第470話 アマゾネスたちのお勉強

「待ってくれ。ヴィクトリアもジェシカも、どうしてそんな話になったんだ!?」

「どうしてって、私が部族から抜けるっていう話をしたら、皆が理由を聞いてきて、アレックスのが凄いからっていう話を……」


 ヴィクトリアが俺に抱きつきながら説明をしていると、テントに詰め掛けてきていた女性の集団の中から、一人の少女が近付いてくる。


「ほら、やっぱり! お姉ちゃんはこんな人じゃないもん! 絶対にこの人に変な事をされたんだもん! それに背が高すぎるし、手もゴツゴツしているし……あ! もしかしたら人間じゃないのかもっ!」

「えぇ……いや、それは酷くないか」


 確か、ヴィクトリアの妹のチェルシーと言ったか。

 人に向かって、人間じゃない! だなんて、人によっては……というか、大半の人は言われたら怒ると思うぞ?


「チェルシーちゃんの言う通りだー! このアレックスっていう人、手が硬ーい!」

「ねぇねぇ、脚も硬いよー! 岩みたい!」

「ホントだー! 絶対人間じゃないよー! ん? ほら、見てー! こんなとこに、変な棒が入ってるもん!」


 ……って、気付いたら、チェルシーよりも少し幼い女の子たちが、俺の脚元に居て、身体を触りまくっている。

 というか、一人は無邪気に変な所を触らないように。

 あと、ヴィクトリアやジェシカに、リディアまで反応しなくて良いから。


「ふっ、流石ね。その棒こそが、アレックスさんの凄さなのよ」

「どういう事ー?」

「その棒がある人間が、伝説の男……なのよ」

「男……って、あの? へー、アレックスさんって男なんだー!」


 ヴィクトリアの言葉で、先程の女の子たちが、余計にペタペタ触って来るんだが。


「ヴィクトリア。アマゾネスに男は居ないのか?」

「基本的にアマゾネスとして生きるのであれば、部族の掟で別居暮らしだから。父親を見た事が無いという子も多いかもね」

「掟か……父親としては、娘に会えないのは悲しいな」

「あ、大丈夫よっ! 私はアマゾネスとしては生きない事に決めたからっ! ずっとアレックスさんと一緒に居るからっ!」


 掟……うーん。ここに居る女性陣は、父親を知らずに育って来たという事になるが……そもそも、どうしてそんな掟なのだろうか。

 男が居ないと子供が出来ず、部族としては絶滅してしまうと思うのだが。

 まぁそう言いながら、これだけの人数が居るのだけどな。


「という訳で、今からアレックスの男の凄さを教えるわね。まず、これがアレックスの棒よ。皆、しっかり見ておいてね」

「……って、ジェシカは何をしているんだよっ!」

「何って、説明ですけど? 男の事が分からないのだから、この子たちに先ずはしっかり理解してもらわないと」


 えぇ……いや、でも待てよ。

 男の事を全く知らないが故に、フィーネは大変な事になってしまった。

 ならば、ここでしっかり教えてもらい、この子たちが何も知らずにヴィクトリアやジェシカの真似をしてしまう……というのを避けられるかもしれない。

 結局、俺やエリーからは、フィーネにこういった事を教えられなかったからな。


「わかった。そういう事なら協力しよう。俺は何も口出ししないから、しっかり教えてあげてくれ」

「えぇっ!? アレックスさん!? な、何を言っているんですかっ!?」

「流石はアレックスさんです! 理解があって素敵です。では、アレックスさんの許可も出た事だし、一人ずつこれを触ってみましょうか」


 リディアは驚き、ジェシカは喜んでいるが……最終的に、これでこの子たちを救う事になるはずなんだ。

 ヴィクトリアたちがしている事の意味を正しく知れば、自らあんな事はしないはずだからな。


「へぇー。硬ーい! カチカチー!」

「私の腕より長くない?」

「どうして、下を向いていたのに、上向きになったんだろー?」


 ジェシカが教育の為にと、色々した結果、アレが臨戦態勢になってしまっているが、とにかく我慢だ。

 この子たちの為にも、正しい知識を!

 そう思って何も言わずに、仁王立ちで目を閉じていると、これまでとは違う感覚になる。


「次は、実演……ほら、奥まで……っ! こ、こうやって……ねっ」


 今まではジェシカが説明していたのに、突然ヴィクトリアの声が……って、いつの間に全裸になっていたんだっ!?

 あと、そこまで実演すると、またチェルシーが悲しむから……


「む? 呼ばれて来てみたら……楽しそうな事をしておるのじゃ。我も混ざるのじゃ」


 ミオも来るタイミングが悪過ぎるーっ!

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