挿話101 実は成人のドジっ子メイド、ジスレーヌ
「今日はジスレーヌたち四人の歓迎パーティとしよう」
か、歓迎パーティ!
ご主人様は何てお優しいのだろう。
これは、ジスたちも頑張らないと!
やっぱり感謝の気持ちを伝えるなら、真心を込めた料理よね。
「いや、ジスレーヌたちが主賓だからな? 何もしなくて良い」
むむ……ジスたちはメイドなので、何もしなくて良いと言われると、逆に困ってしまう。
だけど、ご主人様の言葉には従う事しか出来ず、四人でベッドの上に集まり、ただただボーっと待つ事に。
「……って、ご主人様には何もしなくて良いって言われたけど、そういう訳にもいかないよね」
「うん。でも、私たちの事を主賓って言ってくれているし、何かしようとすると、ご主人様たちに気を遣わせてしまうのでは?」
「うーん、困った。どうすれば良いんだろー?」
ご主人様に感謝の気持ちをお伝えしたい。
だけど、何もしないでって……そうだ!
「あのね。ご主人様が眠ってから、ご奉仕するっていうのはどうかな?」
「あ、それならパーティも終わっているし、もう私たちも主賓じゃないから、お仕事しても大丈夫だよね」
「そうそう。それでね、今日家に帰った二人が居るでしょ? あの子から、夜のご奉仕っていうのを教えてもらったの」
「夜のご奉仕? 何それー?」
「ジスも言葉で説明を受けただけで、やった事が無いから詳しい事は分からないけど、ご主人様がすっごく喜んでくれるんだってー!」
あの二人の内、十一歳の子の方は、前のご主人様のお気に入りだったんだよね。
今のご主人様がお店に来られた時も、お茶を運んだりして、お仕事させてもらっていたし。
で、前のご主人様から、夜にベッドへ呼ばれる特別なご奉仕があったらしい。
けど、ベッドに呼ばれたら、ご主人様の言う通りにするだけで良い……という話までしか教えてもらえなかったんだよね。
「……という訳で、ご主人様のベッドに潜り込むのかな? たぶん」
「んー、それってご主人様がベッドに入ってからじゃないとダメなんだよね?」
「たぶん……とりあえず、パーティが終わったら、皆でご主人様のベッドへ潜り込んでみよう!」
よし。作戦は決まった。
それから少しして、準備が出来たとご主人様に呼ばれ、ごちそうをいただいたり、ジスたちの話をしたりして、皆でお風呂……というか水浴びへ。
早速ご主人様のお身体を洗おうと思ったんだけど、ジュリ様やケイト様……奥様方がご主人様のお身体を洗っていて、近付く事が出来ない。
うーん。パーティは終わったから、ジスたちはもう主賓じゃないんだけどなー。
仕方が無い。さっき皆で話した通り、ご主人様のベッドへ潜り込もう。
ご主人様の娘であるレナお嬢様から、ジスたち用のパジャマが支給され、皆で着替え終わると、
「じゃあ、皆で寝ようか。遠慮しないで、ベッドへ入ってくれ」
「はい、わかりました」
わかりました……じゃないんだよー!
ジスたちは、ご主人様の所へ行かないといけないのに、言われた通りに身体が動いてしまい、四人でベッドの中へ。
一先ず寝たふりをして、後でご主人様の所へ行こうと思っていたら、
「ここからは大人のパーティの時間ポン」
「今日は沢山いただかなければ」
奥様方と娘さんたちが、家から出て行ってしまった。
もう外は真っ暗なのに、一体何処へ行ってしまわれたのだろう。
ベッドから飛び起きて、ご主人様を追いかけようとしたんだけど、
「すぅ……」
「……くぅ」
「すーすー」
ね、寝てるっ! ジス以外の三人共、全員寝てるっ!
いやまぁジスは成人だけど、皆まだ幼いもんね。
仕方が無い。ジスだけでもご主人様の跡を追おう……って、しまった!
暗闇で転んだ拍子に何かへぶつかって……あ! 何かが落ちて来たっ!
「……んっ!? な、何これ? の、飲んじゃったけど、大丈夫かな? すっごく美味しいし、お嬢様用のジュースとかだったのかも」
ぶつかったのはテーブル? 起きようとして、上を向いた所へお嬢様のジュースのビンが落ちて来るなんて。
ご主人様が見ていない所でドジな事をしても、意味ないよー!
一先ず、空になってしまったビンを机に戻し、ご主人様を追いかけようとして……居ないっ!?
でも壁に囲まれた広い場所を見渡すと、一ヶ所明らかに怪しい小屋みたいなのがある。
「アレックスー! す、凄いポン!」
「アレックス、アレックス、アレックスーっ!」
「ふふっ、父は凄いのじゃ」
奥様たちの声が聞こえてくるし、あの中……だよね?
恐る恐る近付いてみると、薄暗いランプの灯りの中で、ご主人様や奥様方が裸で……何をしているんだろう?
動きが激しいし、何かの運動かな?
何故かご主人様が六人居るようにも見えるけど……何だろう。
何をしているかは分からないけど……あ、あれ? ご主人様を見ていると、身体が熱くなってきて……へ、変だよ!
どうしよう。ご主人様にくっつきたくて仕方が無い。
そんな事を思いながらも何とか我慢していると、
「~~~~っ!」
ジュリ様がくてっと動かなくなり、一緒に居たご主人様がキョロキョロと何かを探すように、周囲を見ている。
い、今ならジスもくっついて良い……かな?
「ご、ご主人様……えっ!? そ、そんな所……ふぁっ!? ……んっ! ~~~~っ!」
ご主人様との初めてのキスを体験した後、何かよく分からなかったけど、とてつもない体験をしてしまった。
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