第140話 運搬用小型ゴーレム試作機始動
「マスター。東の村へ行くのでしたら、以前にお話しさせていただいた、運搬用小型ゴーレムの試作機のテストをさせていただけませんか?」
「試作機……って、もうそんなとこまで出来ているのか? 相変わらずソフィは凄いな」
朝食の後、モニカの要望でリザードマンの村へ行くという話をしたら、ソフィが凄い事を言ってきた。
運搬用ゴーレムを作ると言ってから、まだ数日しか経っていないのに、もう動くらしい。
一先ず、皆で話した結果、村へ行く事になったメンバー……モニカ、フィーネ、ニナ、ユーディット、ユーディットの人形ユーリの五人で、リザードマンの村に持って行く作物を収穫する。
前回、盛大に宴を開いて貰ったからな。
こっちで採れる作物を持って行くのだが、
「パパー! トマトとれたのー!」
赤いトマトを両手で抱え、幼いユーリがパタパタとゆっくり俺の所へ飛んできた。
これは……可愛い!
思わず両手で抱きしめ、「偉いぞー」と頭を撫でてしまったのだが……その直後、俺に視線が集中し、人形たちが作物を手に寄ってくる。
「パパ! 見てくださいっ! コーンが採れましたーっ!」
「お父さーん! 見てみてー! 大きなキャベツーっ!」
「えっと、お、お兄ちゃん。ニンジンっ! ボク、ニンジン採ったのーっ!」
えーっと、リディアの人形にエリーの人形。三人目は……ノーラ!?
とりあえず、ユーリと同じように褒めて……という目を向けられてしまったので、
「え、偉いぞー」
先ずは最初に来たリディアの人形の頭を撫でる。
「パパ。間違ってますよ?」
「…………偉いぞー」
「はいっ! ありがとうございます!」
抱きしめないとやり直しを要求され……って、ちょっと待った。
どうして俺の前に作物を手にした人形たちが長蛇の列を作っているんだよっ!
だが、やらないと解散しない雰囲気だったので、二回並ぶのは禁止と宣言し、一人ずつ抱きしめていく。
「え、偉いぞー」
「ふふっ……夜も期待しているのじゃ」
「どうしてミオが混ざっているんだよっ!」
「アレックスからエロいと言って褒められると聞いて来たのじゃ」
「エロいじゃなくて、偉いだよっ!」
ノーラだけでなく、ミオやメイリンも並んでいたりしたけど、ようやく最後の一人……って、モニカじゃないか。
「さぁ、ご主人様っ! この太くて大きい、黒光した立派なナスを持ってきた私を、思いっきり抱きしめてください!」
いや、モニカ……だけではないけど、昨日の風呂で色々としているのだから、並ばなくても良いと思うのだが。
何故かモニカが目を閉じ、口を突き出してきた所で、
「マスター。お待たせ致しました。運搬用ゴーレムの試作機、シーサーです」
ソフィが俺と同じくらいの大きさのゴーレムと共にやって来た。
小型と言っているが、あくまでゴレイムと比較しての小型らしい。
「よし。作物も十分あるし、では行くか」
「はい! シーサーは小型ですが、それなりにパワーがあり、何よりトンネルが通れます。尚、動力として私の魔力を使用しておりますので、村に着いた辺りで、マスターは私に魔力の注入をお願い致します」
「う……そ、そうか。……フィーネに手伝ってもらおうか」
早速、沢山の作物が入った箱をシーサーに持ってもらい、鉄器と荷車を置いている東の家を目指して歩き始める。
「……あの、ご主人様。いつも、あんな事やこんな事をしているのですから、ハグやキスで焦らさなくても……っ!? ご主人様っ!? 誰も居ないっ!? ひ、酷くないですかっ!? ご主人様ーっ!」
あ、モニカの事を忘れてた。
泣きながら走ってきたモニカにタックル――もとい抱きつかれ……って、どさくさに紛れて変な所を触るなっ!
それから、一先ず東の家に着いたのだが、
「アレックス様! こんな所にベッドがありますよー。少し休憩していきましょう!」
「ご主人様。フィーネ殿の言う通りです」
早速フィーネとモニカの二人が余計な事を言ってくる。
「モニカ。あの純真無垢なユーリを前にして、同じ事が言えるのか?」
「パパーっ! ユーリがどうかしたのー?」
「くっ……眩しいっ! 一切濁りがなく、瞳がキラキラと輝いているっ! わ、私は……私は……」
可愛いユーリの前にモニカが崩れ落ちるが、
「じゃあ、アレックス様。フィーネを愛してくださいませっ!」
「えっ!? じゃあ私もーっ! アレックス、チューしよーっ!」
「パパとママはなかよしー!」
フィーネには通用せず、ユーディットはユーリの前で俺に抱きついてくる。
だが、
「今日はリザードマンの所には泊まらず帰るからな。迷惑を掛ける訳にはいかない」
泊まりになると、翌日が大変なんだってば。
抱きつくフィーネとユーディットを、それぞれ右手と左手で抱きかかえると、そのまま強引に外へ運んだのだが、
「今のいいなー。お兄さん、ニナもして欲しいー」
ニナも要求してきて……するから、早く行こうよ。
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