第5章 承認されるスローライフ

第134話 嗅覚の優れたミオ

「あっ……お、おはようございますっ! アレックス様!」


 朝、いつものようにフィーネの締め付けと温もりで起こされる。

 今更だけど、絶倫スキルと超回復スキルを持っていなかったら、今頃死んでるよな……俺。


「あの、アレックス様。少しだけ……少しだけで良いから、フィーネを突いてみて欲しいのー」

「えっ!? な、何を言いだすんだ?」

「お願い! どうしても確認したい事があるのー!」

「……いいけど、少しだけだからな?」


 俺の腰の上に座るフィーネにお願いされ、仕方なく軽く突き上げると、突然小刻みに身体を震わせ……くてんとフィーネが俺の胸の上に崩れ落ちて来た。


「ど、どうしたんだ? 大丈夫か!?」

「す、凄いの。フィーネが自分で動いてももちろん気持ち良いんだけど、やっぱりしてもらう方が良いのかな。アレックス様から突いてもらうと、ズドンって感じで、衝撃が全然違うの。一回で頭の中が真っ白になっちゃって……」


 あー、なるほど。あくまでチャージスキルは、俺が突くという行動をした時に発動する訳で、フィーネが自ら突かれに来た場合は発動しないのか。

 ……いや、根本的にスキルの使い方が間違っている気がするんだが。

 とりあえず、アレを治めないと皆の前に出る事すら出来ないので、早く出してしまおうとフィーネに協力してもらうと、


「~~~~っ! アレックス様ぁー……フィーネは幸せですぅー」

「って、おい! フィーネ!? 寝るな、フィーネっ! 皆を起こすんだっ!」


 俺が自ら動いた為か、朝からフィーネがダウンしてしまった。

 とりあえず、治癒魔法でフィーネを起こし、互いに着替えを済ませて皆が居る寝室へ。


「≪夢の終わり≫」


 昨晩フィーネが眠らせていた皆を、夢魔族のスキルで起こしてもらうと、慣れてきたのか、大半の者は何も言わなくなっていた。


「な、なんやっ!? 何でウチは昨日眠ってもーたんやっ!?」

「な、何なのじゃ!? 我はアレックスと、夜に何もしておらんのじゃ! それなのに、何故朝になっているのじゃ!?」


 だが、フィーネのスキルを初めて受けたレイとミオは、何故か悔しそうにしている。

 ミオに至っては、すぐに俺の近くにやって来て……何かを嗅いだ後、フィーネの所へ行く。


「はっはーん。なるほどなのじゃ」

「み、ミオ? 一体、どうしたというんだ?」

「アレックス、我は狐耳族なのじゃ。狐は人間よりも遥かに嗅覚が優れておるのじゃ。つまり、アレックスが朝に……」

「ミオ。ちょっと、こっちへ。あと、ソフィも」


 どうやらアレの匂いで、俺とフィーネが朝に何をしていたかミオが察してしまったので、ソフィへのアレの供給に協力してもらう事で、口止めする事に。

 もちろん、ソフィのアレに協力してもらうという事は、それ以上の事があったのだが、フィーネがサキュバスの血を引いている事は隠し通さなければならないからな。

 一先ず、ミオを満足させてリビングへ戻ると、朝食の準備が出来ていたので皆で食べる。

 その中で、モニカが改まった口調で、変なお願いをしてきた。


「ご主人様、お願いがあります。どうか、私にシェイリー殿の所へ行く許可をいただけないかと」

「シェイリーの所へ? 別に構わないが、どうかしたのか?」

「はい。何でも、フィーネ殿のおまじないスキルは、まだまだ色んな効果があるそうで、シェイリー殿にその方法を教わりたいと聞いたので」

「なるほど。別に構わないが……どうしてモニカがそれを言い出すんだ?」

「昨晩、お風呂でフィーネ殿とそういう話になったのですが、皆疲れていたのか、すぐに眠ってしまい、フィーネ殿がご主人様へその話をしていないと思われましたので、代わりに私からお伝えさせていただきました」


 あー、フィーネのスキルで皆が眠っているって事をモニカは知らないもんな。

 けど、風呂の後から朝までフィーネと二人で一緒に居たけど、そんな話は無かったぞ?

 ……まぁフィーネがアレにしか意識がなかった可能性もあるが。


「ありがとうございます! では、朝食の後に早速フィーネ殿を連れて、シェイリー殿の所へ行って参ります」

「わかった。大丈夫とは思うが、くれぐれも安全に気を付けて……というか、俺も一緒に行った方が良いか?」

「えっ!? い、いえ。大丈夫……いやでも……お、お願いします!」


 ん? 何だか微妙な反応だが、何か俺が行くとマズい事でもあるのか?

 だが、行くメンバーがエリー、モニカ、サクラにフィーネか。

 ……そして、昨日の夜は風呂でしていないから、むしろ来いと言われそうなメンバーなんだが。

 地下洞窟の魔物に遅れを取るような事はないだろうが、何か気になるな。


「待ってください! アレックスさんが行くなら、私も行きます!」

「わ、妾もご一緒させてください!」

「むっ! だったら、我も一緒に行くのじゃ!」


 リディアにメイリン、ミオも一緒に行くと言い出し……いつも通りの展開になりそうな気がする。

 モニカの言葉は、俺が気にし過ぎなだけ……か?

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