第319話 レヴィアタン討伐隊

「ラヴィニア。海の悪魔が狙っていると言うのはどういう事なんだ?」

「そのままの意味で、レヴィアタンっていう海に棲む悪魔が居るの。私は、その悪魔に操られていて……でも、あなたのお陰で、その支配から逃れる事が出来た。あなた、本当にありがとう」


 そう言って、ラヴィニアが抱きついてくる。


「ん? 操られていたという事は、ラヴィニアは自分の意志で俺に抱かれた訳では無くて……」

「ま、待って! 操られていたのは、リザードマンさんたちの湖へ来た時までよ。あなたに会った後は、私は私。そして、あなたの妻である事に変わりは無いし、ずっとあなたと一緒に居るんだから」


 ラヴィニアが俺に抱きつきながら、想いを伝えてくれるのだが……カスミとヴァレーリエに、ミオとバルバラやブリジットは空気を読もうな?

 今、分身たちとしている事のせいで、俺は一生懸命出さないように我慢しているんだぞ?

 と思ったら、俺の所に何かが……モニカが水中で俺のを挿れていた。

 うん、もう知らん。ラヴィニアに掛からなければいいか。


「ところでラヴィニア。レヴィアタンという悪魔に操られてリザードマンの所へ来たという事は、当初は何かしら目的があったという事か?」

「操られていた時の記憶はハッキリしていないんだけど、魔族の四天王に、この地を取り戻すように言われていたような……」

「あっ、ご主人様のが沢山……嬉しいですけど、全く動いて下さらないのは悲しいですっ!」


 俺とラヴィニアの間で何か言っているモニカはスルーして……ラヴィニアもスルーしている辺り、ちゃんと空気が読めるようだ。


「つまり、そのレヴィアタンという奴が、近くまで来ているという事か」

「はい。おそらく、狙いはあなたよ。今もその場所に留まって居るかは分からないけど、さっき私を操作しようとしてきた時の、レヴィアタンの位置は分かります。向こうから攻撃される前に、こっちから攻められますか? それとも……」

「わ、私もご主人様に攻められたいですっ! もっと激しくしてくださいませんか?」


 水面から顔だけだしたモニカが、ひたすら何か言っているが……うん。スルー継続だな。


「もちろん、こっちから攻めよう。ラヴィニアを操っていたなんて、許せないからな」

「あなた……ありがとう。私をあの湖まで運んでくれたら、レヴィアタンの所には川から案内するわね」

「えっ!? ご主人様!? 抜いちゃうんですかっ!? 私はもっと激しいのが……ご主人様っ!? ご主人様ぁぁぁっ!」


 何か言っているモニカをスルーし続け、


「皆、聞いてくれ! 今からラヴィニアと共に、この地を狙う悪魔を倒そうと思う。だが、今回は海の中に棲む悪魔らしいので、力を貸してくれないだろうか」


 皆に協力を依頼すると、すぐさま反応が返って来た。


「ウチはレッドドラゴンだから、海には不向きかもしれないんよ。けど陸から離れられた時に、空から追いかける事は出来るんよ。という訳で、当然アレックスと一緒に行くんよ!」

「水中でも使える忍術はあるわよー! という訳で、カスミちゃんも行くからねー!」

「我の結界を使えば、逃げられないように出来るのじゃ。もちろん我も行くのじゃ」


 ヴァレーリエにカスミ、ミオが声を上げ、それからサクラとツバキに、ソフィとユーリがついて来てくれるという。

 ユーリは戦闘に参加させる訳にはいかないが、何かあった時の為の連絡要員だな。


「一時、俺と戦闘をメインとする第一班が全員居なくなってしまうので、残りの者は全員この村で待機していてくれ。村の守りはブリジットとバルバラに任せるぞ」

「あぁ、アレックスが戻って来るまで熊耳族と共にしっかり護っておこう」

「オレも承知したぜ。棲家を荒らされたくはないしな」


 食料はソフィがシーサーと共に運んで来てくれたばかりだし、リディアが居るから調理も問題無いだろう。


「……あ。肝心な事を聞くのを忘れていたのだが、リザードマンの村の湖から、その悪魔が居る場所は近いのか?」

「泳げばすぐだけど……ごめんなさい。歩いてどれくらいなのかは分からなくて」


 まぁそれはそうか。ラヴィニアは歩いた事がないだろうしな。

 この前の料理対決で、ヴァレーリエの料理が美味しい事は分かって居るし、食料さえあれば何とかなるか。

 荷車にラヴィニアの移動用水槽を設置すると共に、さっき運んで来た食料を少しもらって、先ずはリザードマンの村へ向けて出発する。


「ご、ご主人様っ!? 最後までスルーですかっ!? 私もっ、私もご主人様と一緒に行きますからーっ!」


 びしょ濡れのモニカが走ってきて……必死なのは分かるが、全裸で全力疾走はどうなのだろうか。

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