第511話 態度が少し変化しているフェリーチェ
翌朝。いつもの感覚と共に目を覚ますと、先ずは分身を解除する。
昨日はプルムのベッドが快適過ぎて、すぐに寝てしまった。
ラヴィニアとの約束で分身スキルを使い、その後で何とか逢瀬スキルを使って、すぐに眠ってしまったが、大丈夫だっただろうか。
「確か、逢瀬スキルを使った先で、リディアが何か大事な事を言っていたような気がするのだが……うん。思い出せないな」
もう一度逢瀬スキルを使って話を聞きに行っても良いのだが、夜の続きになると困るので、一先ず出発する事に。
「……って、プルム!? えっと、また俺の姿をしたプルムが居るのだが」
「えっとねー、一晩中お兄さんのを飲んで居たら、分裂しちゃったんだー。でねー、本当はプルムがずっとお兄さんのをもらうつもりだったんだけど、幼い姿のままだと可哀想だし、お兄さんのを何度か飲ませてあげたら、こうなっちゃった」
この前は、俺の分身たちが出したのを大量に取り込んでいたのだが……今回はプルムの代わりにプルム・スリーが俺のを直接飲んで居たという事だろうか?
「あ、念の為に言っておくとー、この子がお兄さんの姿になってからは、何もしてないからね」
つまり、プルム・スリーがプルムと同じ姿……というか、あの幼い姿の時に俺のを飲んで居たという事だが、それはそれで良いとは言えないんだけどな。
「んー、しかしどうしようか。俺の姿をしたプルム・スリーを俺が連れて歩くと、行く先々の村で混乱を招かないだろうか」
「そっかー。じゃあ、最初にお兄さんの姿になった、プルムの分裂が居る村へ行ってもらうー? それくらいの距離なら問題なく歩けると思うよー?」
「いや、それはそれで迷惑だと思うんだが」
……って、未だにプルムがベッドの形態で、俺の股間で喋っているので、未だ眠そうなニースとユーリを抱きかかえ、一旦プルムから降りる。
プルムが女性の姿になったところで、
「ご主人様……昨晩も素晴らしかったですー! おやすみなさい」
結衣が現れ、俺の影の中へ入ろうとしていったのだが、プルムが待ったをかける。
「結衣ちゃん、ストップー! その髪の毛とか、顔とか脚についているお兄さんの、ちょーだい!」
「ん? ……あ、凄い。綺麗になっていく。……あ、下から垂れているのは、きっちりご主人様のアレだけを取り込んで、結衣のはそのままなんだ。完全に混ざり切っているのに、凄いねー」
「含まれる成分が全然違うからねー」
へぇー、プルムは混ざった物を分離出来るのか。
現状、使い道が俺のアレを取り込む事しかないけど、何かに使えるかもな。
いわゆる、分離スキルといった感じかな?
プルムのおかげで結衣が綺麗に……俺のアレが消え、影の中へ戻って行った。
それから少しして、フェリーチェが現れる。
「アレックス様、おはようございます!」
「あぁ、おはよう。何だか、今日のフェリーチェは肌艶が良い気がするな」
「そうですかぁ? えへへ、嬉しいです」
んー、何だかフェリーチェの様子が昨日と違う気がするんだが……ちょっと視線が熱っぽいように思える。
風邪でも引いたのだろうか。
それに、やたらと俺との距離が近い気もするんだが。
「あれ? フェリーチェは、俺たちと一緒にここで寝て居なかったっけ?」
「え、えーっと、せっかくなので水浴びをしてきました」
「なるほど。じゃあ、朝食を済ませたら出発しようか」
「はい……って、待ってください! あの、アレックス様……こちらのアレックス様そっくりな方は? も、もしや昨晩の……」
「あぁ、この俺そっくりなのは、分裂スキルで生み出されたプルムだよ。その……ある条件を満たすと、俺と同じ姿のプルムが生まれるんだ」
「き、昨日、お風呂に来られていました?」
フェリーチェが何か気にしているようだが、風呂の時間には居ないはずなので、それはないだろうという事を伝えておいた。
続いて、プルム・スリーからも行っていないと応えたので、間違いないだろう。
「そうですか。じゃあ、昨晩のあの凄いのは一体誰なんだろう……って、アレックス様。こちらのプルム・スリーさんも、旅を共にされるのですか?」
「いや、それをどうしようかと、プルムと相談していたんだ」
「なるほど。もしも、アレックス様と同じくらいの強さなのでしたら、私の村へ行ってもらうのはいかがでしょうか? 何かあった時に、村を守っていただけるのであれば、叔父さんも――村長も喜んで村に住まわせてくれると思います」
「えーっと、それは大丈夫なのか?」
「はい! 村長宛てに手紙をしたためますので、それを持ってムササビ耳族の村へ行っていただければ」
「そ、そうか」
フェリーチェがその場で手紙を書き始めたので、無下にも出来ず……だ、大丈夫だよな? あくまで用心棒的な扱いのはずだしな。
ひとまず、プルム・スリーはムササビ耳族の村へ向かう事となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます