第363話 満足したナズナ

「うふふふ……アレックスちゃーん!」

「ダメーっ! お、お姉ちゃんの目の前で、そんな事は許しませんっ!」

「あらー? そう言いながら、あなたもアレックスちゃんのここを狙って……凄っ! あ、アレックスちゃんって、見かけによらず凄いのね。お、お姉さん……ここまでのは初めてだけど、頑張るからね!」


 ど、どうする!? 元の姿に戻れば、この女性は落ち着いてくれるだろうか。

 だが、俺が元の姿に戻る事でナズナが危険に晒されないだろうか。

 少し考えた後、女性がかなり手慣れて居る感じがしたので……よし、気絶させよう。


「悪いが……本気を出させてもらう!」

「いいわよぉー! どんどん来て……えっ!? な、何この……~~~~っ!?」

「あぁぁぁっ! あ、アレックスちゃん! お、お姉ちゃんもっ!」


 いや、ナズナっ!? 俺はナズナを護る為に……


「アレックスちゃんの……凄い! これが……お、お姉ちゃんも頑張るからね? 戦闘力はサクラお姉ちゃんたちに勝てないけど、房中術はシノビの里で同世代の中でトップだったんだからっ!」


 あー、ついにナズナとも、そういう関係になってしまった。

 しかし、今まで恥ずかしそうにしていたのは何だったのか……という豹変っぷりなんだが。


「なるほどねー。ナズナちゃんは、こっちの趣味だったかぁー。カスミちゃん、見抜けなかったなぁー」

「お母さん。ナズナちゃんも、お父さんにご奉仕出来るようになったんだから、まぁ良いんじゃない?」

「そうねー。という訳で、お兄さーん。早く、分身してー! いろいろ情報を集めてきたからー!」


 いつの間にか、カスミとサンゴも居て、激しく動くナズナを温かい目で見つめている。

 一体この状況は何なのだろうか。

 カスミとサンゴが早く早くと急かして来るので、分身を出し、鬼畜モードで一気に方を付ける事に。


「……? っ!? ~~~~っ!? ……ぁぅ」


 あ、しまった。鬼畜モードの分身二体が、気絶していた女性を……す、すまない。


「アレックスちゃん……大好きです!」


 とりあえず、ナズナが満足したようなので分身を消し、一旦気絶している女性はそのままに、カスミたちと情報共有する事に。


「……という訳で、六合教という組織が作った村らしいのだが」

「聞いた事の無い組織ねー。大きな街へ行けたら、カスミちゃんが情報収集してくるんだけど、流石にこの村の規模では難しいかなー」

「ちなみに、お父さんがこの女性から聞いた通りで、この村には元冒険者の人が多いみたい。借金が返せなくなったから、強制的にこの村へ連れて来られて、お茶を育てているみたいだねー」


 俺が女性から聞いた話を伝えると、カスミとサンゴがそれぞれ応じるが、まぁお茶自体は良いのではないだろうか。

 真っ当な商売をしている訳だし、そこを否定するつもりはない。

 だが、


「で、問題なのがそのお茶なんだけど……どうやら、この村で作られている茶葉は二種類あって、一方は表向きの普通の美味しいお茶。もう一方は、裏向きの強力な毒を持つ植物よ」


 カスミから予想外の話が出て来た。


「毒を持つ植物なんて育ててどうするんだ!?」

「それは、いくらでも用途があると思うわよー。暗殺用とか、強い幻覚作用を起こさせるとか、催眠状態にする……とかね」

「なるほど。それは見逃せないな。……そういえば、この女性も突然態度が急変したのだが、その毒を持つ植物が影響するのか!?」


 この女性が何かしらの毒に侵されているのであれば、早々に治療しなければならないが、俺が使える中位の神聖魔法で何とか出来るだろうか。


「あー、お兄さん。実は離れて見ていたんだけど、こっちの女性は毒とは関係ないと思うわよー」

「そうなのか? だが、それならどうして態度が急に変わったのだろう?」

「カスミちゃんはねー、お兄さんの魅了スキルの効果だと思うなー。ナズナちゃんと話していた時は普通っぽかったけど、お兄さんと話し始めてから、態度が変わったもんねー!」

「テレーゼから貰った魅了スキルか。だがあれは効果は弱いはずだし、ここまでの事にはならないと思うのだが」

「実はねー、さっき冒険者だって話があったでしょ? 聞いた所によると、この女性は最近王都で流行っている少量なのに効力が高いマジックポーションを愛飲していたらしいわよー」


 ん? カスミの言う少量で効果が高いマジックポーションって、まさか……


「そう。お兄さんのアレを原料にした、レイちゃんが作った魅了効果の副作用があるマジックポーションよー! どうやら、お兄さんに会うと、強い魅了状態になっちゃうみたいねー」

「みたいねー……って、ダメだろ。俺の魔法では治療出来ないから……ステラをここに呼べないだろうか」

「呼べるなら、呼んだ方が良いかもー。聞いた話だと、そのマジックポーションが凄く流行っているらしいから、飲んだのはこの女性だけじゃないんだってー!」


 やっぱりか。とりあえず、ステラかレイのどちらかに来てもらいたいところだ。

 しかし、安全確保が先か。

 早く何とかしないと、大変な事になってしまうっ!

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