第412話 魅了状態の女性の扱い方

「≪リフレッシュ≫」


 ステータスアップ・ポーションを飲んだ二人は、起こすと面倒な事になりそうだったので、飲んで居ないのに混ざって来た女性のみ、治癒魔法で起こしてみた。


「あれ……あ、お兄さん! もう終わりなんですか? あの、さっきの続きを……私、あんなの初めてで」

「待った! それより、六合教について教えてくれないか?」

「六合教? ……あぁ、街の真ん中の方に、そんな教会がありますね。それより、早く……」


 何故だ? 起こす女性を間違えていないよな?

 それなのに、何故!?

 そう思ったところで、女性の脱いだ服のポケットから、見覚えのある小さな容器が見えた。

 あー……ステータスアップ・ポーションではなくて、この女性はマジック・ポーションを飲んでいたのか。

 つまり、この女性も魅了状態で……待てよ。六合教も、教会なんだよな?

 という事はステラみたいなプリーストが居るはず。この三人の女性の魅了を治癒してもらえるじゃないか。


「ジャーダ、ジョヴァンナ。すまない、手伝ってくれ」

「はーい! 任せてー!」

「いや、俺の服を脱がすんじゃない! そっちで倒れている二人の女性に服を着せて欲しいんだ。俺は、何とかこの女性に服を着せるから」


 魅了状態なので、裸のままで俺に抱きつき、胸を押し付けてくる女性を、閉鎖スキルで動きを封じながら服を着せていると、


「お、おい! まさか今の声……キャサリンちゃんか!? 俺が密かに目を付けていたキャサリンちゃんに何かしたのかっ!?」


 石の壁の奥から、あの男の声が響いてくる。

 あー、視界は遮っているものの、音は遮れないか。石の壁も密閉させた訳ではないしな。

 とりあえず、俺が服を着せている……が、着せた傍から脱ごうとするこの女性はキャサリンというらしい。

 ……おれにしても、もう一度満足させて眠らせた方が早いだろうか。

 いや、流石にいろんな声や音が……そうだ!


「キャサリン。実は、着たままの方が好きなんだ」

「分かりましたっ! 急いで服を着ますねっ! あ、下着は着けないので、そのままどうぞっ!」

「おぉいっ! キャサリンちゃんに何をさせているんだっ!? キャサリンちゃんは、まだ十六歳なんだぞっ!? 自警団にも入って間もない新人なんだぞぉぉぉっ!」


 奥から色々聞こえて来たが……キャサリン、申し訳ない。

 責任は取ろう。

 とりあえず、キャサリンが服を着たので、ジャーダたちに気絶している女性をおんぶしてもらうと、早速この部屋を出る。


「よし。六合教の教会へ行こう」

「わかったー! でも、場所は知らないよー?」

「とりあえず、街の中心だという話だ。俺もわからないが、人が多い方へ行ってみよう」


 そう言って一階へ向かうと、


「あ、着たまま教会の中でするんですね? 教会の隅で隠れながらの……た、楽しみですぅ!」


 俺の腕に抱きつくキャサリンが嬉しそうに身体をくねらせる。

 流石にそれは罰当たりが過ぎるというか……いや、面倒だからこのまま案内してもらおうか。


「そ、そういう訳で、六合教の教会へ案内してもらいたいのだが、頼めるか?」

「はいっ! お任せくださいっ!」


 キャサリンがグイグイ俺の腕を引っ張って歩いて行くと、ジト目のサクラと、目をキラキラと輝かせる女の子が俺を見ていた。


「アレックス様。随分と遅かったですね」

「あー……お、男から聞き取りに時間が掛かってしまって」

「そうですか。ですが、そちらの女性二人が幸せそうな顔で気を失っておりますが?」

「ど、どうしたんだろうな」

「どうしたんでしょうね。アレの匂いもしますし……後で是非私にもお願い致します」


 サクラから耳打ちが終わると、


「サクラお姉ちゃん、凄いねー! 言ってた通り、お兄さんに愛人? が増えたねー」


 女の子がとんでもない事を言い出したが、サクラは何を教えていたんだよっ!

 そんな事を考えながら、自警団の男性たちが倒れている廊下を進み、外へ。

 サクラに、女性たちの魅了状態を治癒してもらいに行くのだと伝え、キャサリンの案内で六合教の教会へ向かう事にした。

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