第909話 気の力を習得したいアレックス

「さて、アレックスよ。これから何処へ向かうのじゃ?」

「まずは白虎のところへ向かおうと思う。前に話した気の力について教わろうと思うんだ」


 モニカはセオリツヒメの力の影響を受けているから、また神族と何かあるかもしれない。

 だが、神族であるモーガンには俺の攻撃が殆ど通じなかった。

 神族と対峙した場合に皆を守れるようにする為にも、更なる力を身につけなければ。

 ミオとそんな話をしながら、白虎の元へ。

 ドワーフの国で待ってくれていたノーラも合流し、ミオ、ノーラ、フョークラ、グレイス、マリーナ、ジネット、モニカ、モニーとトロッコで移動する。


「あ、おとーん! 聞いて聞いてー!」

「レミ。どうしたんだ?」


 元第二魔族領へ到着すると、ここで研究を行っているレミが家から飛び出て、抱きついてきた。

 レイの人形であるレミは、どちからかというと研究の方が好きそうなので、こういう子供らしい仕草は珍しい気がするな。


「白虎さんが出してくれた、アダマンタイトって凄いねん! このアダマンタイトで作った器具を使って調合すると、効能が増すねん!」

「えっ!? アダマンタイト!? ちょっ、どういう事!? 詳しく聞かせて!」


 レミの話を聞いて、フョークラが食いつき、詳しく話を聞いている。

 反応とか安定とか、いろんな話をしているが、二人の邪魔はしない方が良いだろう。

 とりあえず、気の話をするだけだから……と、俺とミオだけで白虎のところへ行こうとしたのだが、ジネットが無言で俺の服を摘む。


「……あ、そうだ。ジネットは白虎と力が近しいし、一緒に行こうか」

「はいっ!」


 適当に理由を付けたが、目を閉じた状態で置いていかれるのは辛いのだろう。

 そう気付いたので、ジネットも連れ、ミオと共に白虎の許へ。


「ん? やっぱり! アレックスアル!」

「白虎。前に話してくれた気の力について教えて欲しいんだ」

「来て早々どうしたアル? まずは子作りでもして落ち着くアル」

「いや、お茶でも飲むかのように、そんな事を言われても……」

「じゃあ、アレックスの子種を飲むアル」


 白虎のペースだと話が進まないと思ったのか、ミオが割って入ってくる。


「白虎よ。アレックスの子種は飲むものではなく、中で出してもらうものなのじゃ」

「それはそうだけど、飲むのも嫌いじゃないアル」

「それはわかるが、時間は有限。アレックスよ。早く我の中に注ぐのじゃ」


 いや、どうしてそうなるんだよ。

 とりあえず、服を脱ぎ始めたミオを止めたのだが、


「アレックス様ニャー! 私たちも混ぜて欲しいニャー!」

「ちょっとだけニャ。ちょっとだけで良いニャ。だからお願いニャー!」

「早く欲しいニャー! ずっと我慢してたニャー!」


 何故か素肌にエプロンだけを身に着けた、大勢のスダマたちに囲まれる。


「えっと……猫ちゃんですか?」

「いや、そういう訳ではないのだが……どうしてそんな格好なんだ?」

「レミちゃんに、今日あたりアレックス様が来るって聞いたニャー! だから、すぐに子種が貰えるように準備しておいたニャ」


 ジネットが困惑しているが、語尾は猫だけど、猫は喋らないからな?

 まぁ猫耳ではあるが。

 ……って、そんな事を考えている間に白虎は何をしているんだよっ!


「これは……いつもの美味しそうな香り! アレックスさん。私も欲しいです」

「ちょ、ちょっと待つアル! 今は私の番アル! もう既に入れているのに……そ、そんなとこ、舐めちゃダメアルーっ!」

「白虎様だけズルいニャ! アレックス様、早く増えて欲しいニャ!」


 ジネットが、無理矢理な白虎に近付き、スダマたちも抱きついてくる。

 こういう事をしに来た訳ではないんだよ。


「アレックスよ。白虎もジネットも可哀想な事になるから、早く分身するのじゃ」

「いや、ミオも皆を止めてくれないか?」

「よく思い出すのじゃ。太陰を助ける時に、気の力を発現させたのは、どういう経緯じゃった? これは、白虎が気の力の使い方を教えようとしておるのじゃ……たぶん」


 ミオが最後に小声で何か言っていたが、ひとまずその言葉を信じ、分身する事にした。

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