第179話 承認されるアレックス王
翌朝。いつものように、ソフィとフィーネに起こされたのだが、
「マスター。どうして昨日は、天使族の方やエリー様たちと何度も口付けを交わされていたのでしょうか?」
昨日の昼間の行為を見られていたらしく、困った質問が出てきた。
「えぇっ!? アレックス様……命に関わるから、キスはダメって言ったのにーっ!」
「いや、それは……その、俺は体力のあるパラディンだから大丈夫だと説明しただろ?」
「あ、そっかー。そう言えば、そうでしたねー」
フィーネは色々と勘違いしていて、キスをしまくると男が死ぬと思っているからな。
実際は、諸々のスキルを持っている俺でなければ、ハーフサキュバスであるフィーネの相手をしている内に死んでしまいそうなのだが。
「き、キスをするとマスターが亡くなる……」
「違うぞっ! だからそれは、フィーネの勘違いだってば」
「そうなのですか? で、ではマスター……私にもキスをお願いします」
あー、そうか。
毎日これだけしているが、フィーネが余りキスをしないから、その動きを真似しているソフィも……って、何気に初めてか。
ソフィが少し緊張気味に……って、全裸で今も挿いっているのに……それはさて置き、恐る恐る唇を重ね、舌を絡めてくる。
「あ、アレックス様が光った」
「本当だ。最近、エクストラスキルが発動しない事が多かったのに、発動した感じがする」
何やら力を得た気がするので、またシェイリーに見て貰わないとな。
そんな事を考えていたのだが、ソフィの様子がおかしい。
「ソフィ? どうしたんだ? 大丈夫か!?」
「いえ……マスターとキスをした時、何か昔の事を思い出しまして。もう一回、もう一回キスしてくださいっ!」
そう言って、ソフィが俺にキスしながら強く抱きしめてきて、激しく腰を……
「ソフィさん。ずるーい! アレックス様、フィーネもーっ!」
「ち、違うんです。何か、空を飛ぼうとしている記憶が……」
「フィーネもアレックス様に突いてもらって、ふわふわ空を飛んでる気分になりたいのーっ!」
結局、朝から二人と何度もする事になってしまい、皆を起こすのが随分と遅くなってしまった。
「ん……あれ? 太陽の位置が随分と高い……もしかして、お昼近くまで寝ていたのでしょうか。私とした事が……すみません。急いで朝食の準備を……」
すまないリディア。
起きられなかったのは、俺たちが悪いんだ。
なので、焦らなくても良いから、ゆっくりして欲しい。
一先ず、時間が遅いので、軽めの朝食になり、食べ終えた所で、メイリンが近寄って来た。
「旦那様。妾の子たちから、スノーウィ殿より荷物が届いていると連絡が。小さな箱らしいので、こちらへ運ばせましょうか?」
「そうだな。では、頼もうかな」
「畏まりました。しかし、昨日の話では海産物を沢山送ると言っていたのですが……」
「んー、先ずは海産物のサンプルとかじゃないのか? 沢山種類があり過ぎるから、好みを教えて欲しいとか」
そんな事を話していると、サクラの人形がやって来て、小さな箱を置き、
「母上。こちらです」
「うむ。ありがとう」
「僭越ながら……万が一の事もあります。家の外で私が開けましょうか?」
なかなか怖い事を言う。
用心深いのだろうが、ネーヴの兄が送ってきたのだ。
危険な物は入っていないだろう。
「不安なら、結界を張る事も出来るのじゃ」
「何を言っているんだよ。スノーウィはそんな事をするような男じゃないさ。俺が開けよう」
「えっ!? 父上……」
サクラの人形が止めようとするが、そのまま箱を開け……中には紙の束とペンが数本。そして、未使用の便箋が大量に入っていた。
その中に、一つだけ封がされた便箋があり、「アレックスさんとメイリンさんとネーヴへ」と書かれている。
どうやらスノーウィからの手紙のようなので開封しようとしたのだが、
「アレックス。これは、我が国の公式文書の印だ。この中身は、兄というより宰相補佐としての手紙だと考えて欲しい」
思っていたよりも、重いものだった。
改めて封を切り、中の手紙に目を通す。
『アレックスさん。昨日は素敵なおもてなしをありがとうございます。そして、何より妹を助けてくれた事を感謝します。その感謝の気持ちを込め、少々骨を折った贈り物をしますので、次の紙を見てください』
書かれている通りに二枚目の紙に目をやると、
「な……何と……」
「これは……スノーウィめ。そう来たか」
メイリンとネーヴが絶句する。
「すまん。この紙は何なんだ?」
「我が国が、この地を正式に国……アレクサンダー王国と承認するという公式文書だ」
「え……正式な国!? というか、アレクサンダー王国って名前は何なんだ?」
「おそらく、アレックスの事かと。少なくとも、我が国ではアレックスを王とみなす……という事だろう」
えーっと……マジか!?
あと、三枚目に妹と文通を……って、公式文書にそんな事を書いて良いのか!?
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