第266話 ケイトの新居探し

「では、アレックスさん。後の事はお任せください」

「あぁ。悪いが頼むよ」


 ウララドの街の闇ギルドを潰し、後始末を自警団に任せて、一旦ジュリの家に戻って来た。


「レナ。悪い奴らは倒してきたからな」

「お父さん……ありがとう!」


 留守番していたレナとケイトへ経緯を話すと、余程嬉しいのか、抱きついてくるレナを受け止め……って、どこを触っているんだよ!


「あはは、嬉しくてつい」


 レナを一旦椅子に座らせ、俺も適当な椅子に腰かけると、ユーリがちょこんと俺の脚の上に座る。

 レナとツキが、ユーリだけズルい……という目を向けてくるけど、ユーリは変な事をしないと分かっているからな。


「あの、アレックス様。今の話からすると、もう闇ギルドは壊滅したという事でしょうか?」

「少なくとも、この街のはそうだろうな。前に襲って来た者たちを全員倒したからか、行った先はかなり人が少なく、そこに居た者も全員捕えたしな」

「なるほど。アレックス様、ありがとうございます。それなら、もう私も一人で暮らしていけるでしょうか? 流石に、ジュリさんの家でお世話になりっぱなしというのは、申し訳なくて」


 なるほど。ケイトはずっと居候状態な上に、闇ギルドの報復の可能性もあって、一人で外出も出来なかったからな。

 可能であれば、自分の家に住みたいだろう。

 ケイトからすると、この街に住むより、魔族領へ来た方が安心出来そうな気もするが……現時点では子供しか移動出来ないんだよな。


「とりあえず、大丈夫だとは思うが……」

「父上。ご心配でしたら、護衛を付けるというのは如何でしょうか。その……私と番になっている父上の人形が寂しがっているようでして」

「俺の人形か。なるほど。本人が良いと言うのであれば、連れて来よう」


 ケイトが不思議そうにしているので、簡単にスキルの話をして……


「あ、アレックス様の息子さんが住み込みで護衛してくださるんですか!?」

「あぁ。世話になるし、食糧も一緒に運んで来よう。まだ九歳ではあるが、俺とほぼ同じスキルが使えるし……そうだな。レナの番となる者も、本人が承諾したら連れて来ようか」

「ふ、二人も!? ありがとうございますっ! アレックス様の息子さんと毎晩三ピ……こほん。な、何でもありませんよ?」


 何かを言い掛けたケイトが凄く嬉しそうにしている。

 やはり不安だったのだろうな。

 護衛が居ると居ないとでは、気持ち的に大きく違うだろうからな。

 念の為、前とは違う家に住んでもらう事にして、マミの案内で一緒に物件を見て回る事にした。


「ここなんて良さそうポン。大通りに近くて、角地ポン」

「あの、マミさん。ジュリさんに頼んで、自警団に入れてもらおうと思っていますが、収入的にこの家は無理な気がします」

「あ……うーん。じゃあ、あっちに行ってみるポン」


 暫くケイトと共に家を見て回り……結構な時間歩き回っていたし、途中で裏通りなども通ったが、その間に俺やケイトを狙うような者は現れなかった。

 まぁかなりの数を倒したからな。ある程度は大丈夫なのだろう。

 

「うーん。夜にケイトが大きな声を出しても大丈夫だという前提だと、なかなか難しいポン」

「え? マミさん!? その前提は何ですか!?」

「違うポン? 毎晩アレックスの息子たちと楽しみそうだし……」

「いやまぁその、確かに私が誘いますけど……何なら襲いますけど、声は我慢しますよ?」


 いや、何の宣言だよ!

 すぐ側にツキとレナが居るのにさっ!


「あ。それでしたら、普段はこういうシチュエーションプレイをしておりますので、ちょっと捻ってあげると悦ぶかもですね」

「ウチの方は、前にちょっと攻め過ぎてもーたから、たまに攻めさせてあげると悦ぶと思うでー」


 って、ツキもレナも何を言っているんだ!?

 自分の夫なんだろ?

 ……あ、これは時々混ざりに行こうとしているな。


「何それ、楽しそう! ありがとう! 参考にさせてもらうねー! あと、家が決まったら、ちゃんと連絡するから。ぜひ、来てね」


 ケイトも察して招待するなよ。

 いやまぁ、この多人数で……という事に関して、俺は何も言えない訳だが。


「ねーねー、パパー。みんな、なんのおはなしを、しているのー?」

「大丈夫。ユーリは気にしなくて良いからね。うん。ユーリは俺と一緒に戻ろうか」


 とりあえず、ウララドの街にユーリを残すと大変な事になりそうなので、魔族領へ一緒に帰る事にした。

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