第67話 お風呂タイムと新たに現れた奴隷? 少女

「ご馳走様」


 朝から全員で風呂に入り、身体を綺麗にした所で遅めの朝食を済ませたのだが……その風呂が凄い状態だった。


 風呂へ入る前に、いきなりノーラが全裸で俺に抱きついてきて、ずっと「エッチって、どうするの?」って小声で聞いてくる。

 だが、そのノーラの下では、ノーラを除く全員が代わる代わる俺のを……一先ず、ノーラに変な事を教えずに済んだと喜ぶべきだろうか。

 しかしその後も、ニナが身体を洗って欲しいと甘えてきたり、逆にエリーとリディアが競うようにして俺の身体を洗おうとしたり、モニカが俺の目の前で聖水を出し始めて皆がドン引きしたり。

 俺とエリー以外は聖水の作り方を知らないから、皆はモニカが普通に漏らして居ると思って……というか、聖水生成スキルとか関係無しに、漏らしているだけだよな。

 まぁとにかく、大変な時間を過ごす事になった。


「フィーネちゃん。誰よりもアレックスのを沢山飲んでいたけど、あんなに飲んで大丈夫なの?」

「え? 平気ですよー? 美味しいですし」

「美味しい……ま、まぁ初めての時はビックリしたけど、慣れれば確かにそうか……も? ど、独特の味わいがあるわよね」

「フィーネとしては、アレックス様のをジャムみたいにパンへ塗って食べたりしても、美味しいと思うんです。けど、風味が落ちるかもしれないから、やっぱり出たのを直接飲む生絞りが一番良いような……悩みますね」

「ぱ、パンには合わないんじゃないかしら」


 食事の後片付けをしていると、背後からフィーネとエリーの恐ろしい会話が聞こえて来たが……き、聞かなかった事にしよう。

 心を無にして、リディアと一緒に食器を洗っていると、


『エクストラスキル≪奴隷解放≫のクールタイムが終了しました。再使用可能です』


 奴隷解放スキルが再び利用可能となった。

 その事を皆に――特にこのスキルの事を知らないフィーネに説明し、


「じゃあ、使うぞ。≪奴隷解放≫」


 皆を俺の後ろに下がらせて、早速スキルを使用する。

 すると、床に座って目を閉じている黒髪の少女が現れた。

 しかしその少女は少しも奴隷っぽくなく、黒髪は綺麗に結われているし、見慣れない珍しい格好ではあるものの、凄くきれいな服を着ている。

 だが、その少女は目を開けず、身動き一つしない。

 これはノーラと同じく、眠っているパターンだろうか。

 このままそっとしておいても良いのだが、背もたれも何も無い場所に現れたので、後ろに倒れて頭を打つのは避けたい。

 一先ず、少女を寝室へ運んであげようと思って近付くと、ゆっくりと目が開き、大きな黒い瞳と思いっきり目が合った。


「お……男っ!? 男が居るっ!?」

「え? あぁ、起きたのか。俺はアレックスと言……」

「そこの男っ! 子種……妾に子種をっ!」

「えぇっ!? な、何を言っているんだっ!?」

「無茶な事を言っているのは自覚しておる。しかし、妾にはどうしても子種が必要なのだっ!」


 黒髪の少女が、座ったままジッと俺を見つめてくる。

 随分と真剣な表情だが、まさかこの少女もサキュバスなのか? それで、力を回復する為に俺のを求めているとか?


「ちょっと、貴女っ! 私のアレックスに何て物をねだるのよっ!」

「むっ……すまん。夫婦だったのか……って、ここはどこなのだっ!? 塔の上ではないのか!? どうして、こんな場所に!? 妾はずっと幽閉されて……」

「ふ、夫婦。私とアレックスが……そ、そうよ。夫婦だから、アレックスのは、私のなんだからっ!」

「ならば、妻である貴女が、そちらの男性の子種を提供してくれないだろうか。す、少し出してくれれば、良いのだ。そうすれば……」

「だ、ダメよっ! そういうのは、アレックスの恋人にならないと、ダメなんだからっ!」

「……いや、妾はそういう行為をしたい訳ではない。ただ、子種が欲しいだけなのだが」


 発言からすると、サキュバスと言った類では無さそうだが、子種が欲しいというのは一体どういう事だろうか。

 とりあえず、話を聞かないと何も分からないな。


「あー、一旦話を戻すが、俺はアレックスという者だ。君は俺のスキルで奴隷から解放され、俺たちの家に召喚されたんだ」

「奴隷から解放? いや、しかし妾に掛けられた呪術は……無いっ! 妾に刻まれた奴隷紋が消えているっ! 本当に解放されたのかっ!」

「そういう事だ。だが、いろいろと事情があって、君をすぐに故郷へ連れて行ってやる事は出来ないんだ」

「いや、妾に故郷など無い。妾の故郷は、既に滅んでおるのだ」

「……もしかして、黒髪の一族とかって呼ばれていたりするのか?」

「し、知っておるのか!? 妾の故郷の事を!」

「まぁ……その、一応な。この近くに、同じ黒髪の女の子が住んで居るんだ」


 シェイリーを女の子と表現するべきか、神獣というべきか。

 それはさておき、この少女はシェイリーの言っていた、あのオークキングが居た村の末裔とかかもしれない。

 とはいえ、この地が更地にされたのは大昔なので、ただ髪の毛が同じ黒色だっただけ……という可能性もあるが。


「アレックス殿。妾はメイリンという。黒髪の一族の最後の末裔と聞かされて育てられてきた。どうか、その黒髪の少女に会わせてくれないだろうか」

「分かった。何やら訳有りみたいだし、俺に出来る事であれば協力しよう」


 黒髪の少女メイリンの希望により、シェイリーの所へ連れて行く事にした。

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