第364話 A級冒険者パーティ

 一先ず、この村が六合教とかいう、よく分からない組織によって作られた、表裏のある村だという事がわかった。

 この女性のように、何も知らされずに連れて来られた者も被害者だと言えるだろう。


「カスミ。この村の責任者が誰か調べられそうか?」

「ふっふっふー。お兄さん。それくらい、カスミちゃんは既に調べてるよー! 村長の家もわかっているし、その村長が六合教の関係者だっていう話も聞いてるよー!」

「なるほど。カスミは流石だな。よし、その村長の所へ行こう」


 村の正体が分かったので、身を隠す必要もないだろうと、普段の格好に着替え、俺も元の姿へ。

 気を失ったままの女性には悪いが、先ずは村長に話を聞くべく家を出ると、所々で俺を見つめてくる女性が居る。


「……もしかして、俺を見てくる女性は、みんな例のマジックポーションを飲んでいるのか?」

「たぶん、そうじゃないかなー? 村長と話す前にしちゃう? それとも、後でゆっくり?」

「前にも後にもしないって。それより、あの一つだけやたらと大きなのが村長の家か?」

「そーゆー事っ! サクッと倒しちゃいましょ」


 いや、話を聞くのが先なのだが……まぁ毒の葉を栽培している時点で黒か。

 小さな木の家が並ぶ村の中で、一軒だけ立派な門を構え、しっかりとした塀に囲まれた二階建ての家……村長の家の敷地前へ到着すると、いつの間にかサンゴが門の内側に居て、中から開く。

 そのまま屋敷の前まで進み、鍵の掛かっていない扉を開くと、メイドの格好をした女性と目が合う。


「な、何者だっ!? 村長っ! 不審が……あれ? 何だろ。初めて会ったはずなのに、この人を見ていると、身体が……」

「まさかこの女性もなのか!?」

「はいはい。悪いけど、ちょーっと眠っててねー」


 俺に抱きつこうとしてきた女性を、カスミが手刀で眠らせてくれたが……これはかなり面倒だな。


「お父さーん。聞いた話によると、村長の部屋は右奥らしいよー」

「わかった。行ってみよう」


 所々で現れるメイドさんを眠らせつつ、奥の部屋に入ると、大きな机で何か作業をしている男が居た。


「ん? 今日は新入りの受け入れの予定は無かったはずだが……」

「お前がこの村の責任者だな?」

「……何者だ! おい、お前たち! 出番だぞ!」


 男の声で奥の扉が開き、四人の男女が姿を現す。

 見た所、先頭にいる男がリーダーで、隣の男と共に剣を使い、後ろの女性二人が魔法職か。


「殺せ!」

「どこの誰だか知らないが、悪く思うなよ。俺たちは全員A級冒険者だ。抵抗しなければ、楽に殺してや……うぐっ! お、おい! まだ話の途中だろっ!」

「あらあら、随分と小さいのねー。可哀想。こんなのじゃ、誰も満足させらないわよねー」


 カスミ。初手、精神攻撃はやめてやれよ。


「お母さんも、ナズナちゃんも、見てみてー! こんなに小さいの初めて見たよー! これ、ちゃんと機能してるのかなー? あ、もしかして女の子なの!?」

「あ、本当に小さいですね。こんなに小さい物はどう扱えば良いかなんて、習わなかったから、私にはお手上げです」

「え? 何処にあるの? ここからだと見えないんだけど」


 あ、サンゴもか。

 まぁカスミの人形だから、行動パターンは同じか。

 ただカスミはさておき、ナズナは素の発言っぽいんだが。


「A級冒険者二人が一瞬で全裸にされて縛られるだと!? おい! 高い金を払って雇っているんだ! お前たち二人も行ってこい……って、どうして自ら脱いでいるんだ!?」

「あ、あの。貴方様を見ていると、我慢出来ないんですっ!」

「……好き」


 男二人が無力化された直後、女性二人が服を脱いで俺に抱きついてきた……って、この二人も例のポーションを飲んでいるのかっ!


「おっ、おい、エミリア! お前は俺と結婚を前提に付き合っていたんじゃなかったのかよっ!」

「お願いします! どうか私を貴方様の妻に……いえ、愛人でも便利な女でも良いので、お側に居させてください」

「え……お前とエミリアって、付き合ってたのか!? ……知らなかった。俺なんてロザリーにずっと片想いしていて、勇気を振り絞って告白したのにフラれて……ちくしょおぉぉぉっ!」


 男二人が絶望しているが、俺の目の前に居る女性二人が、それぞれエミリアとロザリーという女性なのだろう。

 何というか……すまん。出来るだけ早くステラに来てもらうから、少し我慢してくれ。


「おいっ! エミリアとかいう女なんて、どうでも良いっ! 上手く行けば、お前を次期村長にして、甘い汁を吸わせてやると言っていただろ! こいつらを何とかしろっ!」

「はぁっ!? そんなの俺は聞いてないぞ!? どういう事だっ!?」

「い、いや、それは……そ、それより、この状況を何とかするのが先だろっ!」


 なるほど。

 あのリーダーらしき男は村長側で、他の三人は雇われただけという事か。


「じゃあ、鉄拳制裁って事で」

「ごふぇっ!」

「ぐふっ」


 とりあえず、村長とリーダーの悪人二人を一発ずつ殴ったのだが、


「ねぇねぇ、お兄さん。今からアレが小さな二人の前で、女の子二人を寝取るんだよね? カスミちゃん、すっごくワクワクしてきたーっ!」


 カスミの言葉で、残った男が真っ青に。

 いや、しないから。しないからなーっ!

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