第358話 ニナとナズナ

 サンゴから連絡してもらい、ナズナにニナを連れて来てもらうのを待っていると、何か思いついたようにヴァレーリエが口を開く。


「アレックスー。ニナが到着するまで時間があるし、子作りするんよ」

「カスミちゃんも賛成ー!」

「ご主人様。私も是非参加させていただきたいです」


 いや、三人とも何を言っているのだろうか。

 そんな事より、ニナが来てからすぐに作業へ取り掛かれるように、穴を掘りそうな場所に生えている樹を除去するとか、やるべき事が……って、おい!


「ヴァレーリエ!? カスミまでっ!?」

「だってー、ウチ聞いたんよ。アレックスの子供を身籠っている女性が何人か居るって」

「いやまぁそれはその通りだが……」

「ズルいんよ! ウチだって真剣に子供が欲しいんよ! 最低でも三十人くらい」


 多いっ! 流石にそれは多過ぎないかっ!?

 いや、竜人族の寿命を考えると、そんなものなのか?

 人間と感覚が違い過ぎて何とも言えないが、今はそんな事をしている場合ではないのに……ヴァレーリエとカスミとサンゴによる、連携攻撃はズルいのだが。

 ……そこに、ちゃっかりモニカも参加しているけどさ。

 しかもモニカはともかく、ヴァレーリエとカスミはかなり体力があるので、気絶させて強制終了っていう攻撃が効かないんだよな。


「……えー!? お兄さん! ニナもーっ!」

「えっ!? あ、あれ!? ニナにナズナ……い、いつの間にっ!?」

「あ、あのっ! 今は熊耳族の方々が、ここへ来るまでの道の終端に休憩所を作られていて……す、凄い」


 一体、どれくらい時間が経過していたのか、気付いた時にはニナが到着していて……抱きついて来たっ!


「ほらほら、ナズナちゃん。ここに居るアレックス様は分身を含めて六人。一方で、女性も六人しか居ないのよ? アレックスの分身を放っておいて良いのかしらー?」

「そ、そうですよね。わ、私がアレックス様のお相手を……」

「いや、ナズナ。無理にそんな事はしなくて良いんだぞ!? な、ナズナっ!?」


 カスミに言われたからか、俺と同じ動きをする影分身の所へナズナが行き……握った!


「もー、お兄さん。今は、ニナの事だけ見てよー!」

「そ、それはそうなんだが……」

「あ、アレックス様。大丈夫です。わ、私……黙っていましたけど、実は初めてではないんですっ!」


 そう言って、ナズナが影分身のアレを咥え……ナズナの感覚が俺にも伝わってくる!

 なんというか、咥えているだけ……かな。

 ヴァレーリエやカスミにモニカやニナが頑張っているので、何度も出てしまい……それを、一滴も零すまいといった感じで、ナズナが必死に飲んでいる。


「えーっと、ナズナ。初めてではないっていうのは……」

「は、はい。先日、アレックス様がお眠りになられている時に、飲ませていただきまして。あと、これを沢山飲めば、サクラお姉ちゃんやツバキお姉ちゃんにも追いつけるって、ミオさんが教えてくれて……」


 いや、ミオは何を教えているんだよっ!

 確かに俺のアレを飲むと、能力が上がるってシェイリーが言っていたけどさっ!

 とりあえず、ニナが満足した所で終わりにし、壁の下を穴を掘って進みたいという本題を伝えると、


「大丈夫だと思うよー! でも、今掘る道具が何も無いんだよねー。一度取りに帰るとなると、かなり時間がかかっちゃうよー?」


 とてつもない事実が告げられる。

 い、今まで凄い時間を使っていたのに、また待たなければならないのだろうか。

 どうしたものかと考えていると、服を整えたモニカが口を開く。


「ご主人様。私が転移スキルで取って参ります。ニナ殿のツルハシがあれば良いのですよね?」

「おぉ! そうだ。モニカのスキルがあったな。すまないが、頼む」

「いえ。では、ご主人様! 早速私の中へお願い致します!」

「え? 転移スキルは元々一人で使うスキルだろ? 俺が一緒に行かなくても、ツルハシだけ取って戻って来てくれると助かるのだが」

「えぇぇぇっ!? 先程まであんなに激しく愛を深め合った仲なのに、ご主人様が冷たいっ! ……あ、そういうプレイですね? ≪転移≫」


 よく分からない内にモニカが納得してくれたようで、転移スキルで魔族領へ戻り、すぐにツルハシを持って来てくれた。

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