第326話 限界の先を知ってしまったモニカ

「さて、この辺りで良いか。モニカ、リザードマンの村の近くまで来たし、そろそろ帰還スキルを使ってくれないか?」

「……」

「あ、あれ? おい、モニカ……って、気を失っているっ!?」


 しまった! 流石に挿れたまま全力疾走はやり過ぎたっ!


「≪ミドル・ヒール≫」

「あ……ご主人様。……ご主人様っ! もっと、もっとお願い致しますっ! 私、今まで一番奥だと思っていた、更に先がありました! 限界を超えたのです!」

「いや、その限界は越えちゃいけない奴だろ。とりあえず、シェイリーの所へ戻ろう」

「お願いします。もう少しだけ……もう少しだけで良いのでっ!」


 俺がちゃんと服を着ていれば、無理矢理モニカを連れて帰るのだが、今は全裸なのでモニカに帰還スキルを使ってもらうしかない。

 だがこのままだと、いつまで経っても帰れなくなってしまいそうなのだが。

 一方で、レヴィアにヴァレーリエなど、シェイリーの所へ置いて来た分身たちが攻められているし……とはいえ、分身を解除したら後で文句を言われそうなんだよな。

 どうしようかと考えていると、


「ん? こっちから何か気配が……魔物か?」


 リザードマンに見つかるっ!

 取引をしてもらっている村の住人に、こんな姿を晒す訳にはいかず、


「モニカ。少し逃げるぞ」

「え? 何故……はぅんっ! これっ! これですぅーっ!」


 道なき道を南へ走って行く事に。

 結局、元兎耳族の村までやって来た所で、


「ご、ご主人様。は、激し過ぎ……」


 再びモニカが気を失ってしまった。

 しまった。よく考えたら、あの状態のままで逃げる必要はなかったな。

 とりあえず、気を失ったモニカから抜いて、抱きかかえ方をお姫様抱っこに変えると、


「アレックスさん!? どうして全裸なんですか?」

「お、凄い格好で戻って来たな。まぁオレは気にしないから、早速しようぜ」

「アレックス。無事に戻って来てくれて何よりだ。さぁ分身を出して我らと愛し合おうではないか」


 リディアからジト目が向けられ、バルバラやブリジットに熊耳族の少女たちに囲まれる。


「待ってくれ。一先ず説明をさせてくれ。あと、服を取りに帰りたいんだ」


 どうやら、海の魔物を知らず知らずの内に倒していた事は、ソフィとラヴィニアから聞いていたそうなので、モニカの帰還スキルについて説明すると、


「つまり、モニカさんのスキルを使えば、アレックスさんが一瞬で家と村を行き来出来るという事ですね?」

「そういう事だ。なので、後でちゃんとこっちへ来て分身を残していくから、今は待って欲しい」

「残していく……という事は、アレックス様自体は家にお戻りになられるのですね? 私は昨日愛していただいていないのに」


 スキルの有用性についてリディアが理解してくれたものの、口を尖らせられる。

 リディアは分身ではない俺を求めてくれるのだが、それはメイリンやボルシチも同じなのだが。

 まぁボルシチが俺本人を求めるのは乳搾りの時のみで、そうではない時は分身でも良いらしいけど。


「わかった。では、向こうに分身を置いてこっちへ戻って来る……それで良いか?」

「はい。アレックスさん、ありがとうございます」


 リディアを始めとして、他の者も納得してくれたようだが……とりあえず、モニカを回復させないとな。

 再び治癒魔法を使い……モニカが目を覚ましたので、今度こそ帰還スキルを使ってもらい、シェイリーの所へ。


「おぉ、随分遅かったな。アレックス、何かあったのか?」

「……いろいろとな」

「そうなのか? まぁ無事で良かった。ところで先程、レヴィアから得たスキルについて教える前に、アレックスが帰還スキルで何処かへ行ってしまったのだが……聞きたいか?」

「そうだな。把握しておきたいな」

「では、我を満足させるのだ。モニカの目がハートになる程の何かをしてきたのであろう? さぁ我にも頼む!」


 いや、これまで散々していたはずでは?

 と思いながらも、シェイリーを満足させてあげると、


「さ、流石はアレックス……レヴィアから得たのは、水中呼吸スキルだ。我は……すまん。アレックスのが凄すぎて……」

「お、おい。シェイリー!? シェイリーっ!? ……って、寝ているのか」

「アレックス。これで、海でデートが出来るね」


 シェイリーが気を失うようにして眠り、レヴィアが抱きついて来て……本当にこんな事ばかりの一日だな。

 体力はあるのだが、腰が……後でイネスの所へ行って癒してもらおう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る