第801話 ハヤアキツヒメ探し
セオリツヒメから話を聞き、ハヤアキツヒメという神様を探さないと、モニカが元に戻らない事がわかった。
だがセオリツヒメも、その神様の力は知っていても、何処に居るかは分からないらしい。
「ラヴィニア。悪いがそろそろ行くよ」
「待ってください。私もご一緒させて下さい。ハヤアキツヒメという神様は存じませんが、水に関する神様です。きっとお役に立てるかと」
「俺はラヴィニアが来てくれると助かるが、良いのか?」
「はい! 両親とも再会出来ましたし、居場所も分かりました。里帰りを十分に堪能してしましたので、次は子供が欲しいと思いまして」
ついさっきまで、かなり……いや、ラヴィニアとは種族が違うから、なかなか出来ないものなのだろう。
ただ、ラヴィニアが俺たちに同行すると言った途端に、他の人魚族が悲しそうにしているが、大丈夫なのだろうか。
皆、ラヴィニアと離れたくないみたいだし。
「ラヴィニアが居ないとアレックス様が来てくださらないわっ!」
「そんなっ! さっきのをもう味わえないなんて……生きていけないっ!」
「アレックス様! 時々でも良いので、ラヴィニアと一緒に立ち寄ってください!」
人魚族の女性たちが近付いて来たが、ラヴィニアと別れるのが寂しい……とかって話ではないのか?
責任を取るという意味でも、当然また来るのだが。
ひとまず人魚族の女性たちに話をして、最後にモニカと向き合う。
「モニカ……俺たちと一緒に来ないか?」
「……わ、私もアレックス殿と一緒に居たい。だが、まだ私だけ……」
「わかっている。モニカが元の状態に戻るまで変な事はしないと誓おう」
「そ、そうではなくて、私も……」
「勿論、ミオにも前のように強引な事はしないように言っておくよ」
モニカに安心してくれ……という話をするのだが、ここで起こっていた事を目の当たりにしているので、俺の言葉が信じられないのだろう。
モニカが何か言いたそうな表情を浮かべ……だが何も言ってくれない。
とはいえ、着いてきてくれるようなので、モニカの気が変わらない内に出発しようか。
「セオリツヒメ。では俺たちはハヤアキツヒメを探しに行ってくる」
「わかったわ。何かあれば相談に乗るから、何処かの河に来て欲しいの。それなりに大きな河であれば、私は移動出来るから」
あ、そうなのか。てっきり、セオリツヒメにはこの河でしか会えないものだと思っていたが……とはいえ、ここまで大きな河は、そうそう無いんだけどな。
「アレックス様。では船を出しますね」
「あぁ、頼むよ」
グレイスに船を出してもらい、ここへ来たメンバーに加えて、ラヴィニアとモニカが増えたな。
さて出発だ……という所で、
「ちょ、アレックス様っ!? 私を……私を置いていかないでくださいよぉぉぉっ!」
「ヴィクトリア? 何処に行っていたんだ!?」
「人魚族さんたちが、水の中でアクロバットなプレイをしていたので、私も混ぜてもらったら、奥の方まで流されてしまい、迷子になってたんですよぉぉぉっ! 溺れかけるし、水中だと人魚族さんたちみたいに激しく動けないし、散々ですぅぅぅっ!」
人魚族の棲家からヴィクトリアが走って来たけど、似たような事をしていた者が居た気もする。
ひとまず、置いていく事にならなくて良かった。
……人数も増えたし、出発前に点呼が必要かもしれないな。
特に歩みの遅いマリーナとモニーは……ちゃんと居るか。
ニナやプルムに、トゥーリアたちも居るから大丈夫だな。
「……アレックス。ところで、何処へ行くの?」
「可能なところまでで良いから、少し河を登って貰えないだろうか。ノーラを迎えに行こうと思うんだ」
「……わかった。あの森のとこまで泳ぐ」
白虎を救出して一件落着と思ったら、次はモニカを元に戻す為、神様探しか。
白虎は第二魔族領に……西大陸に居るとわかっていた。だが、ハヤアキツヒメは水に関係しそうな場所に居る……って、西大陸よりも遥かに捜索範囲が広いよな。
またレヴィア頼みになってしまうが、モニカを戻す為に行くか。
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