第346話 ドラゴンの食事の効果

「ただいま戻りました。アレックスさん。あの二人の少女は、無事に両親の元へと帰してきました」

「そうか。ありがとう」


 助けた少女のうち、ちゃんとした捜索願いが出ていた二人に解呪ポーションを飲ませ、ジュリに家へ送ってもらった。

 これで残るは四人なのだが、捜索願いが出て居ない辺り、別の街や国から連れて来られたのか、それとも親が自ら闇ギルドへ売ったのか。

 捕まえた闇ギルドの長であるズーシュンたち一向に聞いてみたが、流石に一人一人の事は分からないそうだ。

 自警団で取り調べを行うと言っているので、何か情報が出てきたら、調査の上で家に帰す事になるだろうか。


「お父さん。結局、解呪ポーションはどないする? 一応、準備はしておくつもりやけど」

「……そうだな。申し訳ないが準備は頼む。とりあえず俺は、一人ずつステラの所へ連れて行く事にしよう」

「せやね。さっきの二人は大変やったもんな。たぶんやけど、やっぱり子供にお父さんのアレの効果は強すぎると思うねん」


 ぐっ。仕方が無い状況だったとはいえ、何てものを飲ませてしまったんだ……まぁ元を辿れば、呪いを掛けた闇ギルドが悪いのだが。

 しかしズーシュンも、闇ギルドの本部から渡されたマジックアイテムを使っていただけで、呪いの事も知らなかったし……やはり早く本部を潰さなければ。


「よし。マミ、ジュリ。悪いが、俺とジスレーヌを一旦魔族領へ送ってくれないだろうか」

「わかったポン! じゃあ、ウララドの街まで戻るポン」

「アレックスー! レヴィアたんも! レヴィアたんも一緒ー!」


 俺が魔族領へ戻ると言った途端に、レヴィアが全力で抱きついて来て……って、本気だな。全然引きはがせないんだが。


「レヴィア。言っておくが、俺はすぐに戻って来るぞ? 明日には、シーナ国の王都へ向かって出発したいしな」

「それでもヤダー! レヴィアたんは、アレックスと一緒がいいのー!」


 うーん。レヴィアは竜人族というだけあって、本気を出されたら、エリラドの街が大変な事になる。

 ヴァレーリエは、もう少し大人なのでここまで駄々をこねたりしないが……俺たちのせいで街が壊れたりしたら、目も当てられない。


「アレックスさん。元より、ここはジスレーヌちゃんみたいな子の為の場所にする予定だったでしょ? だから、私が見ておきますよ?」


 ケイトが、レヴィアと一緒に行って良いと言うが……ジスレーヌが行かないなら、そもそも魔族領へ戻る理由が無いのだが。

 強いてやる事と言えば、レイからステータスアップ・ポーションなどをもらう事くらいだろうか。

 あとは、元兎耳族の村側の状況確認とか……いや、これはメイリン経由で聞けるから、別に良いか。


「良し。今日はジスレーヌたち四人の歓迎パーティとしよう。これから、ここで一緒に暮らす訳だしな」


 明日はシーナ国の王都へ出発するし、エリラドの街で一泊すれば、朝から出発出来る。

 ジスレーヌには申し訳ないが、呪い状態のままで居てもらおうか。

 で、俺が出発してから、解呪ポーションを飲んでもらおう。

 という訳で、早速ジスレーヌたちに、歓迎パーティの旨を伝えると、


「畏まりました。では、私たちはお食事の準備を……」


 早速働き出そうとする。


「いや、ジスレーヌたちが主賓だからな? 何もしなくて良い。……そうだな。好きな食べ物などはないか?」

「私が好きなのは、ご主人様です」

「そういうのじゃなくて……うん。ジュリとマミに任そう」


 それから皆でパーティの準備をして、ジュリたちが作ってくれた夕食を食べながら四人の少女たちの話を聞き、この場所に住んで良いという事を伝えておく。


「もちろん、別でやりたい事が見つかったのなら、ここを出ていくのも自由だし、ここを拠点としてやりたい事をしてくれても構わない。俺は明日から別の街へ行くが、何かあればケイトに相談してくれ」

「私も、あなたたちに近い境遇だから、色々相談に乗れると思うんだ。だから、何でもお話ししてね」


 呪いのせいか、余り自分たちの主張はしてくれなかったが、それでも色々と聞く事が出来、今日は就寝する事に。

 ちなみにレヴィアが水を出す事が出来たので、水浴び程度ではあるが身体を綺麗にして、俺も就寝……って、おい。マミもジュリもレヴィアも何をしているんだ?


「子供たちが寝たから、ここからは大人のパーティの時間ポン」

「明日は王都へ行ってしまわれるのですよね? でしたら、今日は沢山いただかなければ」

「アレックスー。沢山しよー!」


 いや、三人とも昼に何度もしただろ。


「ふふ、父よ。我は成人モードであれば問題あるまい。というか、昼も参戦したしの」

「ウチはお父さんのアレを採取させてもらうなー」

「私は父上の護衛ですので、しっかり見学……もとい監視させていただきます」


 気付けばミーアやレナに、ツキも居て……せ、せめて場所を変えさせてくれ。

 昼に作った石の小屋にしよう。流石に、少女たちが寝ているベッドと同じ場所っていうのはダメだ。


「アレックス。何だかお昼の時より凄いポン」

「本当ですね。量も凄いですが、凄く濃厚です」

「あー、ドラゴンフードを食べたもんねー。あれ一食でドラゴンが数日間活動出来るくらいの栄養があるから……という訳で、レヴィアたんも体力が有り余っているから、今晩はずっとアレックスと一緒だからねー!」


 レヴィアの言葉通りというか、一度出したら止まらなくなってしまい、意識を失わない精力剤を飲んだ……みたいな事になっている。

 その為、ジュリが早々にダウンし、何故かマミとミーアが張り合いだしたのと、


「アレックスー! 大好きなのっ! 沢山子供を作って、竜人族の村を作るのー!」


 俺と一緒にドラゴンフードを食べたレヴィアが、ソフィみたいに一晩中頑張っていた。

 ……翌朝は、小屋の中が大変な事になっていたよ。

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