第211話 上と下から魔力を飲み過ぎたソフィ

「アレックス様……は、激し過ぎますぅ」


 フィーネのとんでもない寝言で目が覚めたが……あながち間違ってもいないので、何とも言えず、分身を解除する。


「んっ……マスター。もう朝ですか? おはようございます。魔力が……魔力が漲っております」

「まぁ、あれだけ摂取すれば、そうなるよな」

「はい。今なら、ドラゴンにだって勝てるかもしれません」


 昨日、後半組の風呂がとてつもない事になったあと、いつものようにフィーネのスキルで皆が眠り、ソフィと共に別の寝室へ。

 とりあえず分身使ったものの、四人になってしまったので、フィーネはいつものように俺の所へ来て、ソフィは……一晩中、三人の俺の分身の相手をしていた。

 俺と同じ動きをする影分身の上に跨り、自動行動で動く分身二体のをそれぞれの手と口で同時に……げふんげふん。


「うわぁー。今日は一段と凄いね! 流石、アレックス様です!」


 いつもの倍以上出てしまっているので、フィーネが大変な事になっているのだが、何故嬉しそうにしているのだろうか。

 風呂へ行き、皆を起こして遅い朝食となり、今日はスキルの確認の為、シェイリーの所へ行くと言うと、


「くっ……ご主人様と一緒に行きたいが、兎耳族のプレイも捨て難い。どうしたものか……」

「私は本物の旦那様の方が良いなー」

「我は分身を置いていってくれるのであれば、留守番でも良いのじゃ」


 モニカが顔を赤く染めながら悩み始め、ユーディットはそっと抱きついてくる。


「ミオ。いや、ミオに限らず、今後俺が居ない時に分身を襲うのは禁止な」

「な、何故なのじゃっ!?」

「そのせいで、兎耳族に襲われる事になったからだよっ!」

「で、では、兎耳族が作り出す実態を持った過激な方に行けと言うのじゃな?」

「そっちは、俺と感覚が共有していないから禁止はしないが……そもそも日中帯はちゃんと作業をしような」


 いやまぁ、シェイリーの所へ行くと、作業が出来なくなるというか、今の俺の言葉が思いっきりブーメランになるのだが。


「ねぇ、アレックス。今回、私は地上に残っても良いかな?」

「それは構わないが……エリー。体調が悪いのか?」

「ううん。そういう訳じゃないの。今は未だ気にしないで」


 今は未だ……という事は、いずれ説明してくれるという事だろうか。

 かなり気になるが、モニカ、サクラ、ツバキ、ユーディットとミオに、サクラの人形サラというメンバーで地下洞窟へ向かう事に。

 家を出て少しした所で、


『エクストラスキル≪奴隷解放≫のクールタイムが終了しました。再使用可能です』


 奴隷解放スキルが利用可能となった。


「皆、すまん。奴隷解放スキルが利用可能になったから、先にそっちを使おうと思う」

「アレックス様。ネーヴ殿のケースがありました故、もう少し広い場所の方が宜しいかと」

「それもそうか。こんな所で何かあったら、ノーラに申し訳ないしな」


 サクラの助言に従い、西エリアへ行くと、


「≪奴隷解放≫」


 早速スキルを使用する。

 すると目の前に、十代前半に見える、赤髪を左右に分けて括った少女が現れた。


「んっ!? ここは……どうして、普通の人間が?」

「俺はアレックスだ。あるスキルで君を奴隷から解放したんだ……」

「アレックス様! お待ち下さい! この魔力は……ど、ドラゴンです! ドラゴンが少女の姿をしていますっ!」


 戸惑う少女に事情を説明しようとしたら、サクラが俺を庇うように立ち、武器を構える。


「ふふっ、せいかーい! ただの人間にしてはやるじゃん。けど、所詮人間だよねー。魔力も、ほんのちょっとしか無いじゃん。ざぁこざぁこ。人間如きの、ざこ魔力でウチを奴隷から解放したのは褒めてあげるけど、今日からアンタたちがウチの奴隷だかんね」

「≪閉鎖≫」

「ん? 何それ、結界? そんなもので、竜人族のウチを止められると思ったら大間違……こほん。ほ、本気を出せば、これくらい楽勝だしっ!」


 竜人族だという少女が、ミオの張った結界を突破しようとしていると、白い光が音も無く結界を貫き、少女の赤髪を少し消滅させた。


「マスター! お怪我はございませんか!?」

「ソフィ……いつの間に来たんだ!?」

「今、参りました。魔力が漲り、移動速度もかなり向上しておりますので。……それより、マスターの事を罵ったのは、貴女ですか? 先程は威嚇射撃ですが、次は当てますよ?」


 あー、天使族たちが来た時も、ソフィが光の砲撃で相手にトラウマを作っていたな……と思った所で、


「ちょ、ちょっと何なのよっ! その魔力量……絶対におかしいっ! どうして……どうして、竜人族のウチより、アンタの方が魔力が多いのよっ!」

「マスターのアレ……こほん。もとい、愛の力のおかげですっ!」

「はぁ!? 何が愛の力よ! アンタたちなんて、ウチが本気を出せば、簡単に殺せるんだかんね!」


 赤髪の少女が、突然大きくなり、赤いドラゴンに姿を変えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る