第385話 消えない分身

「エリーもフィーネも違うんだっ! これは、この家へ帰ってくるためにモニカのスキルを使おうとして……」

「ご主人様ー! しゅごいですぅー!」

「へぇー。モニカさんは凄く気持ちよさそうにしているけどねー」


 モニカの帰還スキルで戻って来たところに居たエリーが、ジト目を向けてくる。

 それに加えてフィーネが服を脱ごうとし始めたので……これだと、昨日と同じ事になってしまうっ!


「待った! フィーネは昨日一晩中……げふんげふん。何でもない。とにかく、急ぎの用事があるんだ。えっと、俺の着替えを……」

「はいはい、どうぞ。アレックスの事だから、きっとこういう感じで帰って来ると思っていたのよ」

「すまない。ありがとう」


 エリーが呆れながらも予め用意していたらしい着替えを渡してくれた。

 どうやら、そろそろ俺が戻って来るかもと、西の宿から家に来ていたらしい。

 一先ず着替える為にモニカから抜いて……って、ウラヤンカダの村で分身たちが続けているから、アレが止まらないっ!


「……ご主人様ぁ。ここは、アレで移動するしかないのでは?」

「いや、エリーやフィーネが目の前に居るんだが」

「ですが、このままだと床が大変な事になっちゃいますよー?」

「くっ……し、仕方ないか。と、とりあえず移動しよう」


 一気に冷たくなったエリーの目と、フィーネの羨ましそうな目を向けられながら、モニカを抱きかかえたまま西の宿へと走る。


「あぁぁぁ……やはり走るのは凄過ぎますぅぅぅっ!」


 そのままシェイリーのところまでやって来たのだが……よく考えたら、家の中だけで良かったかもしれない。


「むっ!? アレックスよ。何だ、その楽しそうな行為は?」

「いや、ただの移動だ。それよりシェイリー……」

「わかっておる。我ともしたいのであろう? 我は身体が軽いから、いろんな事が出来ると思うぞ」

「そういう事ではなくて……いや、モニカと同じ事をすれば良いんだな」


 シェイリーの目が輝いていたので、何を言っても無駄だと判断し、モニカを床に寝かせたのだが……動かないぞ?


「あれ? 家からここまでの距離で気を失うのか!?」

「ふむ。相当に凄い事をしてきたらしいな。是非、我にも頼む……おほぉっ! 良い! 良いぞっ!」

「アレックス様ー。フィーネも……フィーネもして欲しいですぅ」


 いつの間にかフィーネもついて来ていたらしく、再び熱いまなざしを向けられ、


「あ、ウチは普通でえーで。普通に愛して欲しいなー」

「お兄さん。私もそれが良いなー!」

「おにーさん。私もそれ……は無理だから、ゆっくりして欲しいなー」


 更にレイ、テレーゼ、ボルシチまで来ていた。

 とりあえず、ボルシチは妊娠しているから絶対安静なんだが……頑として譲る気がなさそうだ。

 フィーネとテレーゼは既に脱いでいるし……仕方が無い。分身を使うか。

 レヴィアに言った通り、暫く……あまり長くは無かったが、すぐに分身を消さなかったしな。

 分身を一旦解除し、改めて分身を使うと、五体の分身が現れた。


「あれ? 少ないぞ?」

「何を言っておる。それより、もっと激しく……おぉぉぉっ、良いぞっ! これはしゅごい~~~~っ!」


 村では合計十一体の分身が居たのだが、ここには五体だけ。

 とりあえず、シェイリーを分身に任せ、目を瞑って視線を切り替える。


「……あれ? 新たに増えた全裸の分身がウラヤンカダの村に残っているんだが」


 向こうは向こうで、レヴィアやヴァレーリエに、メイドさんたちと大変な事になっていた。


「おにーさん。早くぅー」


 気付けば、ボルシチが俺のを咥えていて、他の者たちは分身と……あ、フィーネが分身にシェイリーと同じ事をしてもらい、あっさり気絶したんだが。

 シェイリーとテレーゼは大丈夫そうだが、


「あ、アレックスはん!? う、ウチは分身一人でえぇのに……皆が走り回っているのと、ボルシチはんが激しい事が出来へんからって、ウチのところに二体も……あひぃぃぃっ!」


 レイが大変な事になっていた。

 モニカが復活するまで頑張ってくれ……というか、もうシェイリーも満足しているし分身を消そうか。

 そんな事を考えていると、


「おにーさん! 私の事を忘れないでーっ!」


 ボルシチに拗ねられてしまい、優しくゆっくりと……って、そもそもダメだって。

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