の再会ではござらんのか?」
「……どのような妖術を使っているかは知らないけど、サクラ姉が全裸で変なのを垂らしているのも、メイリン様を易々と襲わせている事も、目の前で子供が襲われているのに見て見ぬ振りをするのも、全てあの男のせいでしょ! 私は、あの男を殺して、サクラ姉もメイリン様も助けてみせるっ!」
そう言って、女の子がどこからともなく、鎖のような珍しい武器を取り出した所で、
「≪閉鎖≫ と≪遮音≫……うるさいのじゃ。今は我の番なのじゃ。この快感に集中させるのじゃ」
「…………!」
ミオが結界スキルで、ツバキと呼ばれていた女の子を閉じ込める。
えーっと、つい最近、ほぼ同じような光景を見たんだが。
まぁでも、あの時は精力剤で俺も歯止めが効かなかったけど、今はそんな事もないし、ミオとシェイリーを満足させたら、一旦終わるか。
既に一人四周はしているしな。
「えぇっ!? アレックス様。今から、私の愚妹であるツバキに見せつけながら、全員に出していただけるのではっ!?」
「いや、そんな事しないから。というか、サクラの妹なんだよね? 妹の前で、こんな事しない方が良いんじゃないのか?」
「いえ、むしろさせていただければと。ツバキは十七歳になるシノビなのですが、房中術が全くダメでして。ですから、ここは姉として見本を……」
「しなくて良いってば。とりあえず、サクラ……というか、全員服を着て。俺はエリーたちを起こすから」
「そんな、アレックス様ーっ! いつもは、あと三回くらいはしてくださるのにーっ!」
一先ず倒れている女性たちに治癒魔法をかけていき……フィーネも服を着てっ!
可愛くおねだりしても、ダメだからな。
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