第572話 有翼族探し?
「~~~~っ!」
「……ふぅ。さぁ、カスミ。そろそろ良いだろ」
「……」
「って、カスミーっ!」
しまった。早くカスミを満足させて、話を聞かなければ……と、やり過ぎたっ!
「うわぁ。あんなに激しく……いいなぁ」
「アレックス様。次はフィーネもお願いしたいですー!」
「旦那様。そこまで激しいのは困りますが、わ、妾にもお願いしたいです」
テレーゼとフィーネが羨ましそうにこっちを見ていて、メイリンが若干困惑しながらも、チラチラと見てくる。
とりあえず、時間が無いからと、フィーネには我慢してもらった。
……いや、我慢してもらったというか、俺たちが洞窟に行っている間も、ずっとしていたんだけどな。
「≪リフレッシュ≫」
「……あ、お兄さん! やっぱり、凄かったわぁー! 流石に分身を出して、五人のお兄さんの相手っていうのは無理だったわね。まさか気絶させられちゃうなんて」
「あー、やり過ぎてすまない……が、それより教えて欲しい事があるんだが」
「いいわよぉ。あのね、カスミちゃんは、奥をグリグリされるのに弱いのぉー」
「何の話だ? い、いや、説明しなくて良い。それよりも、北の大陸の第一魔族領へ行く方法を何か知らないだろうか」
よく分からない話を仕掛けたカスミを制し、ようやく本題へ。
「第一魔族領……噂では黒い霧に覆われていると言われる場所よね?」
「そうなのか? 黒い霧……か。うーん。霧って言われると違和感があるな」
「え? お兄さん。第一魔族領を見たの?」
「いや、見た訳ではないんだが、宙に浮いている場所だという情報を得たんだ。しかし、肝心の場所の情報が数十年前の話で、ユーディット曰く風で何処かに流されているのではないかと言われてな」
「なるほど。第一魔族領は空にあるのね。確かに、空で霧って言われると変な感じがするわね。霧じゃなくて、雲ならわかるんだけど」
……ん? 雲? ……あ、そういう事なのか!?
「黒い霧ではなくて黒い雲……か」
「あー、それはあり得るかも。黒い雲の中にあるのかもしれないわねー」
「そうかもしれないな。……だが、霧と勘違いしたという事は、おそらくその噂の大元は、第一魔族領に居た者だよな? 空に浮いているのに、どうやって脱出したんだ?」
「それは、第一魔族領の場所にもよるけど、落ちたら下が海とか湖とかだったんじゃないかしらー?」
第一魔族領は、元々は北の大陸の最北端だった訳だから、落ちた先が海というのはあり得るかもしれないな。
だが、第一魔族領が宙に浮いてからどの方角に動いて行ったか分からないが、北だったらお手上げかもしれない。
最北端の北の大陸から更に北へ行った空にある黒い雲に覆われた魔族領を探すと言うのは、かなり困難だぞ。
「お兄さん。ユーディットちゃんに頼んで、天使族に運んでもらったら? ……あ、でも、天使族って飛ぶ速度はそんなに速くないって聞いた気がするわね」
「そうなのか?」
「えぇ。それに、自分が飛ぶのはともかく、誰かを運んだりするのは向いてないかも。そういうのは、有翼族の方が向いているかもねー」
有翼族……獣人族みたく、鳥の特性を持った種族だろうか。
それなら、確かに第一魔族領へ向かうのに適任かもしれないな。
「けど有翼族って、西の大陸に住んで居るのよねー。この東の大陸では聞いた事がないし、北の大陸については分からないわねー」
「そうなのか。む、ムササビ耳族なら居るんだが」
「ムササビは高い木から滑空する種族だから、雲の高さまで飛んだり出来ないわよ」
あのマントで上昇気流に乗って……いや、流石に無理か。
「あ! でも、一つ可能性があるわ!」
「そうなのか!?」
「えぇ。ついて来て……というか、それだと動けないでしょうから、カスミちゃんと一緒に行きましょう」
カスミが、以前にもした事があるアクロバティックな……頭を下にして俺に抱きつき、俺のを咥えるという状態で、カスミの指し示す方へ歩いて行くと、ムギが世話をしている鳥たちの飼育小屋へ着いた。
「あれ? 増えてる? ……あ、卵が孵ったのか」
「そうなのニャ。しかし、随分と久しぶりに会うニャ」
「そうだな。今、北の大陸に居るからな……って、ムギ。何だか、随分と成長していないか?」
久しぶりムギと会った気がするのだが、幼い子供の姿だったはずなのに、少し会わない内に十五歳くらいの姿になっていた。
ムギは式神だから、成長が早いのか?
「ムギにもわからないニャー。毎日魔力濃厚のミルクを飲んでいたら、こうなったニャー」
「ふふふ。お兄さん、こういう事よ」
「いや、どういう事なんだ?」
唐突にカスミがドヤ顔をし始めたが、何の事かさっぱりなんだが。
「ムギちゃんがお兄さんのアレを毎日飲んでいたら、急成長したでしょ? ボルシチさんも、お兄さんのアレで牛耳族になったし、ここに居る鳥たちに、お兄さんのアレを沢山飲ませたら、有翼族になると思うのー!」
カスミの説明で、飼育小屋に連れて来られた意図は分かったが、流石に無理があるのではないだろうか。
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