第356話 シーナ国の長壁
昼食を終え、第一班にソフィとモニカを加えて、第一休憩所へ向かう事に。
「あ、あの……ご主人様!? 皆、足が速過ぎませんか!?」
「いや、元から第一班は機動力重視だったからな」
「うぅ……転移スキルを使えば、この中でもダントツで移動出来るのに」
モニカが半泣きになりながらも全力で走り、カスミ、サクラ、サンゴのシノビたちについて行く。
ちなみに、モニカと同じく第一班に加わったソフィは足が速くないが、小柄なので俺が抱っこして走っていて……先ずは中間地点である第一休憩所へ到着した。
「はぁ、はぁ……く、苦しい。だけど、ご主人様に見られながら長距離を走った後の、この苦しさは、まるでご主人様に攻めていただいたかのような、変な感情が芽生え……」
「≪ミドル・ヒール≫」
「ご主人様っ!? どうされたのですか、突然!? 私は走って暑い為、服を脱いだだけですよっ!?」
モニカが一人で息を荒げ、俺を見つめながら服を脱ぎだしたので、すぐに治癒魔法を使っておいた。
何だよ。変な感情が芽生えるって。芽生えなくて良いよっ!
ちなみに第一休憩所には、今朝俺が許可を出して白い砲撃を放ったシーサーが待っていたので、
「ソフィ。先程も話した通り、次の道の終端でシーサーが砲撃を放つのは無しだ。シーサーには食糧などを運んでもらいたいし、悪いが一旦シーサーを連れて、魔族領へ戻ってもらえるか?」
「畏まりました」
ソフィと共に戻ってもらう事に。
「とはいえ、魔物が普通に現れる場所だからな。サクラ、ソフィの護衛を頼めるか?」
「勿論です。では、ソフィ殿とシーサー殿を魔族領へ送り届けて参ります」
「マスター。夜の魔力補給もお願い致しますね」
ソフィも魔力が充填されている時は強いのだが、魔力が無くなってしまうと動けなくなるからな。
この辺りにあまり強い魔物は居ないものの、念の為サクラに同行してもらって、ソフィとシーサーが戻って行った。
「アレックスー。せっかく休憩所がある訳だし、休んで行くんよ」
「そうねぇー。せっかく熊耳族の女の子たちが作ってくれたしー、使わないと悪いわよねー」
ヴァレーリエとカスミがニコニコしながら休憩したいと言ってきたので、
「本当に疲れているなら休憩するが……元兎耳族の村のような事は一切しないぞ? 休憩する訳だし」
「むー! アレックスはいじわるなんよ。ウチも早く子供が欲しいんよ」
「仕方ないわねー。サクッと例の壁を調べて、そのご褒美をもらいましょうか」
きっぱり拒絶すると、先を急ぐ事に。
「あの、ご主人様。私は普通に休憩が欲しいのですが……あ、皆さん先へ進んでしまうのですね。というか、残っているのがカスミ殿とサンゴ殿に、ヴァレーリエ殿……私は人並みの体力しかないのですが」
モニカが絶望的な表情で呟き……まぁ言いたい事はわからなくもない。
竜人族のヴァレーリエは言わずもがなで、カスミは超人的な体力と脚力だし、その人形であるサンゴも同じだしな。
俺は足こそ速くないものの、超回復スキルで体力はあるから……仕方ないな。
「モニカ。ソフィを抱っこしなくても良くなったし、本当にキツければ、運んでやるが……」
「宜しいのですかっ!? では、先日のように挿れながら……いやでも、あの状態で走ると、また気を失ってしまうのが悩ましい。もっと、たっぷりじっくりご主人様のを……」
「やっぱり、この話は無かった事にしよう。行くぞ」
「えぇぇっ!? ご、ご主人様っ!? せめておんぶで……おんぶでお願い致しますっ!」
どうやら体力的に辛いのは本当のようなので、モニカをおんぶして走り……耳を舐めるなぁぁぁっ!
途中でモニカを捨てて行こうかとも思ったが、先ずは第一休憩所から南に向かって放たれた、シーサーの砲撃で出来た道の終端へ到着した。
「アレックス。ほら、あれなんよ」
「なるほど。確かに、ウララドの街の近くにある壁が遠目に見えるな」
「この道を作った砲撃が届くか届かないか……という微妙な距離なんよ。まぁ念の為、ここからは森の中を進むというのも、一つの手な気がするんよ」
「そうだな。あと、ここに第二休憩所があった方が良いだろうな。サンゴ、メイリン経由で元兎耳族の村に居る人形たちに準備を進めておいて欲しいと伝えてくれ。あ、まだ準備だけで良いからな?」
サンゴがメイリンや人形たちと話し、魔族領から木材や食糧などを運んでもらうように、ソフィとシーサーへ依頼してくれたようだ。
そっちの準備はサクラに任せて俺たちは森の中を進み、巨大な壁の傍へと到着した。
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