第471話 ゆっくりモード

「お姉ちゃん……流石は伝説と言われる男だね。凄いの……」

「でしょ? 一度知ったら、もう離れられないのがわかってくれる?」

「うん。という訳で、私もお姉ちゃんと一緒に、アレックスさんと暮らすのっ!」


 ミオが混ざり、レヴィアとモニカが暴走して、ヴィクトリアとジェシカがやらかす。

 いや、やらかしたのは、分身を出す事になってしまった俺の方か。

 チェルシーを始めとして、アマゾネスの女性たちが全員ぐったりしながら、元気に動くレヴィアを羨ましそうに見ている。

 いや、羨ましそうに見ている者がもう一人居たか。


「あ、アレックスさん! 酷いですっ! 昨日の夜も、今も……わ、私もっ! 私にもしてくださいっ!」

「しかしリディア。お腹の子が……」

「違うんですっ! あれは……あれは、ヴィクトリアさんたちにアレックスさんを取られまいとした、でまかせだったんですーっ!」

「……えぇっ!? という事は、まだリディアのお腹の中には……」

「ごめんなさい。残念ながら、まだなんです。あれだけしていますし、エリーさんやメイリンさんはともかく、人間族ではないユーディットさんやボルシチさんまで、お子さんが居られるのに」


 そう言って、リディアが両手で顔を覆い、泣き出してしまった。

 リディアも、早く俺の子を欲しがってくれているのか。

 ……これは、夫として応じるしかない!


「わかった。リディア……頑張ろうな」

「アレックスさん! 嬉しいです……が、本気を出したらダメですよ? 鍛えているアマゾネスさんたちで、この状況なんです。私は優しくお願いしたいです」


 そう言って、甘えてくるリディアを優しく抱き寄せると、


「アレックスよ。言っておくが、我も時にはそういう甘々なのを希望するのじゃ」

「あ、アレックスさん! 私も……それなら、もっと出来そう!」

「わたしたちもー! この棒、凄かったもん!」


 ミオやチェルシーに、アマゾネスの少女たちがゆっくりが良いと言って来たので、分身たちをゆっくりモードにし……うん。俺も腰がそこまで痛くないし、悪くないな。


「アレックスー! レヴィアたんは激しいのが良いの!」

「ご主人様! 私もですっ! もっと激しく……あ、自分で動けば良いですね」

「結衣は、ご主人様の望まれるように、好きにして欲しいです」


 レヴィアやモニカからは、ゆっくりモードは不評だったが、二人とも体力があって、自分で好きなようにしているから良しとしよう。


「えっ!? パパ!? リディアは、それ……いいのー?」

「はいっ! ごめんなさい。実は違ったんです」

「ちがった……? んー? なにがちがうんだろー? でも、ゆっくりだし、いーのかなー?」


 暫くした後でユーリが来て、何やらリディアと話した後に首を傾げだす。

 ……って、ユーリはこのテントの中は見ちゃダメだからな?


「よくわかんないけど、パパ……リディアはとくに、やさしくしてあげてねー」

「あぁ、勿論だ」


 それからまったりと時間が流れ……全員が満足したようなので、これからの事を話す事に。


「俺たちは、仲間を助ける為に第一魔族領という場所へ行きたいんだ。何か知っている者は居ないだろうか」

「あのね、アマゾネスの族長なら、歴史とか地理とかにも詳しいから、何か知っているかもー」

「なるほど。族長なら確かにそうかもしれないな。流石はチェルシーだ」


 そう言って、ヴィクトリアがチェルシーの頭を撫でる。

 うん。仲の良い姉妹で何よりだな。

 ただ、前から思っていたのだが、ヴィクトリアとチェルシーは、あまり顔が似ていないような……いや、気にしないでおこう。


「皆の者! 今朝、宣言した通り、私とジェシカは……あと、チェルシーもアレックスさんについて行く! 何か異論のある者は居るか!?」


 ヴィクトリアが声を掛け、アマゾネスの女性陣を見渡すと、


「はいっ、あります! 私もアレックスさんと一緒が良いですっ!」

「私もっ! こんな凄いのがこれで終わりだなんて、そんなの耐えられないっ!」

「私たちも行くのー! みんな一緒なのー!」


 アマゾネスの女性たちが、全員行くと言い出したんだが。


「ヴィクトリア。これは、大丈夫なのか?」

「大丈夫、大丈夫。だって、私たちの家はテントだし、そこそこの広さがあれば、何処へでも行けるわ。それより、私たちの族長に紹介するわね。ついでに、そこで部族を抜ける事を伝えなきゃ」


 えーっと、これだけの人数が俺のせいで部族を抜ける……って、俺が怒られそうな気がするのだが、本当に大丈夫なのだろうか。

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