第571話 帰って来たカスミ

 帰りはエリーの人形による攻撃魔法で魔物を一気に倒し、行きよりも早く戻って来る事が出来た。


「つ、着いた。……ご主人様。ご主人様のが凄すぎて、意識が……」


 サクラが俺にしがみ付いて、ぐったりしているので、後はソフィに任せて分身を解除しようとしたのだが、


「ふっ……まだまだね。サクラちゃん、お兄さんをしっかり満足させないとダメじゃない」

「え……は、母上っ!? ど、どうしてここに!?」

「情報収集していたら、ナズナちゃんが突然ビクンビクンと震えだしたんだものー。すぐに感覚同期スキルだって分かったわ。でも、サクラちゃんがここまでの状態になるという事は、当然相手はお兄さん。戻って来るなら、魔族領だと思って全力で走って来たのよ」


 地下トンネルを出た所で、カスミが仁王立ちで待っていた。


「カスミ。久しぶりだが……ナズナは? まさか置いてきたのか?」

「大丈夫よ。ちゃんと連れて来たわよ。ただ、感覚同期スキルの効果が続いているから、この小屋のベッドで喘いでいるけど」

「そうか。いや、無事なら良いんだ」

「えぇ、心配しないで。……ところで、サクラちゃん。ナズナちゃんには、こんなに良い思いを共有しているのに、どうしてカスミちゃんにはしてくれないのかしら?」


 カスミが、俺に……というか、俺に抱きつくサクラに向かって、迫って来る。

 ニコニコしているが、怒りのオーラというか、何やら禍々しい物が見えるような気もするのだが。


「は、母上には私の感覚同期スキルが効かないので……」

「それはサクラちゃんが修行不足だからよっ! 早く私を越えてもらわないと……って、それよりも、久々にお兄さんへ挨拶も済んだし、カスミちゃんも混ぜてーっ!」


 そう言って、熊耳族の少女たちと一緒に居た俺の分身の所へ混ざりに行った。

 どうしよう。今、分身を解除したら、絶対にカスミが怒るよな。


「マスター。では、私は先程入手したデータを元に、研究の続きをしますね」

「あ、あぁ」

「開発には多大な魔力を要しますので、今晩も必ず分身スキルをお願い致しますね」

「……ぜ、善処しよう」


 ソフィが嬉しそうに、自室がある南の家へ走って行った。


「ご、ご主人様。お願いです。どうか、分身スキルは解除しないでいただけないでしょうか」

「ソフィの目的を達したので、本当は今すぐにでも分身を解除して、別の策を検討したいのだが……」

「そ、それはそうかもしれませんが……は、母上に聞けば、何か良いアイディアがあるかもしれません。何しろ、情報量が凄いので。というか、今解除されたら私が物凄く怒られます。どうか、どうかお慈悲を……」


 結局、サクラに押され、分身を解除せずにカスミから話を聞く事にした。

 という訳で、今サクラと一緒に居る分身を自動モードに変え、カスミの相手をしている分身へ意識を移す。


「ひぐぅぅぅっ! ご、ご主人様! あ、あれだけ長い間していたのに、どうして急に激しく……う、後ろは久々なので~~~~っ!」


 何故かサクラの叫び声が響き渡ったが、それはさておき、カスミに話を聞いてみる事に。


「カスミ。ちょっと聞きたい事があるんだが……」

「もっと! もっとよっ! お兄さんは、ずーっとカスミちゃんを放っておいたんだからー! あと、十回は満足させてもらわなきゃ!」


 うん。少しも聞く耳を持ってくれなかった。


「な、何だあの激しい動きは……早過ぎる!」

「だ、だけど助かるかも。アレックス様が凄すぎて、皆気絶してしまったから、一人で複数人の分身を相手にしていたし」

「ふふ……わ、私はビビアナ様を守ったわ! ……も、もうダメ」


 カスミが激しく動くその一方で、熊耳族の少女たちが皆倒れて行く。

 ……そうだ! 要は十回満足させたら、話を聞いてくれるというのなら、


「カスミ。分身してくれ。とりあえず、三体程」

「え? あ……ふふっ! いいわ、負けないわよー! ≪分身≫」


 熊耳族の少女たちが気を失い、相手が居なくなってしまった分身が三体居たので、カスミの分身の相手をさせる事に。

 俺を含め、四体の分身で同時にカスミの相手をするから、四倍満足させる事が出来る。

 早く話を聞かせてもらう為……本気で行くからなっ!

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