第309話 レイの材料集め
ステータスアップ・ポーションの話が纏まり、現在やるべき元兎耳族の村の開拓を進めるべく魔族領の家に戻ろうとして……ケイトに泣きつかれる。
「アレックス様! また次に来ていただく際には数日空いてしまうのですよね? 寂し過ぎますので、どうかもう一度だけお願いします!」
ジュリの家で涙目のケイトに抱きつかれ……その、頑張る事に。
いやまぁ俺が頑張らなくても、ケイトたち三人が凄いんだが……今後はこんな事にならないよう、極力来るようにしよう。
その後、マミとジュリに送ってもらったが、家に着いた時はすっかり日が暮れてしまっていた。
「アレックス、おかえり」
「エリー、ただいま」
「ふふっ、この会話……その、新婚さんみたいよね」
「あぁ、そうだな。だがその……色々と忙しくてすまないな」
エリーが出迎えてくれたのだが、お腹の中に子供が居て、実質結婚しているようなものなのに、それっぽい事をしてあげられていないと謝ると、
「アレックスは凄い事をしている訳だし、気にしなくて大丈夫よ。こうして、私の所へ帰って来てくれるのが、何より嬉しいし」
エリーから笑顔を向けられ、優しくキスをされる。
「じゃあ、この前のテレーゼさんじゃないけど、新婚気分だけでも……アレックス。ご飯にする? お風呂にする? それとも、私?」
「そうだな。じゃあ……」
「あのー、アレックス。エリーさんだけじゃなくて、私も居るんだよー? 私にもチューしてよー!」
エリーと話をしていると、突然ユーディットが現れ……いや、最初から居たらしいのだが、何度もキスされてしまう事に。
「アレックス。私の事も忘れてもらっては困る! その、私にも接吻を……」
「お兄ちゃーんっ! ボクもチューっ!」
「ニナもーっ!」
ネーヴが近付いて目を閉じた所で、ノーラが俺に抱きつきながらキスしてきて、続けざまにニナも抱きついてくる。
ネーヴがちょっとご立腹で……と、騒がしい夕食を済ませた後、真面目な話――レイにステータスアップ・ポーションの事を話しておく。
「なるほどー。あのポーションを聖女様がねー」
「レイは聖女の事をしっているのか?」
「いや、ウチもいろんな所を旅している時に、噂で聞いた程度やわ。何の力を持つ聖女かによるんかもしれんけど、聖女様が絡むと大掛かりな国家レベルの話になるらしいで」
「そうか。まぁいずれにせよ、人々の為になるのであれば、俺は協力したいと思っていて、あのポーションを追加で作ってもらえないだろうか」
「もちろんウチもそれは構わへんで。ただ当然ながら材料が要る訳で、アレックスはんよりも女性陣に頑張ってもらわなあかんねんけど、大半が東に行ってもーとるからなー」
レイの言う材料っていうのが俺のアレなんだけど、東に――元兎耳族の村に女性陣の半数が行っているからな。
こっちに残るメンバーは、ノーラとムギ、ティナとステラは対象外で、エリーとユーディットには無理をして欲しくない。
ニナとメイリンとレイにボルシチは体力が無くて、ネーヴは体力こそあるものの、まだ慣れていないので無理は出来ないだろう。
……あ、フィーネとテレーゼが居るから、大丈夫か。
「まぁそうだな。その東へ俺の分身を数体向かわせるか。向こうはヴァレーリエやカスミにソフィも居る訳だし、鬼畜モードで大丈夫だろう」
「鬼畜モード? よく分からんけど、何となく怖い気が……まぁええわ。とりあえずノーラちゃんたちが寝た後で、不純物無しのを採取させてな」
ノーラには聞かせられないレイとの話を終え、昨日同様にステラからジト目を向けられつつ、皆でお風呂へ。
昨日の俺の不用意な発言のせいか、今日は最初からノーラとニナに混ざって、全裸のティナが俺の傍に居て……大丈夫だから! ティナにもノーラにも変な事はしないから、ステラはジト目を止めてくれないだろうか。
そんなお風呂時間を終えると、分身の一体を熊耳族の家――ビビアナの所へ向かわせ、二体を元兎耳族の村へ走らせる。
それから、昨晩カスミだけ起こしたのと同じ様にレイだけを起こして、
「えーっと、フィーネはんと一緒に寝るのがアレックスはんで、テレーゼはんをメチャクチャ激しく突いているのが分身か。で、こっちの分身からウチはアレを採取すればええんかな?」
「あぁ。俺の影分身だから、俺と同じ動きしかしない……つまり、こうして寝転んだままだから、採取し易いと思う」
「けど他の分身たちが激しくて、同時にアレが出るから採取し放題って訳やね。了解! ほな、早速材料としてアレを貰うな」
レイが大きな容器に俺のアレを注いでいく。
時折、レイも俺の分身としていたけれど、必要な材料が集まったのだろうと判断し、フィーネも満足していたので、寝る事にした。
元兎耳族の村に着いた分身たちは鬼畜モードにしているし、ソフィやヴァレーリエもきっと満足してくれるだろう。
おやすみ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます