挿話102 リザードマンの村に常駐しているシノビのツバキ

「ヌーッティ殿。では、西へニナ殿を迎えに行って来る。ここにはアレックス様の人形が居るので、先日のように何かあれば連絡いただきたい」

「わかった。すまぬが、よろしく頼みます」


 ニナ殿が作る鉄器と魔族領で採れる作物。これらをリザードマンの村で採れる魚や布と交換してもらっているのだが、先日のラヴィニア殿のように海から魔物が上がって来る事を想定し、武具を強化したいという話が出てきた。

 そのため、どのような武具を作るのか、ニナ殿とリザードマンたちの長であるヌーッティ殿が直接会話したいという事で、私が魔族領へ続くトンネルまで迎えに行く事に。

 残念ながら、今は戦闘可能な者の大半が南にある元兎耳族の村に居るので、魔族領に居る者の中で戦えそうなのは、ネーヴ殿とビビアナ殿に、熊耳族の少女たちしか居ないからなのだが……有事の際に備え、何人か魔族領へ戻していただくようにアレックス様へ進言してみようか。

 まぁネーヴ殿とメイリン様の人形部隊が居れば、早々負ける事はないとは思うが、念の為に……な。

 そんな事を考えていると、トンネルを塞ぐ石の壁が消え、小柄なニナ殿が現れた。


「あ、ツバキー! お待たせー!」

「いや、時間通りだ。問題無い」

「じゃあ、早速行こー!」


 ニナ殿に続き、リディア殿の人形とミオ殿の人形が姿を現し、その上、


「やっほー! ツバキちゃん、元気ー?」

「えーっと、私そっくりですが……母上の人形ですね?」

「そうだよー! ヨンゴちゃんだよー!」


 母上の人形まで護衛としてついて来ていた。

 うん。さっきの進言は取り消そう。母上の人形と、ミオ殿の人形だけでも十分過ぎる戦力だ。

 一先ず、ニナ殿の歩くペースに合わせて、私も周囲を警戒しながらリザードマンの村へ歩いて行き、


「はぅんっ!」

「ん? ツバキー、どうしたのー?」

「あらあら、ツバキちゃん。急にどうかしたの? 驚きと悦びが混ざった声だったわよー?」


 唐突に下腹部へ凄まじい快楽が走る。

 な、何だっ!? まるで、アレックス様に愛していただいている時のような……って、まさかサクラ姉の感覚同期!?

 いやいやいや、サクラ姉! まだお昼前で、こんなに明るいうちから、そんな事をするなんて想定外なんだけどっ!

 あぁぁぁ……凄い勢いで突かれてるっ! こ、これは、アレックス様の分身が鬼畜モードになってるぅぅぅっ!


「……ツバキちゃん。お漏らし? ダメよー? シノビたるもの、おトイレくらい、一週間は我慢しなきゃ」


 いや、ヨンゴ殿……というか、母上。流石に一週間は無理だと思うのだが、そんな事よりニナ殿を村まで送る任を全うしなければ!


「ツバキー、大丈夫ー? 顔が真っ赤だよー? 汗も凄いし」

「だ、大丈……ぶぅぅぅっ!」


 だ、出されたっ! ……いや、私ではなくてサクラ姉か。

 心地良い、幸せな感覚が下腹部から身体全体に広がっていく。

 だ、ダメだ。何とか……何とか村へ。

 任を途中で投げだすなど、シノビとして……み、見えてきたっ!


「あ、リザードマンのオジサンだー! こんにちはー!」

「これはニナ様。ようこそおいでくださいました。本来は我々が伺わねばならいのに、申し訳ありません」

「ううん、大丈夫だよー! あと、これはお土産だよー!」

「おぉ、このような作物を……どうもありがとうございます」


 む、村の入り口でこんなやり取りをするの!?

 ヌーッティ殿も、ニナ殿を早く家へ案内していただきたい。

 もう私は限界で……倒れてしまうぅぅぅっ!


「ニナ様。僭越ながら、向こうに昼食をご用意しておりますので、お食事をしながらお話をさせていただければと」

「はーい! ツバキは大丈夫ー?」

「え? も、もちろん大丈夫……」


 ニナ殿ぉぉぉっ!

 出来る事なら、こっそりフェードアウトさせて欲しかった。

 ヌーッティ殿の家で昼食だなんて、絶対に時間が掛かるっ!

 あぁぁぁ、もう快楽に身を委ねてしまおうか。

 これ以上は無理だ。

 そう思った瞬間、


「そうだ。ツバキ殿、先程……」

「……あぁぁぁぁっ! そっちはダメ……~~~~っ!」

「ん? ツバキ殿はどうされたのだ? 何やらピクピク痙攣しているが……ま、まさか魔物かっ!? 皆の者、女子供は家の中へ! 男たちは周囲を警戒するのだっ!」


 突然お尻に物凄い衝撃が走り、その場で倒れてしまった。

 ま、待ってくれ。今のはアレックス様の太くて大きいのが来たからであって、魔物にやられた訳では……あぁぁぁ、私のせいでリザードマンの村が警戒態勢にっ!

 違う! 違うんだぁぁぁっ!

 何とか誤解を解きたかったが、先程の一撃が凄すぎて意識を失ってしまい……やっぱりアレックス様のは、凄い。

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